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「マリ・クレール」日本上陸40年。女性誌のプロトタイプを作り続けて

アルマーニが編集部で校了を!

私がかかわるようになったのは90年代になってからですが、いろいろ記憶に残ることがありました。作家の村上龍さんとオノ・ヨーコさんの対談、当時の「エトロ」のクリエイティブ・ディレクター、キーン・エトロと吉本ばななさんの対談、ジョルジオ・アルマーニ自身に初めてカバーに登場してもらったことも忘れられません(撮影はミラノのアルマーニの自宅で行われましたが、アルマーニは東京の編集部に来て校了のサインまでしてくれました)。

1998年1月発行のG・アルマーニ特集号(中央公論社)

美容界では毎年恒例になった「マリ・クレール ボーテ大賞」の発表があります。フランス本国では競合誌の編集者まで審査員に加わっていて、前年に発売された優秀なコスメを表彰するというもので、今では多くの雑誌が独自の美容賞を設けていますが、その先駆けは『marie claire』でした。この賞を受賞すると売り上げも大幅に増え、フランスでは最も権威ある賞として現在も続いています。

2012年からは読売新聞に挟み込まれる形で、新聞の購読者の方の家庭に届く形になりましたが、このような発行形態は、日本では『marie claire』が最初の試みでした。

現在では発行元も読売新聞東京本社となり、WEB版に関しても昨年リニューアルし、アクセス数も着実に増えています。

40年にわたり、弊誌が生き続けることができたのは、時代によってその形を変えてきたからだと思います。

弊誌がコンテンツで取り上げる欧米のブランドも同様です。ブランドの成り立ちは当初、欧米の王族や貴族のためのものでしたが、時代の変遷に合わせて、変わってきました。今やラグジュアリーブランドと言っても、ごく少数の選ばれた人たちのために存在しているのではなく、その高いクオリティや職人技、またブランドの持つ物語に興味を持つ方たちによって支えられているのです。近年はさらに地球環境にどれだけ配慮しているのかや、人権に対してどのようなことを考えているのかも、そのブランドの価値をはかる上で重要なポイントになってきています。

弊誌もそのような価値観を大切にし、また協調することによって、「マリ・クレール」というブランドをさらに長く続けていくことができればと思います。

2022年12月8日

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