当初は新潟の市街地にあった店舗を現在の里山に移したのは2021年のこと。古民家をリノベーションしたアトリエの隣は、なんと小学生を対象にした放課後学校。子供たちは庭や畑でのびのびと過ごしながら、関谷さんのジュエリーや夫がヨーロッパなどで買い付けたヴィンテージ食器などを目にすることができる。

「お隣が学童と聞いて、子供たちが日常的に美しいもの、文化的なものに触れられる環境を作りたいと思ったのも、この物件に決めた理由のひとつです。ここに拠点を移してからは、より自分の作りたいもの、やりたいことにフォーカスできるようになった気がします」


朝起きて最初に目に入る光、毎日通る道の風景、ふと見た窓の外に舞い散る雪の美しさ……。関谷さんが作るジュエリーは、里山の暮らしで得られる日常の気付きや喜びを繊細なデザインに落とし込んだもの。
「例えば菊がモチーフだとしたら、以前は『菊のディテールを忠実に再現したい』と、菊そのものにスポットを当てていました。今は『菊の花が風に揺れて、まるで踊っているみたいだな』というように、自分が受けたインスピレーションをどうデザインに落とし込むか、ということを考えるようになりました。日常的な視界の先にあるものや、頭の中の記憶に残っている風景を形に残したい。『朝の光がきれいだな』と思ったらそれを形にする。そんなふうに、無理なく自然に創作意欲が湧いてきます」
