本年度アカデミー賞で6部門ノミネートの話題作『ANORA アノーラ』は、幸せになりたいすべての人に贈る 人生賛歌
第97回アカデミー賞(2025年)で作品賞、監督賞、主演女優賞など6部門にノミネートされ、 第77回カンヌ国際映画祭では最高賞にあたるパルムドールも受賞した 『ANORA アノーラ』が2月28日(金)より劇場公開される。「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」などを手がけたショーン・ベイカー監督の最新作だ。映画好きで知られるオバマ元大統領の2024年の<今年の映画10本>にも選ばれ、映画「バービー」のグレタ・ガーウィグ監督も大絶賛し、全米で大ヒットしている本作の魅力をお届け。
ニューヨークのストリップクラブで働くアノーラは、いつかこの生活から抜け出してやると夢と野心に燃える女性。ある日、ロシアの大富豪の御曹司イヴァンに一目惚(ぼ)れされ、7日間の“独占彼女”として契約を結ぶ。毎日がパーティー三昧、ぜいたくなショッピングと夢のような時間が続く。そして休暇の締めくくりには、ラスベガスで二人きりで結婚式を挙げる。しかし、その幸せは長くは続かなかった。イヴァンの両親が結婚を阻止しにニューヨークに現れ、大騒動へと発展してしまう。アノーラは夢から覚めて、厳しい現実と向き合わされることに…。
身分違いのラブストーリーとして、名作「プリティ・ウーマン」の現代版と形容されがちだが、2025年では約束されたお決まりのハッピーエンドなんて現実には存在しない、というアンチ・シンデレラストーリーが語られる。
ショーン・ベイカー監督は 「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」で、ディズニーランドのすぐそばで激安モーテルで暮らす貧困層の母娘の生活を通してキラキラした幻想の世界の裏にあるアメリカの現実を描き、その鋭い視点と強烈なコントラストで世間に衝撃を与えた。
本作『ANORA アノーラ』でも性的なサービスで人々に快楽を与えるきらびやかな世界とその現実の間で、上流階級の人間に利用されながらも偏見に抗い、自らの幸せを求め続けるアノーラの底知れぬパワーを通して、凝り固まった世間の固定観念を華麗にぶち壊していく。ショーン・ベイカー監督らしい独自の視点で声なき声に光を当てる、新たな傑作が誕生した。
ショーン・ベイカー監督が見いだした主演のマイキー・マディソンは、自信満々にお金持ちを魅了する笑顔から、どん底にたたきつけられて絶望する姿まで、アノーラの激しく揺れ動く感情を見事に表現している。その演技力は驚異的で、アカデミー賞主演女優賞を受賞する姿が容易に想像できる。撮影の1年前からストリップクラブに通い、ダンサーから学んだり、トレーニングを積むなど、入念なリサーチと徹底した役づくりを重ねた結果、外見も内面も完全にアノーラそのものとなったマイキー。彼女の魅力がさく裂する本作は、映画ファンから深く愛されることは間違いないだろう。自分らしさを失わず、幸せをあきらめないエネルギーあふれるアノーラの強烈で刺激的な人生を、ぜひ劇場で体感してほしい。
text: DIZ
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