そしてブルーに限らず、「ロレックス」が提示したラベンダー、ベージュ、ピスタチオといったニュアンスカラーが他社からも登場し、一気に数を増やした。「ピアジェ」が古くから得意としてきたストーンダイヤルは、これまでニッチな存在だったが、今年は多くのブランドが試みていたのは、新たな表現を模索した結果なのだろう。


素晴らしい複雑時計、革新的な新ムーブメントもいくつか見られたが、それ以上に今年は外装の審美性を高めることに重点が置かれたとの印象だった。「ヴァシュロン・コンスタンタン」が創業270周年を記念して製作した三つのユニークピース“レ・キャビノティエートゥール・ド・リルへ敬意を表してー”のようなメティエダール(芸術的な手仕事)は、その頂点となる作品である。




スイス時計業界は、2022年、2023年の記録的な急成長から、昨年マイナスに転じた。ヴィンテージスタイルの台頭や外装の上質化が図られたのは、原点に立ち返り、真摯(しんし)に時計製作に向き合った帰結であろう。そして多様化した華やかなダイヤルカラーが、時計界の未来を明るく照らす。