ファッションPRから料理家へ転身。杉山絵美さんが次世代に伝えたいこと

Lifestyle

2023.08.31

ファッションPRから料理家へ転身。杉山絵美さんが次世代に伝えたいこと
杉山絵美 ネクストステージ

クリスチャン ディオールでのPRの仕事で“ブーム”を作る

「それまで一生懸命、英語の勉強をしていたのにフランス語の世界になって、フランス語を話せないのは私1人。電話のメモも資料もすべてフランス語で、ミーティングも何を言っているのかさっぱりわからない。そんなときに親切な社長秘書の方が全部訳して助けてくれたのは、とてもありがたかったです」

クリスチャン ディオールといえば、フランスの高級ブランドグループLVMHを牽引(けんいん)するブランドのひとつ。その巨大コングロマリットのCEOベルナール・アルノー氏とも、杉山さんは直接わたりあっていたそう。

「私が入社してから、デザイナーがジョン・ガリアーノに変わりました。1997SSの初めてのコレクションは今も忘れられない。驚くほど美しくて、夢の世界でした。1998年に彼が来日して、イベントをやったときは本当に大変だった。洋館を貸し切って、スーパーモデルを呼んでと、初めてのことばかりだし、ガリアーノとも社長のアルノーともプレゼンはすべて直接で。今のようなオンライン会議はないから、1泊や2泊でパリへ行っていました」

世界一の大富豪として知られるアルノー社長とのミーティングは、どのようなものだったのだろう。

「お忙しい方のお時間をいただくわけで、次にいつチャンスをもらえるかもわからないから、今がすべて。数分という短い時間の中で、いかにアピールすれば、即決断してもらえるか。その場で自分が欲しい答えをもらうために、すごく考えました」

ブランドを日本で有名にするために、今となっては当たり前になっているような、当時“新しいこと”に次々とトライしたという杉山さん。ある時、日本のドラマの衣装に、ディオールを使ってもらおうと考えたという。それが2000年、杉山さん自身をモデルに、ファッション業界を舞台にした連続ドラマ「ブランド(フジテレビ)」。今井美樹さんがディオールの広報部長役として主演した。

「TV局のプロデューサーと話をして、面白いということになったのですが、それを実現させるまでには問題山積みで。本社の許可を取るのはさらに難易度が高いと思っていましたが、本社の社長と副社長にプレゼンしたところ、OK。主役の女性がディオールのバッグを美しく持ち、美しく着こなしてくれることがすべてだと言われたときには、さすがだと思いましたね。実際あのドラマでディオールの人気に火がつきました。『SATC』が話題になったのは、その後のことです」

それまで知られていなかったブランドがみるみる人気になり、その商品を持っている人を街中で見かけるようになる。そうやってムーブメントが生まれていく様子を見るのは、とても面白かったという。

「ディオールではやりたいことをやらせていただき、すごく特別な10年間を過ごせたので、正直自分の中で、全部やりきった感がありました。ちょっと違うことをやりたい気持ちもあって、一旦やめようと思ったんです」

杉山絵美 ネクストステージ

独立して、PRエージェンシーを立ち上げる

ディオールをやめることにした際は、「就職活動のときに失敗したブランドをはじめ、方々からお声がけいただいた」そうだが、杉山さんが選択したのは独立の道。
「会社を二つ作って、まず一つがSTEP Inc.というPRエージェンシー。もう一つはアート&クリエイティブというアート関係の会社です。それはいろいろなアートと繋(つな)がって、世の中に出していくというような自分が本当にやりたかったことで、最初にやったのが『キャンドルプロジェクト』」

「アーティストの方々にそれぞれ、キャンドルに絵を描いてもらい、フレグランスキャンドルを作って販売した売り上げの一部を寄付するという企画を、実はマリ・クレールと一緒にやりました。賛同してくれた13人はそうそうたる面々で、草間彌生さんもいたんですよ。考えられないでしょ?」

そのプロジェクトは大きな話題になったものの、金銭面で現実をつきつけられたという。「当たり前ですがチャリティなので、すべて自腹。今日のご飯を食べるためにお金を稼ぐことと、自分の夢や未来のために動くことは別物だと気づきました。そのバランスを考えることも大切だと学びましたね」

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