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世界に3本だけ!真ちゅうの「モエ・エ・シャンドン」を制作した、ジュエリー職人カルル・マズロにインタビュー

新たなチャレンジを楽しみながら制作するジュエリー職人のカルル・マズロ氏

去る2022年12月、真ちゅう製の特別ジュエリーボトル「モエ・エ・シャンドン モエ アンペリアル Effervescence(エフェルヴェソンス)ジェロボアム」が発売された。ジュエリーとシャンパーニュという、二つの芸術世界が交わり誕生したボトルは、時代を超越した技術、熟練した技への敬意、天然資源への深い感謝の念などを体現している。

真ちゅうの「モエ・エ・シャンドン」が発売されるのは、世界でフランス、イギリス、日本の3か国のみ限定3本だ。「 モエ ・ エ ・ シャンドン Effervescence 2022 」 イベント会場にて 初めてお披露目され、盛り上がりを見せた。

「モエ・エ・シャンドン モエ アンペリアル」ジェロボアム
「モエ・エ・シャンドン モエ アンペリアル」ジェロボアム
パーティー会場の様子

パーティーには、真ちゅうのボトルを制作したデザイナー、フランスのジュエリー職人カルル・マズロ氏も来場。そこで、今回のクリエイティブについて、編集部がスペシャルインタビュー。日本にも滞在したことがあるというカルル氏、創作には日本ならではの心構えも影響しているとか。その他、真ちゅうを選んだ理由や、デザインの着想源など、気鋭の芸術作品が生まれるまでについて話を聞いた。

──ボトルデザインのオファーを受けたとき、どんな気持ちでしたか?

とても光栄でしたし、新しいチャレンジができることへの高揚感も得ました。日本の文化と関われるのもすごくうれしくて。ジュエリー制作で培った技術を、新しい表現の場で発揮できる上に、日本の文化ともコラボレートできる。なんて、ラッキーなんだ!と。日本語で言うところの、「がんばります!」という気持ちでしたね。

──デザインのインスピレーションの源となったのはなんでしょうか。また、制作過程で苦労したことは?

一番、頭を悩ませたのは“サイズ感覚”です。いつも制作するジュエリーは2cm程度のサイズが多いのですが、今回はその約10倍の大きさ。さらにジュエリーは、360度の視点で見られますが、ボトルはそういうわけにもいかない。新しい道具をそろえ、使い方を覚えるというプロセスが必要でした。大変でしたが、創作意欲が刺激され、より豊かな作品になったと思っています。

また、先入観を持たず、自分の内から出てくるイマジネーションのみで新しいものを作りたいと思っていたので、これまでの「モエ・エ・シャンドン」のデザインボトルは、あえて見ないようにしました。

──真ちゅうを用いた理由は?

いくつかあります。まず、真ちゅう(亜鉛と銅の合金から作られる)、シャンパーニュともに、アッサンブラージュ(ブレンド)されたものだというとこです。作られる工程が同じなんですよね。こういうところに引かれました。

次に、真ちゅうという素材は、光の反射やコントラストがおもしろいんです。一日のなかでも朝、昼、夜と時間帯によって印象が変わり魅力的に感じます。

三つ目は、経年変化を楽しめる金属だという点です。私の好きな日本語の一つに「移ろい」という言葉がありますが、この真ちゅうのボトルも、流れる時間のなかで、多くの人に触れてもらい、様々な人の人生と関わりながら、趣や表情が変わっていくはずです。

だから、5年後、10年後、20年後の姿を予測し、その変化を見越して作品をイメージしました。このボトルを購入した人や見た人も、そのときどきの表情を観賞してほしいです。時を重ねることでしか得られないたたずまいを楽しんでほしい。そしてその度に、私のクラフトマンシップにも思いを巡らせてもらえるとうれしいです。

購入者のみが知り得るボトルの一番下に隠れているアートPhoto:Masaaki Nakajima
お問い合わせ先

MHD モエ ヘネシー ディアジオ
公式サイト https://www.moet.com/ja-jp

Profile

カルル・マズロ

パリ在住の宝飾デザイナー。ジュエリー職人の父とピアニストの母の間に生まれ、クリエイティブな環境で育つ。卓越した専門技術を持つクラフトマン・ジュエラーであり、伝統的なジュエリー製作と斬新なテクニックをハイブリッドしたスタイルがトレードマーク。機械ではなく手を使った伝統的な技法が特徴。2021年にベッタンコート・シューラー賞「Talent d’Exception」部門、2020年にロータリークラブ賞「Artisanat d’Art」など、長年にわたって多くの賞を獲得している。

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