1586年の創業以来、400年以上にわたり、人々の暮らしに輝きを添えてきたクリスタルの老舗メゾン「サンルイ」。来日したジェローム・ドゥ・ラヴェルニョールCEOに、メゾンの哲学とものづくりへの思いを聞いた。

ジェローム・ドゥ・ラヴェルニョール
サンルイCEO
1963年生まれ。グルノーブル政治学院卒業後、法学を学び、公認会計士としてキャリアを築く。1994年にエルメス・グループに入社し要職を歴任。2010年より現職
──「サンルイ」が400年以上にわたり大切にしてきたものとは?私たちのメゾンを特徴づける価値観は3つあります。卓越した職人技、妥協のない品質、そして伝統と革新の融合です。新しいオブジェを生み出す際も、まずデザイナーにはDNAを理解してもらうことを大切にしています。
フランス国家最優秀職人章(M.O.F.)受章者2名と芸術文化勲章受章者1名を擁する「サンルイ」
──それを象徴するコレクションは?『アンディアブレ』は、異なる2つのデザインを融合させたという革新性に溢れています。同時に、「サンルイ」を代表するオブジェを組み合わせており、伝統をもリスペクトしています。常に原点とのつながりを保ちながら、未来を見据えるものづくりを象徴するコレクションです。また、「フォリア」の制作時には、デザイナーを工房に招き、メゾンの歴史や自然環境を理解してもらいました。工房を取り囲む森の木々から着想を得て生まれたデザインで、伝統的なカッティングと革新的な機能を融合しています。何か新しいものを生み出す際、私たちはメゾンの根幹を大切にしながらも、未来をも見据えたものづくりを意識しています。
「サンルイ」のシグネチャーである光を放つクリスタルの魅力を存分に活かした「フォリア」のミニポータブルランプ¥191,400。千鳥状のカットが美しい光の拡散を生む──職人技を未来へつなぐために、大切にしていることは?技術を継承できる環境をつくることです。象徴的なのがペーパーウェイト。かつて途絶えかけた技術を復活させた経験から、技術やノウハウを決して絶やしてはならないと考えるようになりました。以来、毎年3~5点ほどの新作を発表。若い職人への技術の継承も大切にしています。職人たちの平均年齢は35歳と、とても若いです。若手にとって、経験豊かな職人の仕事ぶりを見ることが大切です。そのように受け継いでいかなければ、ある職人が引退するとき、そこで技術が途絶えてしまいますからね。
メゾンが持つ数多くの技術が凝縮されたペーパーウェイト。2026年の新作は葛飾北斎の浮世絵『神奈川沖浪裏』へのオマージュ「ラ ヴァーグ」
──日本との親和性をどのように感じていますか。日本のお客様はデザインだけでなく、その背景や歴史にも関心を寄せてくださいます。前回私が来日した際、お客様が細かなカッティングがされているベストセラーのグラス『トミー』の名前の由来に興味を持ってくださったことが印象的でした。
第一次大戦後、ドイツからフランスを助けに来た英国兵「トミー」たちへの感謝を込めて生まれた「トミー」ホックグラス¥96,800──麻布台ヒルズのブティックを通して伝えたいことは?美しいものに囲まれて暮らすことは、自分自身を大切にすることにもつながります。伝統は決して古く退屈なものではなく、現代のライフスタイルにもモダンに、豊かに寄り添うことができると知っていただけたら。ぜひ美しい空間で「サンルイ」の世界をご体感ください。
サンルイ麻布台ヒルズ店東京都港区虎ノ門5-9-1
麻布台ヒルズ ガーデンプラザB 1F
tel: 03-5843-8678
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©︎marie claire/photos: ©Saint-Louis / text: Jun Makiguchi