香港やロンドン、ニューヨーク、パリなど世界21か国にわたり、最高水準の卓越したホスピタリティで34ものホテルやレジデンスを展開するウルトラ・ラグジュアリー・ライフス タイル・ホテルブランド「ローズウッド ホテルズ&リゾーツ」。その最新作の一つが、2023年7月にハワイ島コナ地区に開業した「コナ ビレッジ ローズウッド リゾート」だ。数千年前にさかのぼる古代の村を、現代の新技術でウルトラ・ラグジュアリー・ライフスタイル・リゾートとして見事に復活させたという、世界が注目するリゾートホテルを余すことなくレポートする。

密林、雪を頂く山々、火山、ビーチ、美しい海、その下に広がるサンゴ礁……。世界で最も多様性に富んだ環境を誇るハワイへの旅が、コロナを機に全米で加速し、人気は右肩上がりが続いている。そして、リゾートホテルの新・再開発も相次いでいる。そんな中、ひときわ異彩を放っているのが再生した「コナ ビレッジ ローズウッド リゾート」だ。

もとは、ポリネシア人によりカウプレフ漁村として発展したエリアで、何世代にもわたって守られてきた土地と海の力と恵みを敬い、ネイティブハワイアン文化と持続可能な生活を伝えることを使命に生まれた「コナ・ヴィレッジ」だった。

東日本大震災による津波の被害で2011年に一度閉じた後、12年の歳月をへて、美しい漁村の再現と現代技術を集約させてかなえたサステナビリティーの要素、ウルトラ・ラグジュアリーなホスピタリティーをバランス良く同居させ、2023年7月1日にパワーアップして再オープンした。世界の最新リゾートトレンドとしても一目置かれる完成度の高い宿泊体験を、コナ国際空港から車で10分ほどのアクセスで体験できるというから舌を巻く。
持続可能な開発にコミットする不動産投資会社「ケネディ・ウィルソン」と「ローズウッド ホテルズ&リゾーツ」が提携して再生したこのリゾートは、世代を超えた土地所有者であるカメハメハ学校(ハワイ王朝最後の王、カメハメハ5世の遺産により1887年に設立され名門私立学校)とカウプレフのコミュニティーメンバーとの協力のたまもの。
なぜなら、世界で最も高密度なハワイのペトログリフ(岩絵)フィールドを有し、海水と真水が合わさって多様な生物が生息するアンキアライン・プールが複数あるなど、33万平方メートル(東京ドーム7個分)の土地を保全しながらの再建だったから。

地元の専門家、アーティスト、職人、環境活動家、エンジニア、文化および地域社会のリーダーたちの知見が集められ、ハワイ出身の建築家ウォーカー・ワーナー氏が設計を、サンフランシスコを拠点とするニコール・ホリス氏がインテリアを担当。かつて世界中の旅行者の心をつかんできた旧施設に敬意を払い、溶岩大地を可能な限り保持して考古学的保護エリアを守り、現在、過去、未来を見事に調和させている。

三日月型を描くように点在する150棟のハレ(伝統的なハワイの建物/客室)は、貿易風に配慮し、数百にも及ぶココナッツの木に沿って建てられている。その中央に、ダイニングやウェルネス施設などを集め、海辺での古来の暮らしを疑似体験できるような仕掛け。ゲスト同士が自然に集まり、土地と海のリズムに調和したぜいたくな滞在を可能にした、他リゾートでは見られないユニークさがここにある。

ハレは、1〜4ベッドルームのサイズから選ぶことができ、3つの異なるインテリアテーマで分けられている。南側は、海の水や砂浜を反映した青と黄色をテーマカラーとして、北側は、溶岩地帯や遠くに見えるマウナケア山への敬意を込めて黒と赤の色調を採用。またラグーン近くのハレは、南国の海と植物の鮮やかな色を反映した深い緑とティールブルーが特徴だ。カヌーの形にインスパイアされたベッドや温もりを感じるテキスタイル、伝統的なハワイアン様式のモチーフをいたるところで目にすることができる。
どの部屋にもテレビは置かず、外での時間をできるだけ長く楽しめるように広々としたラナイを設置。自然の静けさと風や波の音、動物の鳴き声など、大地のエネルギーを余すことなく感じられるはずだ。

またリゾート全体にわたって、ハワイの多様性を反映したモダンアートを展示。ナンシー・ヴィルハウアー、ペッジ・ホッパー、テリー・フィールド、リンダ・スパダーロ、ローエン・ハフォードなど、ハワイ出身か現在暮らしている60人以上のマルチメディアアーティストたちによる一点ものばかりだ。

ちなみにプールは、レストラン「モアナ」の目の前に広がるメインプールのほか、ゴージャスなカバナが設けられた大人専用のプールもあり、どちらも海を目の前に望むインフィニティープールとなっている。そのほか、テニスやパドル、ボッチャのコート、最先端のフィットネスセンターも完備している。

施設内にはマリンアクティビティーを担当するショップもある。ハワイ島の貴重な海洋生物について広範な知識と経験を持つスタッフにより、サンライズパドルや伝統的なハワイアン・カヌー、サーフィン、シュノーケリングなどを楽しむことができる。

リゾート内の2つのレストランと3つのバーでは、新鮮な食材と先住民の伝統、国際色豊かなバイブスをシェフのフィルターを通して表現した、ここだけでしか味わえない没入感のある食体験を提供する。

旧施設の1960年代から続くシグネチャーレストラン「モアナ」は、太平洋リムの食材を取り入れ、ポリネシアの古代交易路にインスパイアされた料理を、朝食、ランチ、ディナーで味わえる店。ローストマッシュルームグレイビーを使った伝統的なハワイの朝食「ロコモコ」のほか、野菜を酢で煮込んだアドボ、塩漬けレモン、発酵パイナップルを添えた「カンパチのカマ」などが人気だ。カフワイ湾の絶景とともに、古き良きハワイの生活に思いを馳せながら、食事を楽しむことができる。

「カフワイ・クックハウス」では、1793年にカメハメハ大王にロングホーン牛が贈られたことをきっかけに、牛肉貿易が急成長して牧場主の需要が高まり、発達したという「パニオロ(カウボーイ)」文化にインスパイアされた料理をオールデイで提供。

隣接の「ザ・マーケット」では、地元産グローサリーの販売も。ヒロ発「パシフィックコーヒー」の豆を使った100%コナコーヒーのテイクアウトやテイスティングセミナーなども不定期に開催する。
このリゾートに宿泊したら必ず参加してほしいのが、保全されている遺跡の一つでもある「キアヴェグローブ&イム」で週2回のみ、人数限定で開催されるディナーイベント「アイランド・ルーツ・ディナー」だ。

古代から使われてきた石のかまど「イム」を使ったハワイ産の肉や魚介、野菜の薪火焼きや、カルアポークをはじめとするハワイの定番料理などを、その日に居合わせたゲストたちとロングテーブルでシェアして味わうディナーイベントとなっている。ロマンティックなデコレーションがされた空間で過ごすひとときは、エクスクルーシブで親密で、忘れられない思い出となるだろう。

3つあるバーのうち元のコナ・ヴィレッジ・リゾートの名残である「シップレックバー」と「トークストーリーバー」は、新時代にふさわしい形で復元・再構築されたアイコニックなスポット。

「シップレックバー」は、まるで船の上で食事を楽しんでいるかのようなエンターテインメント感のある店。ローズウッドならではの洗練されたカクテルや、ハワイ産の魚で握った寿司なども食べられるのも見逃せない。

「トークストーリーバー」は、旧友との再会をテーマに、何十年も前に訪れたゲストが同じ場所で再会できるようにとの思いを込めて、同じ場所に再建された。
ホテル内で提供される食事は全て、サステナブルな視点で選ばれた食材だけで作られている。現地の農家が手入れする農園と養蜂場が施設内に設けられ、ココナッツやライム、カヌープランツ(ポリネシアの航海者が持ち込んだ植物)、はちみつなど、「ファーム トゥ テーブル」(農場から食卓へ)も実現。有機廃棄物は隣接する養豚場で飼料として再利用するなど、理想的なサイクルがここにはある。
真っ黒な溶岩の大地から土地のエネルギー、マナを呼び起こすような建築とインテリアでたたずむ、フアラライ火山を望む「アサヤ・スパ」。炎がのぼる演出がされた溶岩台地に、まるで神聖な儀式のためのステージへと向かうようにウッドデッキが渡され、エントランスに足を踏み入れた瞬間から自然と自己発見の旅がスタートする。

スパ施設としても他に類をみないほどのダイナミックなレイアウトは、マウナケア火山を目の前に横に広がるバリアフリーの平屋設計。トリートメントやセラピーが受けられる離れのような個室のほか、ドライ&スチームサウナ、温冷のバスタブ、ロッカールームまでもがそれぞれゆったりと配置され、トリートメント前後に、溶岩台地とアートが融合する息を呑むような景色を眺めながら穏やかな時間を過ごせるラウンジもある。

メンタルバランスと体調、栄養、肌の健康を総合的に取り入れた、ホリスティックなメニューの中でも、特におすすめしたいのが、溶岩のホットストーンとロミロミマッサージを合わせた「ポハク・ストーン」。ここだけでしか受けられないトリートメントで体がふわっとほどけていくような感覚を味わってほしい。

また、内なる力と存在を目覚めさせることを目的としたシリーズ「ジャーニーズ」も紹介したい。ビーチでの感謝の儀式から始まるこのセラピーは、カヌーを漕いで海を漂ったあと、スパに戻り、筋肉の緊張を和らげ、フットから全身を調整するマッサージが続く。古代から続く海のパワーとその再生力で、心、体、魂を活性化させてくれる。
この広大なリゾートで使う電力は、8000枚のソーラーパネルによる太陽光エネルギーで100%自家発電が可能。これはハワイ州初の快挙となり、新たな開発基準をハワイ全土に導く役割も果たした。
水も、逆浸透膜システムと廃水処理設備により、リゾート運営に必要な水は100%リサイクル。ゼロ・ウェイスト(廃棄物ゼロ)プログラムにも取り組んでおり、ゲストも巻き込み、ハワイの自然美を守るサポートをさまざまなアングルで提案する。

建物に使われている素材にも、島の資源を浪費しない配慮がそこここに。特筆すべきは、藁ぶき屋根。先住民が使用していたココナッツの葉に似せたリサイクル素材でありながら、見た目はそっくり! 太陽や雨、風に強く、年に2度も付け替えていた手間がなくなり、古くなったココナッツの葉を埋め立て地に送ることもなくなった。
ちなみに建物は、国際的なグリーンビルディング認証の「LEED」を目指して設計され、現在、米国の廃棄物ゼロを目指すための認証「TRUE」と米国の屋外環境に特化した認証「SITES」と同時に取得が目前となっている。これらすべての認証を達成すれば、コナ・ビレッジは世界初の三つの認証を持つリゾートになる。

「神聖な土地は常に借り物であり、その物語や人々とともに保護されるべきである」という考えのもと、旧リゾート解体時に保存された多くのアート作品やヴィンテージ写真といった歴史的な物品は、リゾート内に併設された文化センターに展示され、ゲストのみならずカメハメハ学校の生徒たちにも公開し、ツアーも実施している。
活火山をいくつも有する、パワフルなエネルギーを放つ、ハワイ島の大地の鼓動と脈々と受け継がれる先住民のモオレロ(物語)に浸りながら、深いオハナ(家族愛)とホオキパ(おもてなし)の伝統を体感できる唯一無二なリゾートで、とびきりスペシャルなバケーションを過ごしたい。
text: Tomomi Seki Manton
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Kona Village A Rosewood Resort
https://www.rosewoodhotels.com/en/kona-village/