×

「在日イタリア商工会議所」事務局長ダヴィデ・ファントーニ氏が伝える、イタリアの魅力

「在日イタリア商工会議所」事務局長ダヴィデ・ファントーニ氏

1972年にイタリアと日本の間における商業的交易の促進のため東京で設立された「在日イタリア商工会議所(The Italian Chamber of Commerce in Japan =ICCJ)」。イタリア外務省から公式に認可されている協会で、イタリアと日本のビジネス関係を奨励し発展させることを目的としている。

活動内容は多岐にわたり、マーケティング戦略の向上やそのサポートなどを行う傍、新たな情報と知識を得るためのイベントやセミナーを定期的に開催するなど、精力的な活動を行なっている。今回、在日イタリア商工会議所の事務局長を務めるダヴィデ・ファントーニ氏が、本当のイタリアの魅力と「ICCJ」の活動について語ってくれた。

【関連記事】イタリアブランドを支援するプロジェクト「THE NEW ITALIAN COOL」始動

在日イタリア商工会議所とはどんな組織ですか?

すごく堅い組織だというイメージがありまよね。その堅いイメージは日本だけではなく、イタリアでもあります。

在日イタリア商工会議所は1972年東京で設立されました。さまざまなイタリアの企業が作った組織です。その後、イタリア政府に公式な組織として認められ活動しています。

活動の目的は、日本とイタリアのビジネス関係を促進することですが、活動内容は多岐に渡ります。例えば、インターネットが普及していなかった時代には、日本がどういう国なのかのリサーチを行なっていました。今は自由にネット上で検索できますから、私たちの活動内容も変わりました。イタリアの企業が日本に進出しようとしている時、また逆に、日本の企業がイタリアに進出したい時など、ベストなパートナーを見つけてスムーズに紹介するサービスを提案しています。そのほか、マーケティング、食、ファッションなどを絡めた経済フォーラムの企画、動画やウェブマガジンの制作、ソーシャルメディアマネジメントやイベントにも力を入れています。特に注力しているのは、「食」文化に関することですね。このように、活動の内容はとても幅広いです。

〈左〉マリ・クレール編集長 田居克人〈右〉「在日イタリア商工会議所」事務局長ダヴィデ・ファントーニ氏

コロナの影響は大きかったのでしょうか?

2020年という年は、私たちにとって最高の年になるはずでした。東京オリンピック・パラリンピック開催の年でもあり、私が「在日イタリア商工会議所」に携わって10年目という節目の年でもありました。この10年で優秀なスタッフ揃え、プロフェッショナルなチームを作り、たくさんのプロジェクトを2020年に予定していましたが、コロナウィルスの感染拡大によって、企画していたプロジェクトのほとんどが中止になりました。コロナ禍になり最初の2ヶ月ぐらい“どうしよう”という不安がありました。でも、“今できることをやりましょう”という思いで、ゼロから新しい企画を立ち上げて、スタッフを守りました。例えば、デジタルの仕事、翻訳、通訳などを行いました。また、zoomなどの普及で、プロジェクトをオンラインに切り替えて遂行できたことが功を奏して、2020年に企画していたプロジェクトの80%を実施することができました。この経験から生まれたプロジェクトが11月から目白押しです。

在日イタリア商工会議所主催Japan Olive Oil Prize 2020 で選ばれたエキストラバージンオリーブオイル

イタリアの食文化はすでに日本では人気ですが、これからはイタリアの食文化を正しく伝えたいとか?

そうです。「True Italian Taste(トゥルー・イタリアン・テイスト)」は「イタリア・サウンディング」問題を知ってもらうためにイタリアの政府が企画したプロジェクトです。「イタリア・サウンディング」というのは、イタリアを連想させる地理的名称、画像、商標を使用しているけれど、実際にはイタリアに帰属していない商品のことを指します。

例えば、スパゲッティにかける粉チーズ「パルメザンチーズ」。

すでに粉になっているチーズで便利ですよね。このチーズが大きな問題なのです。「パルメザンチーズ」と言われているチーズですが正しくは、「パルミジャーノチーズ」のことを指します。この「パルミジャーノチーズ」とはイタリアのパルマ地方、つまりエミリア・ロマーニャ州の辺りだけで作られているチーズで、その地域だけにある水、牛乳、人、伝統などによって作られ、「パルミジャーノチーズ」として認定されるわけです。

「パルメザンチーズ」と言うことで、「パルミジャーノチーズ」を連想させる、このことを「サウンディング」と言います。「パルメザンチーズ」は本当の「パルミジャーノチーズ」ではなく何種類かのチーズを合わせたチーズの粉です。こう言った「イタリア・サウンディング」問題と戦うために「トゥルー・イタリアンテイスト」という本物のイタリア製品を見分けるためのプロジェクトを6年前にスタートさせました。オンラインセミナーはもちろん、料理教室、オリーブオイルやワインなどのテイスティングなどを1年に数回開催しています。

True Italian Taste 公式ウェブサイト: https://authentic.iccj.or.jp

今月は魅力的なイベントが多数予定されていますね?11月18日(木)11月19日(金)の「MeDIET JAPAN 2021」とはどのようなイベントですか?

肉や卵、乳製品を控えめにして、野菜や豆、穀物、魚を中心に組み立てる食習慣を表す「地中海式ダイエット」がテーマ。イタリア、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、日本、イギリス、アメリカのミシュランスターシェフや有名大学教授など20名をゲストスピーカーに迎え、ウェルネスやウェルビーイングについてディスカッションする国際シンポジウムです。日本から、精進料理専門家の棚橋俊夫氏や京料理・懐石料理の料亭「菊乃井」代表の村田吉弘氏らが参加します。

MeDIET JAPAN2021 公式HP:https://mediet.jp/

トークセッションライブ決定 無料視聴可能(限定100名様)
開催日:11月19日(金)15時 ~ 19時30分(予定)オンラインライブ配信
事前登録制:登録はこちらから→https://cutt.ly/STca7H1

11月25日(金)の第11回全国イタリア料理コンクールとは?

日本国内の新たなシェフの発見、そして、イタリア郷土料理の本当の味の認知を目的として、ICCJが2010年より開催している料理コンクールです。テレビ番組の「料理の鉄人」のようなスタイルで、全国選りすぐりのイタリア人シェフ(日本人)の中から優勝者を決めます。全国のイタリア料理レストランの中から8名のファイナリストが選ばれました。そのファイナリストたちが、頂点を目指して腕を振るいますので、ぜひ、オンラインでご覧ください。審査員を務めるのは、全員在日イタリア人で有名シェフや大使館の方です。通年ですと、優勝者はイタリアのミシュラン星付きレストランで研修がありますが、コロナ禍で今年は開催できないのが残念です。

第11回全国イタリア料理コンクール ファイナリスト
西谷 栄人さん (Nishitani Shigeto / イタリア料理店 LiBERO)
木村 忠敬 さん(Kimura Tadahiro / RISTORANTE ALVERO)
星野 太斗さん (Hoshino Taito / marimo cafe&dining)
門平 光正さん (Kadohira Mitsumasa / トラットリア ディアボラ大宮店)
綾部 友也 さん(Ayabe Tomoya / Wine Maison ROPP)
山嵜 正樹 さん(Yamazaki Masaki / RISTORANTE Borgo KONISHI)
廣瀬 公彦 さん (Hirose Kimihiko / PIZZERIA GTALIA DA FILIPPO)
水谷 結さん (Mizutani Yui / リストランテ ラ ビスボッチャ キッチン)

GCC 全国イタリア料理コンクール2021 公式ウェブサイト:https://aqi.iccj.or.jp/

12月3日(金)の在日イタリア商工会議所主催Gala Dinner&Concert 2021(ガラディナーコンサート)とは?

このイベントは、イタリア式の本格的なガラパーティーです。私は音楽が好きなので、このイベントを1番楽しみにしています。いつもなら、イタリアからアーティストを招待して行うラグジュアリーなガラパーティーを開催しています。残念ながら今年はイタリアからアーティストを招待できませんが、八芳園で女性18名のジャズバンドが会場を盛り上げますので、すごく楽しみです!

ICCJ Gala Dinner & Concert 2019

「在日イタリア商工会議所」という堅い名称とはほど遠い、明るく陽気な雰囲気に包まれたオフィスには、新進気鋭なファッションデザイナーのアイテムや厳選されたオリーブオイルなどが展示され、ワクワクする空間が広がっている。

私たちが知っているイタリア、そしてまだ見ぬ本当のイタリアの魅力を「在日イタリア商工会議所」は発信していく。

Interview: Katsuto Tai / text: Miyuki Kikuchi

関連情報

リンクを
コピーしました