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【パリ駐在員レポート】ロックダウン生活からにぎわいを取り戻しつつあるパリ

半年ぶりに営業を再開したカフェの初日。テラス席は久々ににぎやかさを取り戻した(5月19日)

2020年10月にパリへ単身赴任したものの、その直後からロックダウン生活に突入してしまいました。今回は、そんなどん底の状態からパリ本来の魅力を取り戻しつつある現在にいたるまでの経過を街角の様子と共に振り返ります。

赴任直後、かつての華やかなイメージとは全く異なるパリの雰囲気に驚かされました。新型コロナ感染者数が日に日に増大していくだけでなく、昨年秋以降、陰惨なテロも相次ぎ、街全体が超厳戒態勢。ライフル銃を抱えた治安要員がエッフェル塔などの観光名所周辺を巡回している光景もよく見かけました(ライフル銃を抱えたままスーパーで買い物をしていることもあってビックリ!)。

街から人が消えたオペラ座界隈(2020年10月12日)

10月末にはロックダウンとなり、出歩くためには外出証明書が必要となりました。いつもなら多くの観光客で賑わうはずのオペラ座界隈やヴァンドーム広場から人が消え、まるでゴーストタウンのよう。複数の警察官が街路で待ち構え、通りかかった人をすべて呼び止めて外出証明書の提示を求めていて、私自身も職務質問を受けました。外出証明書を持ち歩いていたので何の問題もなく済みましたが、その容赦ない取り締まりに正直、焦りました。

昨年のクリスマスイブ。ヴァンドーム広場も閑散としていた

その後、制限が徐々に緩和されていく時期もありましたが、変異株の流行もあり、今年4月から再びロックダウンに。冬場とは違って日が長くなり、陽気もよくなるため、出歩きたくなるのが人情というもの。そうした事情もあってか、この時のロックダウンは少し緩めで、自宅から半径10キロ圏内であれば外出証明書は不要となりました。とはいえ、生活必需品以外の店舗・施設が閉鎖されているので、行き場を失ったパリ市民は憩いを求めて公園に集まってきます。実際、週末になるとパリ中心部の有名な公園はどこも密集状態でした。

ロックダウン中にも関わらず憩いを求めて人が集まった週末のシャン・ド・マルス公園(4月25日)

5月にレストランやカフェのテラス席が半年ぶりに再開されてからは、制限解除が順次進みました。6月には店内での飲食も可能になり、屋外のマスク着用義務がなくなり、夜間外出禁止も解除されました。5月末から6月にかけて行われた全仏オープンテニスは、人数制限を設けつつ、観客を入れて大いに盛り上がりました。来年こそはテレビではなくライブで観戦したいものです。

全仏オープンテニス会場(ローラン・ギャロス)の入場ゲート(5月30日)

残念ながら、マクロン大統領が開会式に出席する予定の東京五輪はフランスでは、あまり盛り上がっていません。最近のスポーツの話題といえば、全仏テニスに加えて、今はサッカーEURO2020、ツールドフランスといったところでしょうか。にぎやかさを再び取り戻しつつあるパリの様々な魅力をこれからお伝えしていきます。

Profile

島田和春

読売新聞東京本社広告局パリ駐在事務所

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