【女性の慢性疲労】専門家が指南する解消法とは?

Lifestyle

2026.09.25

【女性の慢性疲労】専門家が指南する解消法とは?

Yuliia Kaveshnikova / iStock.com

毎日疲れているのは当たり前だと考えていないだろうか。女性には、仕事や家事といった目に見えるタスクだけではない、「見えない負担」があるという。折しも、世界経済フォーラムが発表した2026年版「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は145カ国中117位という結果が出たばかり。女性たちを疲弊させるものの正体と、その悪循環から抜け出す方法を専門家が解説する。マリ・クレール インターナショナルのスペイン版デジタル記事より、お届け。
Index

毎日疲れているのは普通ではない。専門家が教える、その対処法

・問題は「期待」

・「スーパーウーマン」の罠

・精神的な負担:目に見えない仕事

・注意すべきサイン

・悪循環から抜け出すための方法


毎日疲れているのは普通ではない。専門家が教える、その対処法

働く女性であり、母親であり、介護者であり、まとめ役であり、家族を支える存在であり……それでも常に「もっとやらなければ」と罪悪感を抱いている。女性の「バーンアウト」の世界へようこそ。

かなり前のこと(昨日のことだと言われてもおかしくないが)、ある友人がSNSに、父の日を祝うこんなメッセージを投稿した。「子どもの靴のサイズを知っているすべてのお父さん、父の日おめでとう。それ以外のお父さん、おはようございます」。それに対し、多くの人が、礼儀正しく「おはようございます」とリプライした。

今では男性も家庭のことに関わる機会がますます増えている。スーパーへ行き、カートを押しながら子どもを連れている男性たちを見かけると、涙が出そうになるほどだ。とはいえ、いわゆる「見えない家事」を担っているのは、依然として圧倒的に女性だというのが現実だ。

それは、砂糖入れや冷蔵庫に入れているボトルの飲み物が減ってきたときに補充することから、子どもの学校の予定を管理することまで、多岐にわたる。というのも、年間を通して学校からの連絡をすべて把握しておくだけでも、それ自体がひとつの仕事になりかねないからだ。

問題は「期待」

会議、プレゼン、締め切り、クライアント……。そしてその日の仕事が終わると、また別の仕事が始まる。食材の買い物、夕食、宿題、お風呂、必要な診断書の手配、あさって誕生日を迎える子どもの同級生へのプレゼント代の送金、夏休みの計画、おばあちゃんへの電話、コーヒーメーカーのフィルターを交換しなければならないことを覚えておくこと……。

リストには終わりがなく、さらに悪いことに、それを抱えている本人以外にこのリストはほとんど見えていない。これは、家の外で責任の重い仕事をしながら、家の中では家庭や家族を取り仕切る役割を担い続ける、何百万人もの女性たちのリアルな日常だ。

それは彼女たちがマゾヒストだからでも、人に任せることができない性格だからでもない。単にそうした役割を女性が担うのが当然だと思われているため、その状況を変えることが非常に難しいのである。

一方で、多くの男性は人に世話してもらうことに甘んじ、面倒がったり、見て見ぬふりをしたりしているように、私には思える。

「すべてに手が回らないという感覚は、必ずしも個人の能力不足を示すものではなく、人生のさまざまな領域で同時に非常に高い期待に応えようとすることの結果です。多くの場合、女性が十分にやっていないのではなく、求められていることが多すぎるのです」と、EADA Business Schoolでリーダーシップ、モチベーション、仕事と家庭の両立を専門とするAline Masuda(アリーニ・マスダ)氏は説明する。

物事をうまく整理することで負担を減らすことはできるものの、「根本的な問題は、単に多くの責任を抱えていることではなく、すべてをこなし、しかもきちんとやることを求められていることにあります」と指摘する。

「スーパーウーマン」の罠

多くの女性がすぐに思い当たるであろうこの状態は、「スーパーウーマン症候群」とも呼ばれる。

マドリードのOlympia Quirónsalud病院で臨床心理部門の責任者を務めるGloria Calderón(グロリア・カルデロン)氏は、それを「仕事、家庭、そして精神面というさまざまな状況で、複数のタスクをこなそうとする必要性によって、疲弊し、自分は不十分だと感じるようになる心理的な罠(わな)」だと説明する。

皮肉なことに、この罠に陥りやすいのは、あまり働かない人でも、熱心に取り組まない人でもなく、まさにその反対だ。「多くの女性が成功する助けとなる特性そのものが、疲弊しやすさを高めることもあります」とマスダ氏は指摘する。「責任感が強く、熱心で、几帳面な人ほどより多くの仕事を引き受ける傾向があり、頭を切り替えて休むことや、ノーと言うことがますます難しくなります」

そこに職場、家族、社会からの高い期待が加わると、慢性的かつ持続的な仕事上のストレスによって、身体的、精神的、感情的な疲弊状態であるバーンアウトを引き起こすリスクが急激に高まる。

さらに追い打ちをかけるのが、完璧主義だ。カルデロン氏は、「自分を追い詰めるような完璧主義と自分に過度な要求を課すことは、バーンアウトを引き起こす心理的なリスク要因です」と指摘する。達成不可能な期待を自らに課すことで、絶え間ない精神的疲労と、自分は能力が足りない、あるいは失敗しているという感覚が続くためだ。

さらにマスダ氏は、あまり語られることのないもうひとつの要因として、反芻(はんすう)思考を挙げている。「複数の研究から、平均すると女性は男性よりも反芻思考に陥りやすい傾向が示されています。完璧主義と反芻思考が組み合わさると、絶えず自己評価を繰り返すサイクルが生まれることがあります。自分の失敗を分析し、自分の判断に疑問を抱き、やったこと、やれなかったことを案ずることに、非常に多くの精神的エネルギーを費やしてしまうのです」

精神的な負担:目に見えない仕事

どんな雇用契約書にも記載されず、それを理由に休みを取ることもできない種類の疲労がある。それが「精神的な負担」だ。これは単にほかの人より多くのタスクをこなすというだけではなく、そういった仕事を覚えて、先回りして考えて、調整し、眠っている間でさえ気にかけることを指す。

「女性は家事や介護をより多く担う傾向があるだけでなく、それらを覚え、計画し、調整する責任も担う傾向があります。この目に見えない負担は、一見休んでいるように見えるときでさえ頭の中を占め続けるため、実際の作業そのものと同じくらい疲れることがあるのです」とマスダ氏は説明する。

カルデロン氏も、この過剰な負担の影響は気づかないうちに積み重なっていくものだと同意している。「計画したり、先回りして考えたりするために余分な労力を費やすことで、認知的疲労やイライラ、他者に感情を向ける余裕のなさ、自己評価の低下につながります」。

それだけでも十分大変だが、SNSがそのプレッシャーをさらに増幅させている。過剰な生産性を成功の証しとして見せる「ハッスル・カルチャー(仕事を人生の最優先事項とし、私生活や休息を犠牲にしてでも長時間・高強度で働くことを美徳とする価値観)」と、周囲から取り残されることへの恐れから、必要以上に活発な社交生活へと駆り立てる「FOMO(Fear Of Missing Out=見逃すことへの恐れ)」が、慢性的なストレスを生み出す温床となる。

「SNSは、他人の理想化された生活を絶えず私たちに見せつけます。今や単に成功することではなく、あらゆることに同時に成功しなければならないというプレッシャーがかかっているのです」とマスダ氏は警告する。

注意すべきサイン

バーンアウトは、突然やってくるわけではない。「週末になれば回復するだろう」「今は仕事が本当に忙しいだけ」といった、普通の疲れを装いながら、少しずつ忍び寄ってくる。カルデロン氏は、私たちが当たり前だと思ったり、軽く考えたりしがちなサインとして、「朝起きたときから疲れていて、ごく簡単な作業にさえ過度な労力を要するほど、深刻な疲労が続くこと」を挙げている。

さらに、頭痛や歯ぎしり、筋肉の緊張といった心身に表れる症状、そして特に懸念されるものとして、「心が空っぽになったように感じたり、無感覚になったりすること──いわゆる『感情の凍結』です。自分がしていることに気持ちが伴わないまま、自動操縦状態で義務をこなしてしまいます」という。

マスダ氏はさらに、「多くの女性は、疲れ切っていることを当たり前だと考えるようになっているため、警告サインに気づきません」と付け加える。そして以前はやりがいを感じていたことから気持ちが離れ、意欲を失ってしまうという、最も明らかな兆候が表れたとき、それはもうバーンアウトの状態がかなり長く続いてしまっているということだ。

さらに、罪悪感が加わることで、この悪循環は長引く。カルデロン氏によると、「彼女たちは立ち止まったり、セルフケアや自分自身のニーズを優先したりする権利はないと思い込んでいる」という。

境界線を引くこと、人に任せること、助けを求めることも容易ではない。マスダ氏は、「女性が境界線を引いたり、はっきりと自己主張したりすると、社会的な反発を受けることがあります。これは『バックラッシュ(反発)』として知られる現象です」と指摘する。

悪循環から抜け出すための方法

幸いなことに、この状態から抜け出す方法はある。そして、それは必ずしも向上心を手放す必要はない。自分自身との向き合い方を変えることだ。最初の一歩は、問題が個人の効率の悪さではなく、社会の構造的な期待にあると認識することだという点で、2人の専門家の意見は一致している。

そのうえでカルデロン氏は、「譲れない境界線」を設けて、それを越える行動を見極められるようになることを勧めている。

優先順位をつけることは不可欠だ。「すべてをやろうとするのではなく、本当に重要なことをする。毎日、急を要する2つか3つのタスクを決め、それ以外は人に任せるか後回しにします」。また、仕事から完全に離れる時間を厳格に設け、一日の中で10分間の短い休憩を取ることを勧めている。こうすることで「脳が充電される」という。

マスダ氏はさらに、完璧主義との向き合い方を変える必要性を強調している。「高い水準を目指すことをやめることではなく、物事をきちんと行うことと、常に完璧を求めることとの違いを見極められるようになることが目標です」

そして、その対処法としてセルフ・コンパッションを提案する。「セルフ・コンパッションは、現状に甘んじることや向上心の欠如を意味するものでは決してありません。困難に直面している大切な人に向けるのと同じ思いやりを、自分自身にも向けるということです。研究では、セルフ・コンパッションの度合いが高い人ほど反芻思考が少なく、失敗から立ち直りやすく、感情的な疲弊も少ない傾向が示されています」

さらに、これは個人が変わればすむ問題ではない。企業にも十分に果たすべき責任がある。「私たちは今もバーンアウトを個人の問題として扱いがちですが、組織に原因がある場合もあります」とマスダ氏は指摘する。「企業にできることはもっとあります。責任をより公平に分担し、柔軟性を高め、成果だけでなく、チームを支えている、目に見えないタスクも評価することです」

一方、カルデロン氏は、おそらく最も有害な考え方は、「成功している女性なら、人生で担うあらゆる役割で優れた力を発揮し、決して挫折することなくすべてをこなせるはずだ、というものです」と指摘する。

「『私はすべてこなせる』という自分への期待は非現実的で、フラストレーションを引き起こすだけでなく、広く見られるインポスター症候群(実績があっても自分の能力を認められず、『自分は実力以上に評価されている』と感じる心理傾向)にもつながります」。

もしかすると、最も勇気が必要なのは、すべてをこなすことではなく、自分が何をやり遂げたいのかを決めることなのかもしれない。

※( )内編集部注

translation & adaptation: Akiko Eguchi

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This article was originally published by Macarena Orte on Marie Claire España

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