4. 気軽なフードホール&水辺のファインダイニング
グルメは旅の印象を決める重要なエッセンス。ミルウォーキーでは、気軽に行けるフードホールと、地元の人たちがドレスアップして出かけるようなレストランの両方を体験してみてほしい。 シカゴから日帰りの場合、ディナーも早い時間が望ましいので、ランチは早めにフードホールで。ダウンタウン中心部にある「サード・ストリート・マーケット・ホール」はローカルが日常にランチを楽しむ食堂のような存在。

かつての歴史的なショッピングモール「グランド・アベニュー・モール」の跡地を全面改装し、2022年にオープンした施設。約3,700平方メートルの広大な敷地に、地元の食文化を反映した多彩な料理のショーケースが20以上並ぶ。
ホール内はモダンな内装単なる飲食スペースにとどまらず、ゲームやアクティビティが融合した活気あるコミュニティの集いの場として、全米のベスト・フードホールの一つにも選出されているほどだ。ハンバーガーやピザ、自家製パスタといったおなじみのメニューから、ベネズエラのアレパ(トウモロコシ粉のパン)やエンパナーダ(トウモロコシ粉の生地で具を包んだ料理)、カンボジア風サンドイッチ、寿司(すし)、ラーメン、地中海料理などとにかくグローバル。
迷った末に頼んだのが、「チキンエンチラーダ」。白米と黒インゲン豆の煮物がつけ合わせてついていた。スパイシーな味で、ついビールも進む。ボリューム満点なところだけ、おなかにきつい人がいるかもしれないしかし、多くの人のお目当ては「シティ・ファウンテン」。地域のビール、シードル、サワーなど30種類以上のローカルドリンクを自分で注いで楽しめる、大人気の「セルフサービス式ビール壁」のこと。さすが、全米一のビールの街。昼間から色々なビールや美酒の味を気ままに味わえるというわけだ。
これが、全米一のビールの街が誇るセルフサービス式の「ビールの壁」
お昼ともなると多くの人でにぎわうInformation3rd St. Market Hall(サード・ストリート・マーケット・ホール)
275 W Wisconsin Ave Suite 100, Milwaukee, WI 53203
https://3rdstmarkethall.com/レイク・パークという美しい公園を湖のほとりまで進んでいくと瀟酒(しょうしゃ)な建物が現れる。ミシガン湖を見下ろす高台という絶景も、ごちそうの一つになっているフレンチレストラン「バートロタズ・レイク・パーク・ビストロ」だ。

一日の締めくくりに、ちょっとぜいたくな気分を味わえる一軒として、ロマンチックなディナーが楽しめる。アニバーサリーなど特別な日に出かける場所としても30年来親しまれている。
古きよきアメリカを彷彿(ほうふつ)とさせる店内このレストランの味のカギを握るのは、ジェームズ・ビアード賞を2度受賞したシェフ、ポール・バートロタ。伝統的なフレンチの手法を現代的にアレンジした「オート・ビストロ(高級ビストロ)」の料理がいただける。ジェームズ・ビアード賞とは、日本では耳慣れないが、「米国の料理界のアカデミー賞」とも称されるアメリカで最も権威ある賞だ。
店内にはバーもある地元の厳選された食材を生かしたメニューも多く、たとえばミシガン湖の3大魚と言われている「ウォールアイ」「サーモン」「スズキ」などをムニエルなどに仕立てて提供している。ミルウォーキーで唯一の「オール・フレンチ・ワインリスト(フランス産のみのワインリスト)」を提供しているのも特徴。
「DiRoNAアワード」や、『Wine Spectator』誌の優秀賞を長年受賞し続けているのも注目すべき点だ。DiRoNAアワードは、1990年に設立された北米における卓越したファインダイニングを認定する権威ある賞。受賞したレストランは、料理、ホスピタリティの素晴らしさはもちろん、「記憶に残る雰囲気を持つ場所である」という厳しい基準を満たしていなければならない。
窓際の席からは、レイク・パークの美しい景色が望める。この公園は、ニューヨークのセントラルパークを手がけたアメリカ近代造園の父、フレデリック・ロー・オルムステッドが設計したそれだけの誇り高いレストランだからこそ、オーナーが必ずテーブルをまわって挨拶に来てくれる。今回も、オーナーがおすすめする「タルタルステーキ」「エスカルゴ」「フォアグラのムース、パテ・ド・カンパーニュの前菜」「白身魚のムニエル」を頼んだ。
フォアグラのムース。ピンクペッパーがほどよいアクセントに見た目はしっかりクラシカルなのに、味は軽やか。よく知っている味のはずなのに、新しさを感じるスパイスがきいている。盛り付けもシンプルだけれども、上質な食材であり、フレッシュであることがわかる。ファッションでいうところの「クワイエット・ラグジュアリー」をフレンチにしたイメージだ。当然、ワインも進む。満腹なおなかを抱えて、1泊してもいいのではないかと思えてきた。
ムニエルの魚は、ミシガン湖でとれたもの。切り分けてくれるホスピタリティがうれしい1泊してよい理由は十分にあった。実は、訪ねた日は土曜日で、翌日、このレストランではミルウォーキー伝統のサンデーブランチが食べられるのだ。日曜日をのぞき、このビストロはディナーのみ扉を開く。ブランチは、ローカルが楽しみにするごほうびのようなもの。
エントランスで会食の人々を迎えていたスタッフプリフィクス式の前菜、メイン、デザートの3品コースで、オニオングラタンスープやエッグベネディクト、キッシュロレーヌ、クレープ・シュゼットなどが用意され、カロリーは大いに気になるが、おいしいことは間違いない。聞けば、お店によっては、「ミルウォーキー流ブラッド・メアリー」なるカクテルもあるそうで、後ろ髪を引かれながら帰路についた。
暮らしている国の人たち、いわば“インサイダー”がおすすめする素敵な穴場は、海を超えて訪ねた私たちにも発見があり、楽しい場所だった。ミルウォーキーは、「想像以上」をいく、アメリカ旅の新天地と言えるかもしれない。
InformationBartolotta’s Lake Park Bistro(バートロタズ・レイク・パーク・ビストロ)
3133 E Newberry Boulevard, Milwaukee, WI 53211
https://www.bartolottas.com/lake-park-bistrophotos & text: Rica Ogura
Courtesy of Visit The USA, Travel Wisconsin, Visit Milwaukee