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大阪に外資系ホテルが続々開業

マリ・クレール編集長、田居克人が月に1回、読者にお届けするメッセージ。インバウンドや「大阪・関西万博」の開幕もあり、大阪は東京を抜き宿泊施設稼働率が日本一に。また新たなホテルも参入。

グラングリーン大阪には新しく3軒のホテルが開業

昨年は来日観光客の数も約3,700万人と過去最多でしたが、今年は「大阪・関西万博」の影響もあり、さらに増加するのではと予測されています。ただそんな状況の中で心配されているのは、宿泊施設が十分提供できるかという点でした。観光庁の調査では、大阪の宿泊施設稼働率は昨年12月の時点ですでに80%に達しており、東京や福岡を超えて全国でトップ。また宿泊料金も高騰しています。それを予測していたのでしょうか、今年になって大阪ではホテルの開業、特に外資系のホテルの開業が増えています。現在ではJR大阪駅を中心とした直径1マイル(約1.6km)圏内にインターナショナル・ホテルが8軒も集中し、東京の集中率を上回っています。

4月には「ヒルトン・グループ」の最高峰のホテル「ウォルドーフ・アストリア大阪」が、3月にオープンした「グラングリーン大阪」に満を持して開業しました。

もともと「グラングリーン大阪」はJR大阪駅に直結した公園を中心とした複合施設。公園の周りを住居、商業施設、文化施設が囲み、宿泊施設も「ウォルドーフ・アストリア大阪」「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」「ホテル阪急グランレスパイア大阪」の3軒が、競い合うように開業しました。

ヒルトン・グループの最高級ホテル「ウォルドーフ・アストリア大阪」がオープン

「ウォルドーフ・アストリア」は1893年にニューヨークで開業して以来、ビバリーヒルズ、ローマ、カイロ、ドバイ、バンコクなど世界のランドマークとなる場所で開業し、現在世界で37軒を展開しています。現在のホテルでは当たり前となっている客室内のバスルーム、24時間のルームサービス提供などは、「ウォルドーフ・アストリア」が生みだしたサービスです。そんな伝統のあるホテルが、日本で初めて開業したのが、「ウォルドーフ・アストリア大阪」というわけです。

ホテルの内装は香港を拠点に活躍するアンドレ・フーによるもので、ニューヨークの「ウォルドーフ・アストリア」のアールデコスタイルと日本の伝統建築を融合させたものです。特に客室のヘッドボードには和紙を背景に日本の伝統技法「組子細工」を施し、洗練された空間を生み出しています。

アンドレ・フー
アンドレ・フーによる日本の美を意識した室内デザイン

また「天下の台所」大阪への進出を意識してのことなのでしょう、「ウォルドーフ・アストリア・ニューヨーク」発祥のカクテルを楽しめるバーや、エレガントなフレンチレストランなどが用意されています。内覧会の際にアンドリュー・ムーア総支配人にインタビューをする機会があったので、 1. なぜ東京ではなく大阪に最初に進出したのか 2. どういうホテルを目指しているのか 3. 開業するにあたり一番こだわった点──以上の3つの質問をしました。

1の質問については、「『ウォルドーフ・アストリア』は唯一無二の最高峰のホテルで、ロケーションには厳しい選択をしている。それは最高峰のホスピタリティを提供するためだ。大阪は関西のゲートウェイであり、京都、奈良、神戸といった歴史的な街にも日帰りで行くことが可能なロケーションである。また『グラングリーン大阪』は新しい関西のアイコンとして、都市でありながらその豊かな緑で安らぎを感じさせてくれる。さらに『大阪・関西万博』の開催があり、タイミング的にも好機であった」。

ピーコックアレー
ラウンジ&バーの「ピーコック・アレー」からは「グラングリーン大阪」が真下に見える

2の「目指すホテル像」についての質問に関しては「唯一無二のホテルを実現するためにパーソナライズされたサービス、素晴らしいデザイン、極上の食事を提供していく。デザインは地元のカルチャーに溶け込むよう、伝統プラスモダンなイノベーションで日本の美、匠の技を楽しんでいただけるよう、また生涯忘れられない体験ができるホテルでありたい。『ウォルドーフ・アストリア』ホテルのお客様はとても目が肥えたお客様。日本で様々な経験をしてみたいお客様ばかりです。また最高のものを知ったお客様です。そんなお客様が最高の経験ができるホテルでありたい」。

ヒルトン
1泊1室200万円以上の最高級客室は「大阪・関西万博」に合わせて来日した海外の首脳級が利用

3の「最もこだわった点は?」という質問については、「『文化と人がすべて』との考えのもと、優秀で情熱を持っている人材を獲得することに注力した」とのことでした。そしてそれは98%実現したそうです。

開業してまだ時間がそれほどたっていませんが、宿泊客の40%は日本、60%がインターナショナルなお客様だそうです。またバー、レストランのお客様の90%は日本人。ウェディングセレモニーとパーティーの申し込みは数えきれないとのこと。

エントランス
エントランスを入ったホールにはアーティスト金子潤の作品が

このように順調なスタートを切った「ウォルドーフ・アストリア大阪」ですが、ホテルラッシュの大阪(東京も同様)で、どこのホテルも一番苦労しているのは人材の確保でしょう。インバウンドの方の日本旅行の印象を決めるのは、素晴らしい宿泊施設はもちろんのことですが、そこで働く人達の行き届いたおもてなしの姿勢であることは、間違いないはずですから。

2025年6月26日

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