舞台『ハムレット』への挑戦。市川染五郎、解き放たれる肖像

伝統を背負いつつ、新たな表現へと歩みを進める歌舞伎俳優・市川染五郎。祖父・松本白鸚、父・松本幸四郎が演じた舞台『ハムレット』に挑むいま、内に秘めた繊細さと強さは静かに解放され、しなやかに変化していく。同じく、創業以来、既成概念に捉われず、革新をもたらし続けてきたパリ発祥のハイジュエリーメゾン「ブシュロン」。厳選されたジュエリーは彼の傍らで共鳴し、新たな肖像に輝きを添える。

伝統を背負いつつ、新たな表現へと歩みを進める歌舞伎俳優・市川染五郎。祖父・松本白鸚、父・松本幸四郎が演じた舞台『ハムレット』に挑むいま、内に秘めた繊細さと強さは静かに解放され、しなやかに変化していく。同じく、創業以来、既成概念に捉われず、革新をもたらし続けてきたパリ発祥のハイジュエリーメゾン「ブシュロン」。厳選されたジュエリーは彼の傍らで共鳴し、新たな肖像に輝きを添える。
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──『ハムレット』という作品をいつから意識していましたか?
高麗屋(染五郎さんの家の屋号)は翻訳物にも積極的なので、いつかは通る道だと自然に考えていましたね。もちろん代々やってきたからといって簡単にできる作品ではないですし、ひとつひとつ丁寧に取り組むのは他の作品と同じ。お客様が観て「今そこに生きている」と感じられる『ハムレット』をお見せしたいです。
──劇中のエルシノア城のモデルになった、デンマークのクロンボー城にも行かれたとか。
『ハムレット』はフィクションですが、歴史の重みを感じる場所に立ったことで、「ハムレットはこういう空間に住んでいたんだ」というのを実感でき、不思議な感覚になりました。中庭を囲むような建物の造りや、階段が螺旋階段ばかりというのもすごく面白くて。実際に行かなければ分からなかったことが多くて、とても勉強になりました。
──白鸚さんからは、指輪を譲り受けたそうですね。
祖父は歌舞伎以外の作品にも多く出ているので、小道具としてアンティークのアクセサリーをたくさん持っているんです。2、3年前に突然、「欲しい指輪があったら持っていっていいよ」と言われてサイズがぴったりなものを2つ選びました。そのひとつが今回着けようと思っている指輪。「それはハムレットを演じていた時に着けていたんだよ」と聞いて、不思議な巡り合わせを感じました。

──普段、役を演じる時、装飾品にはこだわるほうですか?
そうですね。装飾品に限らず衣裳(いしょう)も、祖父が着けていたとか、先輩のどなたかが着ていたとか、そういった物には特別な力があると感じています。特に歌舞伎は自分で化粧もしますし、装飾品なども含めてビジュアル面を役に近づけていく時間はとても大切。だからそれらを身に着けることも、役に入る大事な要素だと感じていますね。
──今回、本誌での撮影では「ブシュロン」のジュエリーを身に着けられましたが、どんな印象を持ちましたか?
どれもデザインに奥行きを感じて、ジュエリーの中に無限の空間があるようなたたずまいに惹(ひ)かれました。上品だけれど重厚感があって、でも主張しすぎない。そこがすごく素敵だなと。身に着けてみて一番気に入ったのは、矢をモチーフにした“フレシュ”のペンダント。繊細さの中にも強さを感じるところが好きです。孔雀の羽根がモチーフの“プリュム ドゥ パオン”もいいですね。触ると分かるんですが、デザインの部分が本当の羽根のようにしなるんです。そういう、実際に着けてみないと分からないような工夫がされているところにも、心を動かされました。身に着けるだけでなく、ひとつの芸術作品としても楽しむことができるのが「ブシュロン」のジュエリーの魅力だと思います。
──昨年はパリのヴァンドーム広場本店で、アトリエも見学されましたね。
職人さんたちの仕事ぶりが素晴らしく、思わず見入ってしまいました。若い職人さんも予想よりずっと多かったですね。僕は役者もある意味、職人に近いと思っているので、年齢の近い職人さんたちがアトリエで“仕事”に静かに向き合っている空間がとても心地よく、その姿に刺激を受けました。スケジュールの都合で少ししかいられなかったので、本当は1日ぐらい見学していたかったです(笑)。

──「ブシュロン」は伝統を大切にしつつ、モダンで大胆なデザインや最先端の技術を使ったコレクションもあります。“伝統と革新”は歌舞伎俳優がしばしば触れるテーマですね。
僕も、歌舞伎は古いものをただ受け継ぐだけじゃなくて、受け取った次の世代がどういう工夫をしてその時代に残していくか、それをまた次の世代にどうやって渡していくかが大切だと思っています。だからパリのアトリエを拝見した時に、長い年月を積み重ねて出来たものの一方で新しい空気が流れている部分にも共感しましたし、そこが歌舞伎と似ているなと感じました。シェイクスピア作品も同じで、どうやったら現代のお客様の心に届けられるかというのが、一番の課題。そのためにはハムレットという人間がどんな状況でどういう決断をしていくのか、その心の過程が見えるようにしたい。そこはきちんと意識して演じたいなと思っています。

“キャトル”は、メゾンに継承される4つのコードを組み合わせたアイコニックなコレクション。モノトーンの輝きがピュアホワイトのタキシードスタイルに、クールな華やぎと洗練を添えて。

孔雀の羽根に着想を得た“プリュム ドゥ パオン”もまた、130年以上にわたりメゾンに継承されてきたモチーフ。躍動感と生命力を宿す稀有な逸品が、若き表現者の静謐(せいひつ)なたたずまいに映える。


意志と覚悟の象徴として、歌舞伎十八番にも通じる「矢」のモチーフ。シャープなフォルムにダイヤモンドの輝きをちりばめた “フレシュ”は、その力強い軌道に、時代を超えて受け継がれる伝統への思いと、未来への意志を描き出す。

WG=ホワイトゴールド、YG=イエローゴールド、PG=ピンクゴールド、PT=プラチナ
シェイクスピア四大悲劇の一つとして、人間の苦悩を深く描いてきた『ハムレット』。葛藤、狂気、裏切りが絡み合う普遍的テーマを内包するこの傑作に、2026年、新たな息吹が宿る。ハムレットを演じるのは、新時代の歌舞伎俳優・市川染五郎。祖父・松本白鸚、父・松本幸四郎も演じた大役に、ストレートプレイ(会話劇)初出演・初主演で挑む。演出は、リアルを追求し、生と死、過去と現在といった相反する要素を繊細に描くデヴィッド・ルヴォー。多彩なキャストとともに、新たな『ハムレット』が幕を開ける。

舞台『ハムレット』
作:ウィリアム・シェイクスピア
演出:デヴィッド・ルヴォー
翻訳:松岡和子
出演:市川染五郎
當真あみ 石黒賢 柚香光 梶原善
石川凌雅 横山賀三 ほか
【公演情報】
東京 5月9日(土)~5月30日(土)
会場:日生劇場
大阪 6月5日(金)~6月14日(日)
会場:SkyシアターMBS
愛知 6月20日(土)~6月21日(日)
会場:名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)大ホール
企画:梅田芸術劇場
主催・製作:松竹・梅田芸術劇場
協賛:ブシュロン ジャパン
愛知公演 主催:メ~テレ・メ~テレ事業
共催:( 一財)稲沢市文化振興財団
公式サイト:https://hamlet2026.jp/
公式Xアカウント:@hamlet2026
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ブシュロン クライアントサービス tel: 0120-230-441
www.boucheron.com
ブリオーニ クライアントサービス tel: 0120-200-185
ボッテガ・ヴェネタ ジャパン tel: 0120-60-1966
photos: Yoshiyuki Nagatomo / styling: Nao Nakanishi / hair & make-up: Azusa Katsuragawa / direction: Satoko Hatakeyama / interview & text: Sakura Fujino
市川染五郎
2005年3月27日生まれ。松本幸四郎の長男。祖父は松本白鸚。07年6月歌舞伎座『侠客春雨傘』で初お目見得。09年6月歌舞伎座『門出祝寿連獅子』で四代目松本金太郎を名乗り初舞台。18年1・2月歌舞伎座で八代目市川染五郎を襲名。近年の主な歌舞伎出演作に、『源氏物語』(24年)、歌舞伎NEXT『朧の森に棲む鬼』(24・25年)、『木挽町のあだ討ち』(25年)ほか。映画『レジェンド&バタフライ』(23年)、『鬼平犯科帳 血闘』(24年)、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(22年)、PrimeVideo「人間標本」(25年)ほか映像作品にも数々出演し、『レジェンド&バタフライ』では第47回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。
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