×

「エルメス」の『petit h(プティ アッシュ)展』

マリ・クレール編集長、田居克人が月に1回、読者にお届けするメッセージ。大阪中之島美術館で開催された「エルメス」の『petit h』展は、新たなモノづくりと「マテリアルロス」削減の可能性を示してくれた。

ラグジュアリーブランドの展示にも関わらず、親しみやすさや遊び心を感じさせてくれる。

ラグジュアリーブランドの物づくりに、上質な素材と、高度な職人技、アーティスティックな感覚は必須条件です。

そのため、ラグジュアリーブランドは多くの優秀な職人、デザイナーやアーティストをかかえているのですし、一方で素材の無駄遣いもできるだけ避けたいのが本音だと思います。

しかしどうしても制作中に出てきてしまうハギレや使わなかった材料はどうしているのでしょうか? 特にサステナビリティや環境問題への配慮を強く意識せざるをえない時代となった現在、ブランド側はどのような対応策をとっているのでしょうか?

そんな素朴な質問に答えを出してくれるような展覧会が、大阪市の「大阪中之島美術館」で4月29日から5月18日まで開催されました。展覧会のタイトルは「エルメスのpetit h──プティ アッシュ」。展示会場の空間デザインはパリを拠点に活動し、最近京都にも新しく居を構えたアーティスト、河原シンスケ氏です。

河原シンスケ氏による会場のデザインは見るものを和ませる
河原シンスケ氏による会場のデザインは見るものを和ませる
©marie claire japon

鳥獣戯画からヒントを受けたという河原シンスケ氏の空間デザインは、まるで舞台の書き割りのようで、ウマ、ウサギ、サル、カエルなどが軽妙なタッチで描かれ、会場の随所に登場し、案内役のようです。また随所に置かれた「ねぶた」の工法で作られた紙と木による動物のオブジェも、会場に独特の和やかな雰囲気を与えていました。季節柄か入り口には鯉のぼりも。

「petit h」は2010年に「エルメス」に設立された部門で、何を制作するかというコンセプトや企画は存在しません。他の制作部門で使われなかったり、余ったりした素材を集め、それを職人やデザイナー、アーティストがイマジネーションを働かせ、あらたな創造物を作るものなのです。

素材とはもちろんエルメスの商品を制作するうえで使われるレザー、クリスタル、シルク、馬の毛や金属などです。

それらの素材を組み合わせたり、調整したりしていくうちに、思いもよらなかったものが、形として表れてくるという、従来の物づくりとは全く逆の発想から生まれてくるのです。

シルクや革を使ったバケツやボトルホルダー
シルクや革を使ったバケツやボトルホルダー
©marie claire japon

『マリ・クレール』と「ケリング」が考えるサステナブルなファッションの未来

リンクを
コピーしました