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翼に宿るブルーのグラデーション、ショーメ新作ハイジュエリー「アンヴォル」

ショーメは2026年1月、新作ハイジュエリーコレクション「アンヴォル(ENVOL)」を発表した。メゾンの象徴的モチーフの一つである翼を再解釈したコレクションは、グランフー エナメル技法を初めて採用し、表現に新たな深みをもたらした。

アーカイブから生まれた、現代の翼

パリ・ヴァンドーム広場12番地にあるショーメのアーカイブルームには、1780年の創業以来245年以上の歴史を物語る膨大な資料が収められている。当時のスケッチやデザインをひも解くと、一貫して自然をジュエリーデザインに落とし込んできたショーメにとって、翼もまた重要なモチーフの一つであり続けてきたことがわかる。「アンヴォル」は、そうした翼をモチーフにしたアーカイブ作品をもとに、現代的に再構築したコレクションだ。

今回登場したティアラは、ホイットニー美術館の創設を支援したアメリカの女性コレクター、ガートルード・ペイン・ホイットニー(旧姓ヴァンダービルト)が1910年に購入したティアラを着想源としている。ショーメのアイコニックな「エグレット」を思わせる控えめなV形のラインが、軽やかでコンテンポラリーな魅力を際立たせている。

ショーメ
1910年のアーカイブ作品〈〉と「アンヴォル」ティアラ〈

グランフー エナメルが描く、深いブルー

今回のコレクションで取り入れられたのが、高温で何度も焼くことでガラス質を金属の表面に定着させる、グランフー エナメル技法だ。腕時計の文字盤などに用いられるこの繊細な技法は、透明感と深みのある色彩表現と高い耐久性を実現する一方、加熱中にひび割れや色の変化が起きやすく、極めて高度な職人技が求められる。深みと輝きを備えたグラデーションの色彩が、今回登場した9つすべての作品を彩っている。

10.96カラットのマダガスカル産サファイアを配したネックレスは、制作に650時間以上を要したという。紺碧(こんぺき)のサファイアとグランフー エナメルが織りなすブルーの豊かな色彩が響き合う。翼のモチーフは取り外してブローチとして着用することも可能だ。

ショーメ
顔料の混ぜ方を変えながら何度も焼き重ねることで、繊細なグラデーションが表現される
ショーメ
「アンヴォル」イヤリングとネックレス

変化するフォルム、広がるスタイル

「アンヴォル」の全作品は、パーツを取り外して形を変えるマルチウェアラブル仕様で制作されている。ティアラはV字形のフレーム部分やセンターストーンを取り外すことで、大胆なマスクへと姿を変える。渦巻く構造は、ヴァンドーム広場の柱の螺旋(らせん)をモチーフにしたものだ。

非対称のデザインを持つイヤリングは、イヤーカフの取り外しが可能。ガートルード・ペイン・ホイットニーが所有した翼のブローチを思わせるユニセックスデザインのブローチは、ジャケットのラペルを飾るアイテムとしても楽しめる。

ショーメ
ティアラから形を変えたマスク
ショーメ
「アンヴォル」イヤリングとブローチ

洗練されたコンテンポラリーなクリエイションは、貴重なアーカイブとサヴォワールフェール(匠の技)、そして創造性が重なり合うことで生み出されている。

text: Shunya Namba @Paris Office
photos: Chaumet

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