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生きづらさは変えられる 女性が知っておきたいセルフ・コンパッションとは?

Ridofranz / iStock.com

現代社会において、多くの女性は「生きづらさ」を感じている。家庭、仕事、そして自分自身への期待との狭間で、自分を責めてしまうこともしばしば。しかし、自分を慈しむセルフ・コンパッションを取り入れると、自己批判から解放され、自己肯定感を高めることができ、心の余裕を取り戻すことができる。セルフ・コンパッションとは何かを解説しながら、実践に役立つおすすめの書籍を紹介する。

「自分を大切にする」新しいスタイル

セルフ・コンパッション研究の第一人者であり、現在、テキサス大学オースティン校の准教授を勤めるクリスティン・ネフ氏によれば、コンパッションとは、苦しみの原因を理解し、それを乗り越えるために何ができるかを考え、行動に移すことを指す。一方でセルフ・コンパッションは、自分の困難に対して、優しさ(自分を受け容れる)と強さ(困難に立ち向かう)の両方を発揮して行動することをいう。

自分を癒やすための「優しさ」と、苦しみを乗り越えて成長や自信を得るための「強さ」の両方が必要で、この方法により自己批判が減り、心理的な安定が得られるとされている(『自分を解き放つセルフ・コンパッション』より)。

また、似た概念にマインドフルネスがあるが、こちらは「今この瞬間」に意識を集中し、感情や思考をただ観察することに重きを置く一方で、セルフ・コンパッションは自分に優しく接することを強調し、自己肯定感を高めることを目指している。

セルフ・コンパッションは特に女性に必要

女性は社会的な役割や期待から、自己評価が厳しくなりやすい傾向がある。職場において女性は、まるでマスコットのような役割を演じさせられることもあった。「仕事での成功」を掲げ、さらに「完璧な母親」を目指し、「外見の美しさ」も気にかけるなど、日々、さまざまなプレッシャーが重なり、どんどん自己批判が強くなってしまうのだ。

クリスティン・ネフ氏は、著書で以下のように記している。

「歴史上の現時点において、とりわけ女性にセルフ・コンパッションが必要だと考えています。女性は男性からのマンスプレーニング(mansplaining:男性が女性に対して見下した態度で説明やアドバイスをすること)を受け、無能であるかのように扱われることにうんざりしています。私たちは今こそ、適切な報酬を受け取り、ビジネスでも政治の世界でも、国際的なリーダーとして、男性と同等の権力や発言権を持たなければなりません」(『自分を解き放つセルフ・コンパッション』より)

セルフ・コンパッションは、さまざまなプレッシャーからあなたを解放し、自分を大切に扱うことで、心のバランスを保つ手助けとなるだろう。

セルフ・コンパッション2
Farknot_Architect / iStock.com

セルフ・コンパッションの実践方法

セルフ・コンパッションを実践するためには、まず、自己批判に気づくことが大切である。研究によれば、職場における無意識のジェンダーバイアスを減らす過程で、何よりも重要なステップも、それを直視することなんだとか。

自分が自分をどう評価しているのかを観察したら、その際に自分に優しい言葉をかける練習から始めてみよう。

具体的には、困難に直面したとき、友人に話しかけるように「今はつらいけれど、それは誰にでも起こること」と共感して認識する。さらに、深呼吸やリラクゼーションの技法を取り入れて心身をリセットし、感情に対する距離を取ることで、落ち着いて自分に優しく接する態度を育むことができる。

また、失敗や苦しみは自分だけのものとせず、「他者とも共有できるもの」として捉えることで、孤独感を和らげることも大切だ。

セルフ・コンパッションを学べる書籍3選

セルフ・コンパッションについてより深く学びたい方に向けて、特におすすめの書籍を3冊紹介したい。これらの本は、それぞれ異なるアプローチから考え方や実践方法を解説しており、初心者から実践を深めたい人まで役立つ内容となっている。自分を優しく受け入れるためのヒントやスキルを、日常生活に取り入れるために役立つ実践的なガイドとして活用できるだろう。

自分を解き放つセルフ・コンパッション
自分を解き放つセルフ・コンパッション

「自分を解き放つセルフ・コンパッション」(英治出版)/クリスティン・ネフ(著)

セルフ・コンパッションの第一人者であるクリスティン・ネフが、科学的根拠に基づいた実践方法を提供している。「#Me Too運動」も本書を書くきっかけになったというように、特に女性に向けたセルフ・コンパッションの解説がなされている。ジェンダーによる社会的な期待や誤った役割の認識を打破する力を、セルフ・コンパッションがもっていると本書にはつづられている。

また、27のWorkもついており、自分の「セルフ・コンパッション度」を確かめられたり、自分を落ち着けてサポートするためのタッチ方法を学べたり、実際に困難な状況に立ち向かうときの行動と結びつけられたりしており実践しやすい。本書に書かれているデータの多くが米国内の状況であるのに対して、付録として、「日本と海外のデータ比較」があるため、自分の状況を振り返る手助けとなる。

子どものためのセルフ・コンパッション: マインドフルネスで自分を思いやる81のワーク
子どものためのセルフ・コンパッション: マインドフルネスで自分を思いやる81のワーク

「子どものためのセルフ・コンパッション: マインドフルネスで自分を思いやる81のワーク」(創元社)/ロレイン・ホッブス、エイミー・バレンティン(著)

子どもにもセルフ・コンパッションの大切さを教えるためのワークブック。親としての視点にたって子どもと一緒に学ぶこともできるうえ、セルフ・コンパッションを初めて学ぶ大人にも入門編としてとてもわかりやすい内容になっている。

シンプルな言葉と具体的なアクティビティを通じて、自己批判をやめて自分を受け入れる方法がていねいに解説されている。感情を整理し、自分に優しくするスキルを少しずつ身につけられるので、セルフ・ケアに関心がある初心者に最適なガイドとなる一冊だ。

マインドフルネスそしてセルフ・コンパッションへ ~苦しい思考や感情から自由になる~
マインドフルネスそしてセルフ・コンパッションへ ~苦しい思考や感情から自由になる~

マインドフルネスそしてセルフ・コンパッションへ ~苦しい思考や感情から自由になる~(星和書店)/クリストファー・K・ガーマー (著)

ベストセラー『マインドフル・セルフ・コンパッション ワークブック』のガーマー博士による新刊。まずはマインドフルネスを通じて気づきのスキルを養い、その上でセルフ・コンパッションを実践するためのガイドである。

自己批判や痛みに対して優しさと理解をもって対応する方法を、具体的なエクササイズを通じて学べる実践的な内容だ。自分に優しく接し、日常生活の中でセルフ・ケアを根付かせるプロセスでていねいに導いてくれる。

text: Tomoko Komiyama

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関連情報
  • 自分を解き放つセルフ・コンパッション
    英治出版
    クリスティン・ネフ(著)
    ¥2,640
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