今回のイベントには、抽選で選ばれた約100人の読者が来場。特別ゲストとして迎えた世界No.1フーディーの浜田岳文さんと、マリ・クレールの田居克人エグゼクティブ アドバイザーによるトークショーや、スペイン料理店シェフによるデモンストレーション&試食など、スペインの食の魅力を堪能できるコンテンツに会場も盛り上がった。
自身も大のスペイン好き。フリーアナウンサーの宇賀なつみさん スペイン大使館観光部観光参事官エンリケ・ルイスさんも、イベント冒頭のあいさつの中で「スペインは食文化のレベルが非常に高く、食を楽しむということを人生の喜びとする国でもあります。食を味わうことは、その国を味わうこととも言えますので、ぜひスペインに足を運んでいただき、実際にスペインの食を感じ、味わっていただきたいと思っています」とアピールした。
エンリケ・ルイススペイン大使館観光部観光参事官
続いてスペイン大使館観光部の袴田みささんによる、“スペインの食と観光”に関するプレゼンテーションでは、カンタブリア海、大西洋、地中海と四方を海に囲まれ、内陸には山脈が横断するスペインの、地理や気候風土がもたらす多種多様な食の恵についても紹介された。また、キリスト教文化とイスラム教文化が共存する、他のヨーロッパ諸国では見られない独特な文化と多彩な食文化についても解説。スライドに映し出される地域ごとの観光名所や名物料理に魅了され、いますぐにでもスペインへ旅立ちたいという思いに駆られた人も多かったはず。
スペインに関する予備知識を得た後は、いよいよメインコンテンツであるトークショーがスタート。世界的美食家の浜田岳文さんは米・エール大学在学中から食べ歩きを始め、世界およそ 128の国と地域を踏破。現在は1年のうち 5か月を海外、 3か月を東京、4か月を地方で食べ歩くというライフスタイルを送りながら、国内外のメディアで食と旅に関する情報を発信している。さらに昨年からは『世界のベストレストラン50』日本評議委員長も務めるなど、美食のスペシャリストとして活躍。
「僕は本当に、食のために旅をする人生をずっと送っておりまして。そのためにいろんなものを犠牲にして、人生のバランスを崩しているぐらいなんですけど(笑)。やっぱり食って、旅をする上での一番の動機になるんじゃないかなって個人的には思っているんですね」と語る浜田さんにとってのスペインは、「1年に2~3回は訪れるくらい好きな国の一つ。ただ、新しいお店がどんどんできているので、何度訪れても追いつかないという状況です」。そして、スペインが世界のガストロノミーにおいて先進国の一つであるという自身の考えを、カジュアルなバルからファインダイニングまで価格帯の幅広さ、圧巻とも言える食材の豊富さ、郷土料理やイノベーティブ料理などレストランのジャンルの多彩さという、大きく三つの理由から解説してくれた。詳しいトークの内容はhttps://marieclairejapon.com/lifestyle/280407/でも紹介している。
対談相手を務めたマリ・クレールの田居は、「近年は海外に行くとなると、大体コレション(ファッションウィーク)の時期で、朝から夜までショーを回っていてご飯を楽しんで食べる時間ってほとんどないんですよ。ですから、先日浜田さんの本(『美食の教養 世界一の美食家が知っていること』/ダイヤモンド社)を読んだ時には、こんな人がいるんだと驚愕(きょうがく)し、ちょっと考え方が変わりましたね。忙しい中でも食事の時間っていうのは癒やしになったりする部分はありますよね。スペインを訪れたときに感じたのですが、時間の流れ方が少し、日本と違いますよね。何かものすごくゆったりと流れていて、皆さん余裕があるという印象を受けました」と語った。
さらに、時間の流れ方と絡めながら、スペインのアートについても絶賛。「アントニオ・ロペス・ガルシアという現代のスペインを代表する画家・彫刻家がいるのですが、本当に作品数は少ないんですね。例えば毎朝同じ時間に、イーゼルに向かって2年間かけて描く、その絵の中に時間の流れが見えるような。僕は今生きているアーティストの中でナンバーワンだと思っています。スペインにはプラドをはじめ素晴らしい美術館、作品がたくさんあって、それらにも歴史や時間の流れを感じます。そして、何十分でも眺めていられる。そんなぜいたくな時間が身近にあることも、素敵だなと思います」

参加者には5種類のタパスとスペイン産のワインが振る舞われた
トークショーの終盤では、スペインの伝統と現代の感性を融合させた料理で人気を集める銀座のスペイン料理店「MASIA」のシェフ、マテウ・ビジャレットさんによるデモンストレーションも。目の前で調理されたスペインを代表する2種類の冷製スープ、ガスパチョとアホブランコについて、浜田さんが解説を加えた。「アホブランコに入っているアーモンドとニンニクって、どちらもイスラム圏の食材なんです。それがイスラム占領化で持ち込まれて定着したという、まさにスペイン南部アンダルシアの歴史を象徴するスープなんですね。また、玉ねぎやトマトがスペインに入ってくるのはもっと後の話。それこそ18世紀とかなので、もともとガスパチョと言われているものにもトマトは入ってなかったんですよ。暑い気候で食欲がないときでも、いろんな食材が入った冷製スープなら栄養補給もできる。本当に理にかなった料理なんです」。そんなミニ知識を楽しむ読者のもとには、さらに5種類のタパスも供され、スペイン産のグラスワインとともに本場の味を堪能するひとときに。
質疑応答コーナーなどもあり、スペインの旅と美食を探求する約2時間のイベントは、終始盛り上がりを見せた。
2種類のガスパチョを実演。スペイン料理店「MASIA」のシェフ、マテウ・ビジャレットさん
text: Satsuki Tadokoro
浜田岳文