南仏アルルで新境地に挑む注目のアーティスト、カロリーヌ・コルバッソン
現在、世界30カ国で出版、配信されている『マリ・クレール』。その最新記事から気になる話題を厳選してお届け。今月はフランス版で紹介された、注目のアートブライズの受賞アーティストに焦点を当てる。
現在、世界30カ国で出版、配信されている『マリ・クレール』。その最新記事から気になる話題を厳選してお届け。今月はフランス版で紹介された、注目のアートブライズの受賞アーティストに焦点を当てる。
「ゲラン」と世界的に著名な韓国人アーティスト、李禹煥(リ・ウファン)によって設立された美術館「Lee Ufan Arles」が2023年に共同設立した「Art & Environment Prize」。この賞は毎年、芸術的創造と環境の狭間に生まれる、多面的で有意義なつながりを実現するプロジェクトや作品に贈られている。受賞者には、「Lee Ufan Arles」でのアーティスト・イン・レジデンスを授与。アルル中心部に特別な制作スペースが提供され、レジデンス終了後は、作品の展覧会を開催することができる。

そして昨年、この名誉ある賞に輝いたのがフランス人の女性アーティスト、カロリーヌ・コルバッソン。彼女は、パリを拠点に木炭ドローイング、写真、彫刻、映像などさまざまなアプローチで「広い宇宙における人間の位置とは?」という問いかけを追求しているアーティストだ。すでにアルルで作品作りに励んでいるカロリーヌに会いに向かった。
「今回、初めてキャンバスを使った作品に取り組みました。10年間、続けてきた木炭ドローイングから抜け出し、ここでは新しいことに挑戦してみたかったんです。アクリル、油絵、インク、パステルと色々と持参し、模索しました。削って、修復して、また塗り重ねてと抽象と具象の間にある緊迫した何かを探し求めていたのです。ぱっと見は抽象的だけど、よく見ると水面に反射する光の風の形のように普遍的なイメージが見えてくる。そんな作品に仕上がっていると思います」

そんな彼女にとって、自然は原点。フランスで生まれ、カナダやアメリカなどで育ったカロリーヌは、いつも広い空と美しい自然の風景に心を寄せてきた。「昔から、肉眼では見えない空、宇宙を描くのが好きでした。でも今は、もっと地に足がついている感覚があります」
アーティストになり、緻密なモノクロの作品を多数描いてきた彼女だが、今回はダイナミックに表情豊かな青色を使っている。「アルルに来て、新しい扉が開いた。表面を破り、ようやく内側に潜り込み始めた感覚があります」

4歳の娘の母でもあるカロリーヌ。「育児と仕事の両立で、いつも表層にとどまっている感覚があった。本質に届かないというか。その殻を今回、破れた気がする。私は少しメランコリックで内向的なので、ひとりの時間やアトリエの中で過ごす静けさを必要としていたのだと思う」。実は詩も書く彼女は、アルルで制作した作品の展覧会「Something Move」の開催(「Lee Ufan Arles」の「Atelier MA」にて10月5日まで開催中)に合わせ、自らの詩を集めた書籍も出版した。
・ミュウミュウ、大阪含む世界5都市で「Miu Miu Summer Reads」開催。書籍『離れがたき二人』『女坂』を配布
・ルイ・ヴィトン「ビジョナリー・ジャーニー」展、7月15日より大阪中之島美術館にて開催
【雑誌『marie claire』のPDFマガジンダウンロードページ】
©︎marie claire/photos: Vincent Ferrané / text: Galia Loupan / translation: Tomoko Kawakami
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