【界を唎く】温泉、伝統文化、そして日本海の育んだ食材。それらすべてを堪能できる「界 加賀」で心と身体を養生する

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2022.12.09

【界を唎く】温泉、伝統文化、そして日本海の育んだ食材。それらすべてを堪能できる「界 加賀」で心と身体を養生する

夕暮れ時の「界 加賀」。紅殻格子の色合いが艶めかしい雰囲気を醸し出す

北陸の冬の味覚、ズワイガニを味わい尽くす

もっとも、冬場に北陸を訪れる醍醐味の一つは活ズワイガニを味わうことだろう。ズワイガニの漁期は11月から翌年3月にかけてで、その時でなければ水揚げされたばかりの活蟹を楽しめないからだ。そのために、全国各地、いや世界中の美食家が北陸を目指す。当然、「界 加賀」でも漁期に合わせて11月7日から翌年3月4日まで(年末年始を除く)、活ズワイガニをダイニングで楽しめる。

右下が「活蟹のしめ縄蒸し」。活蟹尽くしに写真を見ているだけでもよだれが……

例えば、「活蟹づくしのタグ付き蟹会席『極み』」は、蟹の刺し身から始まって活蟹雑炊まで、8品に活蟹を使った文字通りの「極み」のコース。その中でもハイライトが、「活蟹のしめ縄蒸し」だろう。産地や漁を行った船のタグが付いた大ぶりなズワイガニ1杯を丸ごと、塩水につけた縄で結わいて蒸し上げたダイナミックで贅沢な一品だ。古い文献に記されていた蟹の調理法をヒントにし、蟹に縄を巻き付けることで間接的に熱が伝わるため、よりジューシーに蒸し上がるのだという。そのユニークな調理法はかつて、ミシュランガイドでも称賛された。

北陸を愛した批評家の吉田健一は「金沢の蟹」と題したエッセーで、「海で取れるもので本当に旨いものは必ず海の匂いがする」と書いた。実際、「界 加賀」でいただいた会席は、甘く香ばしい蟹を食しているというより、日本海の滋味、そのものをいただいているような感覚。コースを食べ終えると、「海の匂い」にどっぷりと浸かっている気がする。

「器は着物」と唱えた美食家の魯山人がかつて白銀屋に長逗留していたこともあって、蟹を盛りつける大皿などは地元の九谷焼作家に依頼して特注。活蟹のシーズンが終わっても、ノドグロやアワビといった旬の食材を使った料理と器のマリアージュも楽しめる。空腹を満たし、命を繋ぐための食事というよりは、地元の食材が調理法によって皿の上で見せる異なる表情を、五感を駆使して唎き分ける文化体験の趣に近いのだ。

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