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「新たな命を吹きこむ」世界が注目する韓国人作家キム・ジュンスが作り出す革の器

ロエベ財団による「ロエベ ファンデーション クラフト プライズ 2022」ファイナリストに選ばれた新進アーティストのキム・ジュンス(KIM JUNSU)が、初の日本個展のために韓国より来日。素材との出会いや今後の展望について、話を聞いた。

ひと目見て、この器が革から作られていると気がつく人はいるだろうか? まるで木の年輪のように曲線模様が不規則に渦をまいている。植物から得られるタンニンでやわらかく加工した革・ベジタブルタンニンレザーを思い描く形に裁断し、幾重にも積み重ねる細やかな手作業を経てひとつのオブジェが作られていく。

今回来日したアーティストのキム・ジュンス(左)と展示された作品(右)

「ひとつの作品を作り上げるまでおおよそ2〜3週間ほど。大きい作品や染料を使ったものはそれ以上時間をかけています」と話すアーティストのキム・ジュンス氏。1987年に韓国で生まれた彼は、もともとはメタルや鉄鋼系を材料とした工芸を専攻していた。ところがイタリアでの経験が転機となる。

「大学院時代にイタリアのトスカーナ地方へ行き、そこでベジタブルタンニンレザーを使ったワークショップに参加しました。それまではメタルをはじめ多様な材料を使うことが多かったのですが、そこでレザーに触れ、衝撃を感じたんです」

メタルや鉄鋼などの無機質なものを多く素材として触れてきたキム氏にとって、そこに生命が宿っていた革に触れる体験はインパクトが大きかった。以降は「革に集中して作品を作っていきたい」と思うようになる。

なだらかな曲線が美しいオブジェたち。大小さまざまな作品が並んだ

「植物は動物とは異なり、環境にみずから適応していきます。一度生命を終えた皮にも、こうやってオブジェとして新たな命を吹きこんでいきたい。“命の循環”を作品からメッセージとして感じてもらえたらうれしいです」

オブジェには、作り方や工程によって名が付けられている。革の持つ色をそのまま作品に反映している代表的な作品は「Sense of Forest(=森の感覚)」。そして今回の個展の名前も同名だ。ここからもキム氏の自然、そしてはるかな時へのリスペクトの念が感じられる。

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