きれいをつくる女性たち 「ナチュラグラッセ」吉井利依

Beauty

2026.05.22

きれいをつくる女性たち 「ナチュラグラッセ」吉井利依

コスメティックの世界にも「顔が見えるものづくり」が広がりつつある。原料や産地とのつながりへのこだわりは、「美しさとは自然と人の関係そのもの」という価値観の表れであり、地域の新たな活路ともなりうる。それを体現するブランドのつくり手をたずね、肌に届くまでのストーリーを聞いたインタビュー連載。第5回は、スキンケア発想のベースメイクを提唱する『ナチュラグラッセ』。2025年にブランドマネジャーに就任した吉井利依が、前任の矢内真樹子から受け取ったポリシーについて。

美容液成分を含む化粧下地ができるまで

「メイクアップ クリーム」は、肌が“呼吸している”ような軽やかさが印象に残る。スキンケア発想のベースメイクを掲げる『ナチュラグラッセ』を象徴する存在だ。植物由来の美容成分を含み、せっけんで落とせる処方は、化粧下地の概念に新たなスタンダードを提示している。

吉井利依さん

──ベースに加え、ライトファンデーションや日焼け止めの役割など1本で5役を担います。肌をととのえながら美しくカバーする設計は、リリース当時は、画期的でしたよね。
吉井 今でこそ化粧下地をスキンケアの一環とする概念が浸透していますけれど、『ナチュラグラッセ』がデビューした2008年前後はまだ一般的ではなかったです。ただ、私たちにとって肌の手入れもかなうメイクラインを生み出すのは、必然でもありました。

──それは、なぜですか?
吉井 私たちの会社『ネイチャーズウェイ』は、1974年にイギリスのオーガニック基礎化粧品の輸入代理店として創業しました。2年後にはスイスの『ヴェレダ』も仲間入りし、91年には化粧品の製造も始めます。2001年に発表した自社ブランド『バイオラブ』も含め、一貫して、スキンケア製品を扱ってきました。それらを愛用してくださる方から「メイクラインも作ってほしい」というリクエストを受けて開発したのが、『ナチュラグラッセ』です。既に成熟した分野で私たち“らしさ”を出すにはどうすればいいか?というのを考えていたときに、発想を転換しました。

──どんなふうに視点を変えたのですか?
吉井 国内最古の植物化粧品メーカーとして培った、スキンケアの知見と技術を核にしました。自然由来の美容成分をベースに、ミネラル顔料で発色し、下地とファンデーションを創作したのです。

──付け心地が軽く、プロテクション効果も高い。ハーブが持つ力強さに驚きます。
吉井 雨風や日照りといった過酷な環境で生き抜く草花には、たくさんのパワーが秘められています。その恵みを存分に受け取れるように、今も研究を進めています。

──自社農園もお持ちですよね。
吉井 はい。山梨県北杜市でオウゴンやゼニアオイなど30種類ほどのハーブを有機栽培しています。日照時間が日本で一番長く、寒暖差も大きいこの地に根付くものは非常に強い。ちなみに「メイクアップクリーム」には​​ここで育ったオウゴン根、ゼニアオイの花と葉と茎のエキスが使用されています。

──夏の定番「UVミントレモンシリーズ」には北海道滝上町産の和ハッカを使用しています。
吉井 前任者が探し求めてようやく見つけた素材です。2024年から限定品に取り入れて、2025年は「UVプロテクションベースML」と「スキンケアシールドルースパウダー UV ML」を展開しました。2200人ほどが暮らす町で育つ和ハッカは、フルーティーな香りが特徴です。

楚々(そそ)とした花姿が印象的な和ハッカ
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