伝説の照明「セルジュ・ムーユ」の誕生秘話とは? 実は知らない名品モノガタリ
2022.12.13

時流には流されないが、時をしなやかに受けとめ、そして時代を超えて愛される。暮らしを彩るそんな名品の数々を紹介する連載。今回は極めてシンプルでいて、どこか有機的なデザインが見る者を惹きつける「セルジュ・ムーユ」の照明をピックアップ。
2022.12.13
時流には流されないが、時をしなやかに受けとめ、そして時代を超えて愛される。暮らしを彩るそんな名品の数々を紹介する連載。今回は極めてシンプルでいて、どこか有機的なデザインが見る者を惹きつける「セルジュ・ムーユ」の照明をピックアップ。
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セルジュ・ムーユは1922年パリ生まれ。応用美術学校を卒業後、独立。1952年、建築家・デザイナーのジャック・アドネが主宰するCompagnie des arts Françoisに照明デザイナーとして招かれたのを機に、1950年代前半から60年代半ばまで10年余りの短期間に彼の代名詞ともいえる美しい照明の数々を生みだした。
ゆるやかな美しいカーブを描くシェードに、昆虫や植物の葦(あし)を思わせるようなアームや脚。オーガニックでいてシャープ、そして機能的なその照明は注目され、シャルロット・ペリアンやジャン・プルーヴェ、イサム・ノグチらの作品とともに、1956年パリのデザインシーンをリードした「Galerie Steph Simon」で展示・受注生産がスタートした。
時を経て、いったん市場から外れかけたその名品を再発見したのがイデーの創業者である黒崎輝男氏だ。1980年代、パリのクリニアンクールの蚤の市でまるでゴミのように積まれていた照明器具の中からこの宝を見いだしたという。その後、セルジュ本人とも会い、ふたりは意気投合。日本に招いたりと交流を深め、1984年に一連のランプの再生産がスタートした。美を創造する作り手と、その美を見いだす目利き。その両者の出会いがかなえた名品復活だ。
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