起動すると駆けつけます

この仮説、じつはドイツの社会史学者シヴェルブシュの考えを援用したものなのだが、それほどに的をはずしてはいないと思う。
なぜかといえば、ローソクの時代には、炎そのものはつねに剥き出しで、装飾の精神はもっぱら燭台(しょくだい)にのみ向けられていたのに対し、電気照明においては、何よりも電球を覆うシェードの部分に装飾性が発揮されたからである。
つまり、光を覆いかくすランプ・シェードという発想は、電球の出現をもって初めて生まれたのである。いや、正確には、ランプ・シェードは電球をローソクの照度に少しでも近づけるための道具だったといったほうがいい。
新しいテクノロジーが出現するとき、そのどこかの部分に必ず前の時代のテクノロジーの影響が現われているものなのである。


photos by Shigeru Kashima
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鹿島茂