責任あるものづくりを追求するジュエリーブランド、トムウッドとは?
ファッショニスタの手元に輝くシルバーのシグネットリング。どこのリング?と問う前にまず名前が思い浮かぶのが、ノルウェー発のジュエリーブランド「トムウッド」だろう。2023年11月には東京・青山に国外初となる旗艦店をオープンし、日本での人気はますます高まっている。世代や性別を問わず多くの人々に愛されるトムウッドの魅力を探っていこう。
ファッショニスタの手元に輝くシルバーのシグネットリング。どこのリング?と問う前にまず名前が思い浮かぶのが、ノルウェー発のジュエリーブランド「トムウッド」だろう。2023年11月には東京・青山に国外初となる旗艦店をオープンし、日本での人気はますます高まっている。世代や性別を問わず多くの人々に愛されるトムウッドの魅力を探っていこう。
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トムウッドは2013年にモナ・ヤンセンが立ち上げたジュエリーブランド。歴史的なシグネットリングを現代的に再解釈したジュエリーコレクションで注目を集め、瞬く間に人気ブランドとなった。のちに夫であるモーテン・イサクセンが事業に参画し、現在ではオスロ、バルセロナ、パリ、東京を拠点に55人を超えるフルタイムスタッフを擁するブランドへと成長している。

クリエイティブ・ディレクターであるモナ・ヤンセンは、スカンジナビアの美学であるシンプルさ、革新性、機能性を重視しながら、自然や彫刻、建築、歴史から着想を得てデザインを手がける。

ジェンダーレス、エイジレスな洗練されたデザインで人気を博す一方で、サステナビリティへの意識も高く、そうした点も多くの消費者に評価されている。リサイクル素材や環境負荷の低い生産方法を使い、自社でサステナビリティレポートを出すなど、サステナブルなものづくりを追求している。
消費者だけではなく、セレブリティからも愛用ジュエリーブランドとして支持されている。今年3月にはファッション・ウィークのセレブリティスナップの常連で、グローバルに人気を集めるモデル、秋元梢とコラボレートしたカプセルコレクションを発表。トムウッドと秋元氏は長年交友関係があり、今回の協業に至ったという。

発表されたのは日本語で「癒やし」を意味する「Chiyu」と題されたコレクション。「再生」と「刷新」というコンセプトで、まるでよろいのように重ねて着用できる2種類のリングを展開している。アイテムの制作時にたまたま秋元氏が指を脱臼してギプスを装着していたことが着想源だという。
単体でも美しいが、重ね着けを想定したデザインで、指の下部や上部に着けることで自分だけのオーダーメイドリングのように身に着けることができる。手持ちのリングと合わせることで、自分らしい手元を表現しよう。


アイテムはリサイクルシルバーを用いて制作され、二酸化炭素排出量はリサイクルシルバーを用いない場合に比べて90%以上も削減。ファッショナブルなだけではなく、ブランドの根幹にある責任のあるものづくりも忘れない。
トムウッド発祥の地であるノルウェーは、電気自動車の普及率が世界一を誇るなど、世界的に見てもSDGsにおいて先進的な国であることはよく知られている。環境問題はもちろん、世界経済フォーラムが2024年に発表した「ジェンダーギャップ指数ランキング」で3位になるなど、ジェンダー平等に関しても我々が見習うべき点が多い国だ。

4月上旬、トムウッドが主催するサステナビリティに関するトークセッションが青山店にて開催された。トークセッションの第1部では「未来を形作る: 時計・宝飾品産業におけるサステナビリティの加速」と題し、Watch & Jewellery Initiative 2030 エグゼクティブ・ディレクターのアイリス・ヴァン・デル・ヴェーケン氏がプレゼンテーションを実施。
ビジネスは利益を生み出すために存在していると前置きをしつつ、「サステナビリティを諦めるのではなく、今こそ求められるのは“ビジネスのレジリエンス”、つまりしなやかで強い経営力だ」とヴァン・デル・ヴェーケン氏。環境危機や不安定な世界情勢が続く中で、短期的な成果を追い求めるのではなく、長期的な視野で小さな行動を積み重ね、協力しながら前に進む姿勢が重要だと語った。
ラグジュアリーブランドとサステナビリティの関係については、「若い世代は企業がアクティビストであること、意識を持つことを求めている。循環型経済の実現とトレーサビリティが不可欠」と強調。「1社が責任を負うのではなく、業界全体で共に進んでいこう」と呼びかけた。

2部では「責任あるリーダーシップ:ブランドはいかにして持続可能な未来を創造できるか?」をテーマに、ヴァン・デル・ヴェーケン氏に加えトムウッド CEOのモーテン・イサクセン氏、 カーニー シニアパートナーの福田稔氏の3人がパネルディスカッションを行った。
「なぜサステナビリティを考えるのか」という最初の話題に対し「これは短距離走ではなくマラソン」とイサクセン氏。「責任」という考え方をビジネス戦略とオペレーションの中心に据えたことがブランドにとって大きな変革になったと明かした。
サステナビリティにおいて他社の模範となる企業について問われると、ヴァン・デル・ヴェーケン氏は「大前提CEOレベルの強いコミットメントが必要」と主張し、長期的なビジョンと科学的視点と専門知識に基づいた行動の必要性を説いた。サプライヤーとの信頼関係やレジリエントな体制構築も不可欠だ。今後はDDP(プロダクトパスポート=製品情報開示制度)の導入により、単なるPRではなくデータと証拠に基づく責任ある開示が求められる時代へと進んでいくと強調した。

最後に「業界が2030年に目指す姿」について、「グリーンウォッシュのない世界、責任と透明性が文化として根付く業界にしたい」とイサクセン氏。「私たちのような小さなブランドがイニシアチブに参加し、世界中の大きな企業と対話できる場にいられることは、とても希望に満ちたこと。今後もその力を大切にしながら、グローバルにインパクトを与えられるブランドでありたい」と力強く締めくくった。
text: Azu Satoh
00
トムウッド 青山店
03-6447-5528
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