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Lifestyle

甘くなる前の未成熟果のため、収穫対象と見なされてこなかった「摘果りんご」 写真提供:もりやま園

食品ロスを減らそう!私たちにできること

まだ食べられる物を捨ててしまう「食品ロス」への問題意識が高まっている。食品ロス問題ジャーナリストの井出留美さんに、世界と日本の実状を聞いた。

食品ロスとは、食べられるのに捨てられる食べ物全般のことで、生産・加 工・流 通の 過 程で処分される「Food Loss」と、小売・外食・家庭で廃棄される「Food Waste」の 両 方を 指 す。ジャーナリストの井出留美さんは、現状をこう解説する。

「国連食糧農業機関によれば、世界の年間食料生産量のうち、3分の1にあたる約13億トンが食べられずに捨てられています。日本では約600万トンで、これは毎日一人がおにぎり1個分を捨てている計算です。日本の数字には、畑や港の段階で、売り物にならずに除かれる野菜や魚、期限が迫ると廃棄される備蓄食品などが入っていないため、実際はもっと多いと考えられます」

1967年にアメリカで、販売できなくなった食品を必要とする人たちに提供する「フードバンク」が誕生した。以来、アメリカ国内や各国へ広がり、日本でも2000年に初めて「セカンドハーベスト・ジャパン」がフードバンクの活動に取り組んだ。

「2015年に国連がSDG(s持続可能な開発目標)を採択し、2030年までに小売・消費の食料廃棄を半分にするという目標を掲げました。日本でも東日本大震災をきっかけに社会貢献活動が以前より広がった背景もあり、この数年で食品ロス問題への関心は高まっています」

日本は食料自給率がわずか38%で、食料の多くを輸入に頼る。食料の重さに運ぶ距離を掛けた、環境への負荷を示す「フード・マイレージ」と呼ばれる指標が、欧米諸国に比べて非常に大きい。

「諸外国に比べ、安全管理が厳しいため、賞味期限の古いものはお店に納品できず、食品の再利用も進めづらいのが現状です」

2019年に食品ロス削減推進法が制定され、食品ロスを減らす取り組みが企業などに広がりつつある。

「食品ロスの大部分は企業によるものだと思われるかもしれませんが、実は約600万トンのうち、46%が家庭から発生しています。賞味期限は『おいしい目安』で、過ぎたからといってすぐに捨てなければならないわけではありません。一人ひとりの日々の行動が重要なのです」

日本初のフードバンク「セカンドハーベスト・ジャパン」
http://2hj.org/
 「すべての人に、食べ物を」という理念のもと、食品メーカーや農家、個人などから、さまざまな理由で廃棄される食品を引き取り、児童養護施設やDV被害者のシェルターへ提供する。生活に困窮する人たちのためにフードパントリー(食品配布の拠点)を運営。2000年、炊き出しのために食材を集める活動を始め、02年から本格的にフードバンクとして始動した。食べ物やお金をはじめ、寄付を受け付けている。

企業や飲食店のさまざまな取り組み

ライズアンドウィン ブルーイングカンパニー
日本で初めて「ゼロ・ウェイスト」を宣言した徳島県上勝町にある、クラフトビールの専門店。食品ロスになる規格外の鳴門金時や柑橘類を使用して「ゼロ・ウェイスト」のビールを作っている。東京・東麻布にクラフトビアバー「KAMIKATZ TAPROOM」がある。https://www.kamikatz.jp/

規格外の鳴門金時を副原料に使用した「ポータースタウト」

もりやま園
青森県弘前市で100年以上続くりんご園。ピンポン玉大で未成熟の時期に摘まれる「摘果りんご」を使用した「テキカカシードル」を、5年かけて開発した。摘果りんごには、肥満予防などに効果のあるプロシアニジンが成熟果よりも多く含まれている。https://moriyamaen.jp/

同じく摘果りんごを使用したノンアルコールの「テキカカアップルソーダ」もある

ターブルオギノ
シェフの荻野伸也氏が手がけるフレンチデリ。「人間の都合より、畑の都合」をモットーに、生産者からその日ある食材や規格外の野菜を直接仕入れて料理する。店舗は神奈川県藤沢市のターブルオギノ湘南。https://tableogino.raku-uru.jp/

Collaboration with FOOD LOSS BANK

1. ゼンブジャパン「ZENB STICK」
植物を「可能な限りまるごと食べる」という考え方に着目した野菜スティック。野菜の皮や芯もまるごと使用し、豆、雑穀、ナッツを加え、添加物に頼らず、自然な甘みに仕上げている。https://zenb.jp/

自閉症という特性のあるアーティストの佐々木卓也さんがデザインしたオリジナルパッケージが期間限定で登場

2. ナリサワ「ありがとうBENTO」
「イノベーティブ里山キュイジーヌ」という独自のジャンルを提案するレストラン「NARISAWA」がお弁当を展開。http://www.narisawa-yoshihiro.com/

ロスフルーツを使ったフレッシュオレンジジュースとフレーバーウォーターがセットになっている

3. アルマーニ/リストランテ「LOSS FOOD MENU」
東京・銀座のアルマーニ/リストランテでは、今年3月に「LOSS FOOD MENU」が初登場。夏の新メニューでは、メインにお肉料理もお魚料理も展開。規格外の野菜など、廃棄される予定だった食材を調達し、全メニューに取り入れている。https://www.armani.com/restaurant/jp/restaurant/armani-ristorante-ginza/

「赤牛外もも肉 なすのテクスチャー」

4. ブルガリ イル・チョコラート「Chocolate Gems for Sustainability」
ブルガリの〝チョコレート・ジェム(宝石)〞として知られるブルガリ イル・チョコラートでは、食品ロス問題、伝統工芸の保護、エシカル消費の考え方に配慮して生産されたカカオを使用したチョコレートを発売。https://gourmet.bulgari.com/shop/

ブルガリのメートルショコラティエ・齋藤香南子の職人技によって、都内の工房でひと粒ひと粒ハンドメイドされている

「フードロスバンク」世界に向けた発信動画
日本の伝統的な“食のサステナブルさ”を未来につなぐ取り組みを、世界に向けて発信する紹介動画「Masterclass for a better food future(「食」のより良い未来を学ぶ為の一流の指導者による特別クラス)」をWFF(ワールドフードフォーラム)が制作。全6話のうち、「サステナブルに循環する」、「未来の食のあり方を考察する」の2話にて「フードロスバンク」の取り組みが紹介される。これは、FAO(国連食糧農業機関)が「フードロスバンク」の活動に賛同したことがきっかけとなりスタートしたもので、会社を設立して1年未満の日本企業が、国連主催の世界配信イベントに取り上げられるのは日本初となる。

また、この動画は9月25日にニューヨークで開催される「国連フードシステムサミット2021」と、10月1日からローマで開催される「ワールド・フード・フォーラム」にて配信予定。今回、これらのイベントの開催を前に、予告編を一足先に公開。環境大臣の小泉進次郎氏や、モデルの冨永愛氏をはじめ、SDGsの各分野で活躍する錚々たる面々が、メッセージを寄せる。来月公開される本編もお見逃しなく。
※イベントはオンラインでも開催されるため、日本からもインターネット上で視聴可能

・9月25日 国連フードシステムサミット2021にて公開予定
 第1話 フードロスへの価値シフト 
 第2話 次世代と共に世代を超えて考える食の学び
 第3話 宇宙思考で考える命の循環
・10月1日〜 WFFウィークにて公開予定
 第4話 未来に繋ぐ料理哲学
 第5話 循環型ガストロノミーを紡ぐ
 第6話 里山里海が育む食の生態系

フードロスバンク
https://www.foodlossbank.com/
2020年に設立されたFOOD LOSS BANKは、外食店やラグジュアリーブランドなどとコラボレーションし、食品ロスの削減や食材の有効活用に関する幅広い活動を行っている。

関連情報

Profile

井出留美

株式会社office3.11代表取締役。食品ロス削減推進法の成立に協力。食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞などを受賞。『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』『捨てられる食べものたち 食品ロス問題がわかる本』『捨てないパン屋の挑戦』など著書多数。

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