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映画を日々の生活に取り入れることで、さらに豊かに幸せな人生が送れるようなすてきな作品をお届けする【人生がもっと豊かになるDIZのCinemaLike Life】第15回。
1年間、連載を読んでくださった皆様、ありがとうございます。今回で最後となるこのコラムでは、たくさんの映画に出会った2023年下半期の中で、これだけは見逃さないでほしい!というベスト3作品をネタバレなしでご紹介。あなたにとって今年を締めくくるにふさわしい、心に残る極上の傑作に出会えますように。

人間の究極の幸せを描く2023年最も美しい哲学映画
あなたにとっての「幸せ」とは……? ありきたりな景色、ルーティン化した退屈な仕事、変わり映えのない人間関係。そんな、何も特別じゃない日常の中にこそ、「幸せ」ってあるものなんだな、と気づかせてくれる映画に出会えたら、人生はもっと豊かになる。そんな感性が磨かれて幸せの解像度が高まる映画が、まさにこの「PERFECT DAYS」である。観てから数週間経った今でも、その余韻が続いている。
東京・渋谷で公共トイレの清掃員として働く平山の静かで淡々とした日々をただひたすらに追うだけのシンプルなドキュメンタリーのような映画。彼の毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれない。しかし、彼にとって1日として同じ日はなく、毎日が詩的で、一瞬一瞬が新しさに満ちている。平山が些細(ささい)なことに幸せを感じて、木漏れ日やすれ違う人々や猫、移りゆく空模様に感動する表情を見ていると、毎日をもっと大切に生きようと思えるのだ。こんなふうに毎日を生きられたら、未来への不安も、社会や他者への不満とも無縁だろう。

主人公・平山を演じた役所広司は第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した。ほとんどセリフがない中でも、一瞬一瞬を大切に生きる幸福に満ちた人生が表情から溢(あふ)れ出る素晴らしい演技で世界中の人々の心を揺さぶる。事細かに状況や背景を説明しないので、倍速視聴のような近年のエンタメの楽しみ方は全くできない作品だ。だからこそ、その瞬間にしかない時のきらめき、余白の尊さが現実にまで溶け込んでいく。「幸せ」って何気ない瞬間に宿っているんだ、と当たり前の日々が愛おしくなる2023年もっとも哲学的で美しい、出会えたことに感謝したくなる映画だ。
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