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日本料理「銀座 ふじやま」の大将が語る愛媛県の魚の魅力と料理への思い

数ヶ月先まで予約が取れない店としても知られる、日本料理 「銀座 ふじやま」。そのオーナーシェフを勤める藤山貴朗氏が、料理との出会い、幼少期の思い、そして20年間務めた和久傳から独立し東京に自身の店を構えた理由など、様々な思いを語ってくれた。

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愛媛県の美味しい魚(養殖)「ブリ」と「マハタ」を使ってみた印象は?
養殖の魚って、「臭みがある」、「脂も美味しくない」、「火を入れて立ち上がる香りも良くない」・・・という印象があったので、今回の企画を頂いた時には「ちょっと嫌な仕事がきたな」と思いました(笑)。

ところが、捌いて刺身で食べてみたら、全く臭みがなかったんです。じゃあ、火を入れたら臭みが出るのか?と思い焼いてみましたが、全く臭みが出ず、脂も美味しかった。目から鱗でしたよ!

これだけ美味しければ、今後もっともっと注目されると思います。
養殖の魚は、どこで何を食べているか分かるので安心。天然物と違い、だいたいのサイズ感や美味しさというところも一定に保てるといのが料理人としては嬉しい点です。そして、循環するという意味でサステナブルの観点からも養殖にシフトしていくのではないかと思います。今後ますます注目されていくと思っています。

料理の世界に入るきっかけは?
実家が呉服屋を営んでいたのですが、父が身体を壊していたので、代わりに母が店に出ていました。母は忙しくて家にいなかったので、見よう見まねで卵焼きを作ったり、ご飯を炊いたりしていました。確か小学校3年生ぐらいのときです。遊びのように料理を楽しんでいたことがきっかけで、中学を卒業したらはシェフになりたいと思うようになりました。

中学卒業後にフランスへ行きたかったとか?
「フレンチのシェフって格好いい」。そのビジュアルに憧れてフレンチのシェフになりたかったんです。中学校を卒業したらすぐにフランスに行きたいと思いました。でも、母に「高校にはきちんと行きなさい」と言われて、フランス行きは断念して高校へ進学しました。 高校を卒業した時に「日本人だし、日本料理の本場ってどこか?」と考えた時に、『京都』だと思いましたね。自分の地元でもある『京都』で料理の道に進むことを決めました。

和久傳との出会いは?
ご縁あって、知人の紹介で24歳の時に和久傳に入りました。その頃は、割烹の一通りはできたので少々天狗になっていました(笑)。実は自分の店を持ちたいと思っていましたが、超高級店というところを見てみたいという思いもあって、和久傳に入りました。 入ってみると、店の設えから、調理場の道具、雰囲気・・・たくさんの文化に触れて、日本料理の世界って“凄い“と感じました。そして、この店で「一番になりたい」と心に誓いましたね。

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和久傳で実際に一番になりましたよね?
暫くして、室町和久傳、高台寺和久傳の料理長を勤め、その後、総料理長に就任しましたので、20年間和久傳にお世話になりました。生意気な若造だった私が色々学ばせて頂きました。

2019年に銀座にお店を構えた理由とは?
和久傳出てから香港で仕事をする機会がありました。一番驚いたのは、夜に築地に魚を注文すると翌日の朝には香港に新鮮な魚が届くんですよ。それを目の当たりにしたら「あっ、京都から離れてもできるな」と感じました。京都で生まれて、料理人として20年京都にお世話になったので、次は心機一転、東京・銀座で新たなるチャレンジをしたいなと思いました。

和食を極めた藤山さんの好きな食べ物は何?
魚が好きなので、アジ、ブリ、サバが大好きです。ブリのカマ焼きなんか、もうめちゃくちゃ美味しくて大好きです。

藤山さんおすすのレストランは?
六本木の「璃庵」です。とっても使い勝手のいい日本料理店です。料理長のおすすめを食べていただくコース料理が多い中、「璃庵」は食べたいものを好きなだけアラカルトで注文できます。今日は、「お酒と何か一品」でももちろんいいし、沢山食べたければ何品か頼めばいいし、すごく使い勝手がいい店です。

藤山さんが大切にしている人や言葉とは?
大切にしているのは、今は亡き母。僕の料理人としての原点は母ですから。
僕は、小さい頃からお菓子を買ってもらえなかったんです。母が全部手作りでお菓子を作ってくれて。当時はスナック菓子に憧れていました。いや〜すごくスナック菓子が食べたくてね。今では毎日お菓子を作ってくれた母に感謝しています。あの優しい味が僕の料理の原点です。そして、母から「常に謙虚であれ」と言われ続けました。その言葉が今でも心に響いています。大切にしている言葉です。

気遣いを忘れず、優しく丁寧にインタビューに答えてくれた藤山氏。伝統を重んじ、紡ぎ出される料理の数々。繊細でありながら力強さを感じる逸品を「銀座 ふじやま 」で堪能して。

Interview & text: Miyuki Kikuchi

関連情報
  • 日本料理 銀座ふじやま 東京都中央区銀座3-3-6 7F 03-6263-2435

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