今年6月、イタリア共和国建国80周年、日伊国交樹立160周年を祝し、駐日イタリア大使公邸で行われたレセプション。その祝賀の輪の中心には、パルミジャーノ・レッジャーノがあった。「チーズの王様」として愛される、その魅力とは。
豪奢な宮廷文化が花ひらいた中世・ルネサンス期には既に、貴族たちの食卓を彩ってきたとされるパルミジャーノ・レッジャーノ。現在ではEUが定める厳しい原産地呼称保護制度(PDO)により、パルマ県、レッジョ・エミリア県、モデナ県、ポー川右岸に位置するマントヴァ県、そしてレーノ川左岸に位置するボローニャ県で採れた最高品質の生乳だけを使い、最低12ヶ月の熟成を経て生み出されたものがその名を名乗ることが許される。

この特別なチーズは約900年にわたり、生乳、塩、天然の凝乳酵素というたった3つの材料にこだわり、ずっと同じ原材料、製法で脈々と受け継がれてきた。外皮に刻印された「カゼインプレート番号」を、パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ協会のウェブサイトに入力すると、原料となった生乳を生産した酪農家まで辿ることができるのは、一つ一つのチーズが、職人のプライドをかけて作られた「作品」であることの証し。ミニマルだからこそごまかしが利かない、そんな時代を超えたものづくりの情熱に磨かれてきたパルミジャーノ・レッジャーノは、武士道や茶道などの日本文化が内包する「道」の哲学とも重なって映る。

そんなことから、イタリアには「パルミジャーノ・レッジャーノ道」とも言える考え方がある。このアイデアに着想を得た書家・中塚翠濤(すいとう)氏は昨年、そのアイデアを具現化。見事な筆致のロゴと共に、悟りや真理を意味する「円相」をデザインしたシンボルマークが生まれた。それから1年を迎えるこの度、イメージの深化として中塚氏が考案したシンボルは「円・三角・四角」。「天・地・人」を表すという。
それぞれの要素が重なり合ってこそ生まれる悠久の大地の恵み、パルミジャーノ・レッジャーノ。中でも長期熟成に耐えうる最高品質のものは、4年という歳月を超えてリリースされ、まるでクリスタルのように結晶化した旨みが愛されている。この「チーズの王様」が象徴するのは、本物、伝統、自然、美味しい、楽しいという5つの要素「5道」。そのどれもが、私たちが口にした時に、紡がれた至高の味という大団円へとつながってゆく。職人の手が生み出す、イタリアの風土に磨かれた味を、感じてみてはいかがだろうか。

熟成の若いものはスパークリングワインとの相性が◎。ナッツのような香りがある長期熟成のものは、上質な赤ワインと合わせてじっくりと味わいたい。ちなみに、風味が最も引き立つ提供温度は15度。
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