連日、日本人選手のメダルラッシュのニュースが届き、わいている「ミラノ・コルティナ2026オリンピック」。深夜の観戦で寝不足が続いている方も多いのでは。その観戦の楽しさを高めてくれているのが、スイスの名門ウォッチメーカー「オメガ」であることをご存知だろうか。オメガが紡いできた計時の進化の歴史と、その一端を感じられる国内イベントをご紹介。折り返し地点を過ぎた今、残りの日程をさらに気分を盛り上げて、全世界の選手の活躍を応援しよう。

五輪のテレビ観戦の際、今では当たり前となっている画面に表示される競技のタイム。実は、これはオメガの技術「オメガスコープ」によるものだ。初めて導入されたのは、1964 年のインスブルック冬季大会のこと。この技術のおかげで、会場の外にいる観客が競技の状況を迅速かつ正確に把握できるようになり、“リアルタイム”で、臨場感あふれる五輪の楽しみ方ができるようになったのだ。
4年後の1968 年、グルノーブル大会では「インテグレーテッド タイミング」を初めて導入。これにより、プレス、テレビ局、審判員、そして一般観客に対して、競技パフォーマンスに関する詳細な情報や、統計データを提供できるように。さらに進化した「オメガスコープ」により、選手名、リアルタイムの計時、最終タイム、中間タイム、スピードといった、競技にまつわるさまざまな情報をテレビ画面に表示することを可能にし、結果だけではなく、“競技のドラマ”を味わえるようになった。
オメガと五輪との歴史は、1932年のロサンゼルス夏季大会で史上初の公式計時を担う単一ブランドに選ばれたことから始まった。以来、世界各地で開催された32の 大会でオフィシャルタイムキーパーを務めてきた。冬季五輪で初めてオフィシャルタイムキーパーを担ったのは1936年のこと。オメガの時計技師だった29歳のポール・ルイ・ギニャールが、ガルミッシュ パルテンキルヘンへたった一人で赴いた。彼の務めは、27 個のストップウォッチの調整とクリーニングを行い、必要に応じて修理すること。細心の注意を払ってケアされた27個の時計で、すべての競技の計時を行った。
オフィシャルタイムキーパーの名前に恥じないように、進化に努めたオメガの計時技術は、五輪の歴史をも変えた。電子時代への変革はオメガによる。まず、1948年に初めて使用されたオメガの「光電子計時装置(フォトセル)」。スピードスケートのゴールラインに設置されている赤い小型ボックスのことで、氷面から 2〜3 センチの高さで光線を発し、選手のスケート靴がラインを通過した瞬間に時計を自動停止するシステム。この革新的な技術は、人間の目による不確かな判定に代わるものとして導入された。同年の夏季大会では、オメガは初めてフォトフィニッシュカメラを導入し、計時のあり方を根本から変えることにもつながった。
アルペンスキー競技における「スターティング ゲート」や「ゲームオーマティック」という技術もオメガが導入。ゲームオーマティックは、選手がゴールラインを通過した瞬間に、順位を計算して表示するもので、独自のデータプロセス装置を有している。


オメガの「モーションセンサー」と「ポジショニングシステム」により、アルペンスキーのリアルタイム速度や、スキージャンプの高さなど、選手の詳細なデータをライブ測定することができるようになった。これにより、勝敗を分けたポイントや、どこで差をつけられたのかが明確になり、競技の「全体像」をも把握できるようになった。さらに、AIソフトウェアと組み合わせることで、フィギュアスケートでは、リンク周囲に設置されたトラッキングカメラがジャンプの高さや幅(飛距離)などのライブデータを記録。スピードスケートでは、初めて自動でフライングスタートを検知することが可能になった。
正確性への追求にも尽力している。1992 年、アルベールビル大会で初めて登場した「スキャン オー ビジョン」と呼ばれるカメラにより、デジタル計時で、約 1000 分の 1 秒まで計測できるようになった。現在では、100 万分の 1 秒の分解能(計測できる最小値)を持つクァンタムタイマーを使用して、電子装置による計時を行っている。タイマーに埋め込まれたマイクロクリスタルによって駆動し、以前のバージョンに比べて 5 倍の正確さを誇る。
「電子スターティングピストル」の導入は、競技自体のあり方も変えた。電子スターティングピストルは、従来の火薬式ピストルに代わり、フラッシュガンとサウンド生成ボックスで構成された流線形の革新的な装置。スターターがトリガーを押すと、音が鳴り、光が点滅し、スタート信号が計時装置に転送されるというアクションが同時に起こる。選手はスタート位置により、聞こえの誤差が出ずに平等なダッシュが切れるようになったのだ。クロスカントリースキー、スピードスケート、ショートトラックスピードスケートなどの競技で使用されている。

こういった技術革新には、オメガのある思いが詰まっている。それを伝える言葉が56年の冬季五輪のオメガの広告に残されている。「1秒よりもはるかに短い時間が決定的な差になるような、あらゆる国や民族のスポーツエリートたちによる競争では、公式タイムは疑いの余地がいっさい残らないものでなければなりません」

観戦の楽しみでいえば、「高解像度スコアボード」。これもオメガの技術による。スコアボードには、文字やライブ情報だけでなく、アニメーション、アスリートの写真、ビジュアルイメージも表示。各競技のドラマやスリル、興奮に加え、最先端の演出によって勝者の名前、結果、国旗が鮮やかに表現されるのだ。
2024 年パリ夏季大会で初登場した「スキャン オー ビジョン アルティメート」フォトフィニッシュカメラも、今大会で導入されている。この次世代システムは、現在市販されている写真判定カメラの中で最も高解像度を備えたカメラで、ゴールライン上で 1 秒間に最大 40,000 枚のデジタル画像の記録ができるもの。これにより、審判は結果の判定をより迅速かつ明確に行うことができ、僅差の勝負も正確に見分けられる。ショートトラックスケート、クロスカントリースキー、スキークロス、スノーボードクロスなどの競技で使用されている。
さらに、オメガの「コンピュータービジョンテクノロジー」とグラフィック技術「ヴィオナード」の融合により、初めて導入された技術も。まず、フィギュアスケート競技のブレード(スケート刃)の検知。演技やジャンプの完成度を示す重要な要素である選手のブレードの角度を検知するものだ。ペア競技ではそれぞれの選手を識別できるようになり、演技中の技やジャンプの種類を即座に検知して画面に表示することが可能に。これは審判だけでなく、テレビ視聴者にとっても大きなメリットとなっている。
スキージャンプ競技では、勝敗を分ける重要な区間とされている踏み切り前の10メートルと踏み切り後の20メートルをより詳細に解析できるようになっている。選手の身体の動きや姿勢など、踏み切りの各瞬間における特徴的な体勢を可視化。飛行姿勢で最も多いミスである「回転不足」や「回転過多」も、明確に特定できるようになった。この技術には、選手が装着するセンサーに加え、3〜4 台の高速カメラ、さらにストロボ画像生成専用カメラが使用され、データに重ねて表示される。
ビッグエア競技では、4〜6 台の高速カメラによって、これまで以上に多くのデータを取得できるようになった。スノーボードやスキーのジャンプ競技では、踏み切りから着地までの間に、速度、回転数、高さ、距離、3D ビジョンで身体の位置とともに記録され、ジャンプの軌道がストロボグラフィックと組み合わせて表示され、ジャンプ全体の流れを視覚的に把握できるようになった。
また初めて、ボブスレー競技において、各チームがゴールラインを通過したタイミングを視覚的に比較できる合成フォトフィニッシュ画像の提供も始まった。