長澤まさみが初の時代劇映画主演で挑む。光彩を放ち、自由に生きた女性絵師

凜とした美しさと艶やかな色気を併せ持つだけでなく、飾らないチャーミングさで人々をとりこにする俳優・長澤まさみ。幅広い作品に挑んできたなか、初の時代劇映画主演作となる『おーい、応為』では、葛飾北斎の娘で、“もう一人の天才”と呼ばれた応為を熱演した。1年ぶりのインタビューで語る心境の変化、そして知られざる素顔を明かす。

凜とした美しさと艶やかな色気を併せ持つだけでなく、飾らないチャーミングさで人々をとりこにする俳優・長澤まさみ。幅広い作品に挑んできたなか、初の時代劇映画主演作となる『おーい、応為』では、葛飾北斎の娘で、“もう一人の天才”と呼ばれた応為を熱演した。1年ぶりのインタビューで語る心境の変化、そして知られざる素顔を明かす。

──2020年の『MOTHER マザー』以来となる大森立嗣監督とのタッグとなりましたが、オファーがあったときのお気持ちは?
どんな役でも「もっとできたんじゃないか」といつも思いますが、そんな風に前作でやりきれていない部分が自分の中にあったので、もう一度大森組に挑戦できるのがうれしかったです。しかも、自分が家族に対して色々と考える年代に入ってきた実感があったときだけに、家族のことを優しく淡々と描いている物語にも面白さを感じました。
──役作りで意識したことや苦労した部分があれば、教えてください。
今回は「長澤さんのままでやってほしい」と監督から言われていたこともあって、現場で刹那的に出てくるエモーショナルなものにしっかりと乗っかれるようにしたいと思いました。そこで改めて感じたのは、いままで積み重ねてきたものがすべて生かされるわけではないお芝居の難しさ。ただ、頭で考えるのをやめた途端、体中の血液がサーッと引いていくように、何者でもない自分になれたので、ピュアな気持ちで役に向き合うことができました。出来上がった作品を観たときに、「あのときの自分も悪くなかったのかな」と思えたのは、自分としては新感覚でした。

──時代劇ならではの面白さなどもあったのでしょうか。
いままで出演した時代劇は戦国時代の作品ばかりで、江戸時代の人物を演じるのは初めてでしたが、興味深かったのは「粋だったら何でも許される」という江戸時代のしきたり。すごく自由な時代だったんだなと感じました。応為は当時としてはかなりの曲者で破天荒な人でしたが、江戸時代はそれが受け入れられていたくらいですから。そういう意味では、現代の女性に通じるものがあると思いました。
──応為は男社会の中で自らの情熱に正直に生きた女性アーティストの先駆者でもありますが、同じ表現者として長澤さんが共感したことは?
好きなことに貪欲で、そこに対してずっと向き合える力が備わっているのはすごいと思いました。「邪念があるときは物事がうまくいかない」とよく言われているように、本当にそうだなと感じます。私自身も「一生懸命生きなきゃ!」という思いが強いほうですが、目の前のことに忙しくしていたら、いつの間にか先が開けていることが多いですね。

──北斎役の永瀬正敏さんとの共演で、印象に残っていることはありますか?
今回、初めてご一緒させていただきましたが、本当に真面目で、俳優業に恋しているような方。情熱的にお芝居と向き合っていらっしゃる姿は本当にロックでしたし、“映画の番人”のような存在だと感じました。永瀬さんがすべてを受け入れてくださったおかげで居心地のいい空気感が生まれ、役に向かう集中力を高められたと思っています。応為が北斎に抱く尊敬の眼差しが、永瀬さんに対する私の気持ちともリンクしていたように、永瀬さんだったからこそ成り立っていたことが多かったです。
──昨年はNODA・MAP作品で海外公演を経験されたこともあり、新たな思いも芽生えたのでは?
海外にいるといろんな人がいて刺激を受けるので、時々は行きたいですし、仕事をしてみるのもいいなと思っています。日本の人でも違う国の人でも、楽しく人と接することに対して臆病にならずにいたいですね。

──日々の暮らしのなかで心がけていることがあれば、お聞かせください。
最近になって、家族と過ごす時間がとても有意義なものだと改めて感じているので、そういう部分はもう少し大切にしていきたいなと。あと、仕事から帰るとまず反省から入ってしまいがちですが、がんばった分、ちゃんと休みを取って切り替えを上手くしたいですね。私は普段からスーパーに行くのが大好きで、それが私にとっての“贅沢”でもありますが、「旬に出会う」みたいなことを大事にしながら健康に生きていきたいと思っています。
北斎の娘・お栄は夫と離縁し父のもとへ戻る。やがて父譲りの才を発揮し、いつも「おーい!」と呼ばれていたことから「葛飾応為」の名を授かり、一人の浮世絵師として歩み出す。友情や淡い恋、愛犬との日々を重ね、二十余年を経て父娘は火事と飢饉(ききん)を機に、北斎が描き続ける境地“富士”へと向かう。

『おーい、応為』
10月17日(金)全国ロードショー
配給:東京テアトル、ヨアケ
監督・脚本:大森立嗣
出演:長澤まさみ、髙橋海人、大谷亮平、篠井英介、奥野瑛太、寺島しのぶ、永瀬正敏
原作:飯島虚心 『葛飾北斎伝』(岩波文庫刊)、杉浦日向子 『百日紅』(筑摩書房刊)より「木瓜」「野分」
©2025「おーい、応為」製作委員会
oioui.com
クリスチャン ディオール tel: 0120-02-1947
【雑誌『marie claire』のPDFマガジンダウンロードページ】
©︎marie claire/interview & text: Masami Shimura
長澤まさみ
2000年「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞し、2003年『ロボコン』で映画初主演。『世界の中心で、愛をさけぶ』『涙そうそう』『モテキ』『海街diary』など話題作に出演し、日本アカデミー賞をはじめ数々の映画賞を受賞。2020年『コンフィデンスマンJP プリンセス編』『MOTHER マザー』ではブルーリボン賞・主演女優賞に輝くなど、日本映画界を代表する実力派俳優として活躍を続けている。
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