きれいをつくる女性たち 「SHIRO」今井浩恵
2026.4.24
2026.4.24
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──原料調達のための行動が、第1次産業と町の活性化や、人が安心して暮らせる環境の再構築へとつながっています。
2021年に社長を退任したことで、視界が開けたのです。それまではどうしても『SHIRO』の存続が第一でした。生産者と会話していても、地域が抱える悩みの解決策まで巡らせる余裕はありませんでした。
それが肩書を外した途端に、耳に入るようになった。そこから、ラワンぶきの産地である足寄町役場の方々ともつながりが生まれました。おかげでまた新たな景色が見えています。そして、第1次産業に携わる人々の生き方と言葉にいつもハッとさせられています。
──例えば?
ラワンぶきは日本一大きなふきと呼ばれ、2〜3mの高さまで達します。しかもそれは20年間手入れをせずとも再生を繰り返していたそうです。それがここ5年ほどで状況が変わった。1mくらいまでしか成長しなくなり、3年に1度の植え替えが必要になったらしいのです。温暖化の影響で、北海道でもサボテンの栽培が可能になったとも聞きました。気候に応じて栽培する作物を変えていく農家の人のしなやかさを目の当たりにし、『SHIRO』はどんなふうに未来を先取りすべきかと考えさせられましたね。

──2023年には製造工程が見られる「みんなの工場」を砂川市に開設し、翌年は長沼町に間伐材のみで建てた宿泊施設「MAISON SHIRO」もオープン。さらに2025年11月には森の恵みを味わうレストラン「MORISHIRO」を開業させました。
料理を監修する高尾僚将(ともゆき)は、高校の同級生です。自らが採集した森の食材を用いた一皿を提供するレストランを札幌で経営しています。数年前に再会してから一緒に森へ入っていました。その縁で「MORISHIRO」をお願いすることになったのです。お互いに譲れないポイントが多いので、できれば仕事仲間になりたくはなかったのですが(笑)。

──それでも、タッグを組んだ理由は?
二人とも50歳を超えてから、自分が培ってきたものを次の世代へ継承したいという想いが強くなっています。いまは若いスタッフに基礎から一つひとつ教えているところです。
──既にコスメティックブランドの枠を超えた活躍をされていますが、10年後の未来をどう描かれていますか?
社会に必要とされる会社であることですね。『SHIRO』が出した利益を、困っている地域や人のために循環させる仕組みを整えたい。スポットを当てづらい問題にも向き合って、そこであえぐ人たちが新しい道を切り開けるよう、寄り添っていきたいと思っています。それを私たちが発刊するフリーペーパー「SHIRO PAPER」で伝えて、みんなで考えるきっかけをつくっていきたいです。
SHIRO
1989年、株式会社ローレルを北海道砂川市で創業。2009年に「自分たちが毎日使いたいものをつくる」という信念のもと、前身ブランド「LAUREL」を立ち上げる。その後、2015年に「shiro」へとブランド名を変更し、翌年ロンドンへ出店。2019年にブランド設立10周年を迎え、社名を株式会社シロに、ロゴを「SHIRO」へ変更。自然素材を使ったスキンケアやフレグランスで国内外へ店舗展開している。2023年に北海道砂川市に「みんなの工場」をオープン。2027年1月にはJR砂川駅前に「PARK SHIRO」をオープン予定。
photo: Tomoko Hagimoto text: Mako Matsuoka
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