プロジェクションマッピングを投影した吹き抜けのアトリウムには、壮麗な舞踏会をイメージしたイブニングドレスを圧巻のスケールで展示 photo: ©DAICI ANO
東京都現代美術館で開催中の「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展が話題を呼んでいる。パリを皮切りに、ロンドン、上海、ニューヨークなど、世界各地を巡回してきた壮大な回顧展。1,000点を超える貴重なアーカイブ作品とともに、「ディオール」と日本が育んできた深い絆を称える特別な展覧会の見どころを紹介。

創設者クリスチャン・ディオールの先駆的なビジョンから始まった75年もの創造の軌跡と、メゾンに影響を与えた日本文化へのオマージュを掲げ、フロランス・ミュラーのキュレーションで再考案された「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展。会場はテーマ別に13の展示室で構成されている。



1947年に発表しファッション史に革命を起こした「ニュールック」を象徴する「バー」スーツに始まり、ムッシュ ディオールの情熱を引き継いだイヴ・サン=ローラン、マルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、マリア・グラツィア・キウリといった歴代のクリエイティブ ディレクターによるオートクチュールが一挙に展示され、メゾンの過去と現在を振り返るという壮大な内容だ。

最大の見どころのひとつは、メゾンと日本の特別な関係をひもとくセクションだ。日本に進出した初の西洋ファッションブランドとして、「ディオール」は1953年に鐘紡および大丸と契約を結び、同年に帝国ホテルでファッションショーを開催。その当時に発表された作品や、葛飾北斎の浮世絵をモチーフにしたジョン・ガリアーノによる作品、マリア・グラツィア・キウリ初の東京でのオートクチュールショーで披露した“ジャルダン ジャポネ”ドレスなどにスポットライトが当てられた。両者の間で交わされた手紙やスケッチ、日本各地で行われたショーの資料など、初公開となる貴重なアーカイブ資料も必見だ。


会場の随所には、日本人写真家・高木由利子が本展のために撮り下ろした作品がちりばめられ、詩情豊かな日本の美意識を表現している。各展示室のテーマに合わせて厳選された、東京都現代美術館所蔵の美術作品も注目だ。日本庭園をイメージした空間では、柴田あゆみによる藤の花の切り絵が天井を覆い尽くすなど、圧巻のインスタレーションにも目を奪われる。
「ディオール」のクリエイションに影響を与えた日本文化とその関係性をひもとく本展。観るものを夢の世界へと誘う壮観な空間で、「ディオール」の伝統と歴史を体感したい。


