遠藤航・サッカー日本代表の素顔に迫る! 感動をありがとう「ワールドカップ2022」
2022.12.27
2022.12.27
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新刊のタイトルは『DUEL〜世界で勝つために「最適解」を探し続けろ』。サッカーの戦術について語られている本かと想像していると、まず驚くのが“はじめに”だ。「僕には子どもが4人いる」という一文から始まり、「子育ては難しい」と気持ちを吐露する箇所もある。
20歳のときに初めて父親となり、29歳の現在では3男1女の4児の父親である遠藤選手。20代で4児の父親というのは、一般的にも稀な存在だ。本の中で、子育てについて尋ねた担当編集者が振り返る。
「サッカー選手だったら、自身の子育て論についてそれなりに自信たっぷりに話すことが多いと思うんですけど、遠藤さんは違う。『僕はビジネスマンのお父さんと違っていつも家にいるから、参考にならないかもしれないけど……』と枕詞がつけられる人なんです」
「一般的な働き方ではないから参考にならないかもしれないけど、それでもいいですか?」という一言は、インタビュアーにとってある意味衝撃だったそう。
「全体を一歩引いて見る視点がある人なんです。ある意味、サッカー選手らしくない(笑) でもそれが遠藤選手の人柄で、魅力なんだと思います」
著書の中では、フィールド外の心のよりどころとして、家族の存在がいかにプレーによい影響を与えているか気持ちがつづられている。その温かいまなざしが、遠藤選手の人柄を物語っているよう。
「『子育てはもちろん大事だけど、奥さんが大変だと思っていることを率先してやってあげるのが、いい子育てにつながる』そういう感覚がちゃんとある人なんです。自分がやるべきことを俯瞰して考えて、実践する。それをサッカーだけでなく、子育てにおいても同じ姿勢でやっているから、本当にすごいなと思うんですよね」(担当編集者)
現在はドイツを拠点にプレーしている遠藤選手。今回の日本滞在でも、その人柄が滲み出るエピソードがあると言う。
「今回日本に戻ったわずかな時間では、イベントのほかにメディアへの出演などスケジュールがぎっしりだったんです。そんな中でも、『これは書店さんのためにもやらなきゃね』と夜中の1時まで本にサインをしてくれました」(担当編集者)
サッカーでも子育てでも「正解」を求めない姿勢。遠藤選手が多くの経験を通して行き着いたその哲学は、サッカーにおける戦術のみならず、子育て中に感じる壁、ビジネスでチームをまとめ上げなければならないシーンなど、私たちの暮らしにも多く通ずるはずだ。次期キャプテン候補としても呼び声の高い遠藤選手の今後が、楽しみでならない。
photo: Tomoko Hagimoto text: Akiko Yoshida
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『DUEL~世界で勝つために「最適解」を探し続けろ』(日本ビジネスプレス) 定価¥1,650
4年前、試合に出ることができずロシアW杯を去った男は、たった4年間で日本代表に欠かせないドイツでNo.1の男へと成長を遂げた。そこにあった秘密とは? 結婚して驚いたことや選ぶ本、ちょっと意外な趣味、子育ての先に抱く密かな夢…etc. 遠藤航の脳内をのぞき見できる1冊。
https://www.synchronous.jp/list/authors/wataruendo
Profile
遠藤 航
1993年2月9日生まれ。神奈川県出身。湘南ベルマーレにて17歳でJリーグデビューを果たし、19歳で主将に抜てきされる。その後浦和レッズ、シント・トロイデン(ベルギー)を経て、2020年よりドイツの名門シュツットガルト所属。今シーズンからはキャプテンを務める。
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