生まれてきたもの、それは作品とかオブジェと呼んだ方がふさわしいのかもしれませんが、もちろん道具としての機能性を持ち、また形としての美しさも兼ね備えたものです。これは「エルメス」が大切にする「サヴォワフェール」そのものであり、驚きと遊び心にあふれたものです。ちなみに「サヴォワフェール」とはフランス語でサヴォワール(知る)とフェール(作る)を足した言葉で、永年の経験から生まれた「匠の技」という意味です。
「petit h」部門のクリエイティブ・ディレクターであるゴドフロワ・ドゥ・ヴィリユーは次のように話します。「『petit h』のクリエイションは、すでに出来上がっているアイデアや企画によるものではありません。通常のクリエイションとは全く逆のプロセスによって出来上がるのです。常識にとらわれず、機能性を持ち、色彩にあふれた、美しい形のものが、作り手たちのイマジネーションと冒険心、そして思いもよらない素材との出会いによって誕生するのです」

会場内には作業場を模したスペースも設けられ、見学者も用意された道具を使って体験作業ができました。
使われなかったり、埋もれてしまったりしていた素材に、新たな生命を吹き込むことが「petit h」の役目なのです。
食品の世界では「フード・ロス」という言葉が使われだして久しいですが、食材や食品をいかに無駄なく使うかということは環境問題を考えるうえでとても重要なことです。

「petit h」はさしずめ「マテリアル・ロス」の削減とでもいうべきでしょうか。
「エルメス」の職人が「エルメス」の素材を使って作った「petit h」作品は、性質上1点ものが多く、そのため高額にもかかわらず、あっという間に売れてしまったものが多いと聞きます。これも購買者の中に、アート作品を購入するのと変わらない気持ちがあるのでしょう。

「petit h」は年に数回世界各地の様々な都市を訪れるそうです。再び日本の都市にやってくるのを心待ちにしている人たちも多いに違いありません。
2023年6月29日
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©︎marie claire
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