Video still,film by Sophie Caron,illustration by Louise Nelson ©AWARE
これまで美術史に記されてこなかった女性アーティストの功績に光をあて、可視化していくフランスの非営利組織「AWARE」。2024年に日本チームが発足し、ウェブサイトに日本語セクションが誕生した。日本代表でインディペンデント・キュレーターの天田万里奈さんが語る、活動の意義とは。
「AWARE(Archives of Women Artists, Research and Exhibitions)」は、美術史家のカミーユ・モリノーさんらによって2014年にフランスで共同設立された。その功績が認められ、今年1月よりパリのポンピドゥーセンターの一部門として運営されている。


──AWAREはなぜ結成されたのでしょうか。
「美術の世界では女性アーティストは周縁化され、美術史にきちんと歴史を刻まれてきませんでした。そういった意味から文化的、歴史的な意味を検証し、女性アーティストに光を当てる必要がありました」
──こうした動きのきっかけは。
「共同創立者の一人のカミーユがポンピドゥーセンターのキュレーターだった2009年に女性アーティストの作品のみの展覧会を開催しました。来場者は約250万人にのぼり、成功を収めましたが、その準備の段階で、女性たちの作品や歴史について情報が不足していることが反省点となりました。作品や情報をアーカイブ化していくことの必要性が明らかになったのです」



──男性アーティストと大きな格差があるのでしょうか。
「2025年に日本のアート領域におけるジェンダーバランスを調べたところ、美術大学の男子学生はわずか27%にもかかわらず、展覧会や評価の場に立つアーティストの多くは男性です。過去10年間に日本の美術館で開催された個展の約77%は男性アーティストによるものであり、主要な美術賞の約74%も男性に授与されています」
──こうした状況でアーカイブを作る意味とは。
「男性との不均衡を正していくうえでも、アーカイブがないと展覧会も開催されにくいし、研究の対象にもなりにくいのが実情です。こうした悪循環を断ち切り、女性アーティストの功績を可視化し世界的に発信するプラットフォームを作っていきます。その変化がもたらす未来へのインパクトも大きいのです」
現在、サイトは英語、フランス語、日本語の3カ国語で運営され、世界で500人以上の寄稿者がおり、約1400人のアーティストが紹介されている。

──ウェブサイトの日本語セクションはどのような内容でしょうか。
「国内外の人たちが日本の女性アーティストを発見し、略歴や記事にアクセスするための入り口です。日本画家の片岡球子や現代美術家の内藤礼ら、多様なアーティストの略歴を掲載しています。研究記事はこれらのアーティストのキャリアや作品を、より大きな芸術運動やフェミニズムの思想という文脈に位置づけていくことで、理解を深めていけるはずです」

──今後の活動を教えてください。
「日本のアートに関する情報収集と国内外への発信などを推進する国立アートリサーチセンターと連携し、日本における女性アーティスト研究を推進するためのリサーチフェローシップを始動させました。また、日本において、工芸や建築分野で活躍する女性の紹介にも取り組んでいきます」
聞き手:マリ・クレールデジタル編集長 宮智 泉
【雑誌『marie claire』のPDFマガジンダウンロードページ】
©︎marie claire
AWARE ウェブサイト:https://awarewomenartists.com/aware_japan/