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エルメスやシャネルが、なぜ日本では生まれないのか

パリ・カンボン通りのシャネル 本店 iStock.com/AndreaAstes

マリ・クレール編集長、田居克人が月に1回、読者にお届けするメッセージ。コロナ禍にあっても、ラグジュアリーブランドの売り上げは好調だったと言います。ラグジュアリーブランドビジネスが成功しているのはなぜか? とあるシンポジウムを通して感じたこととは

もの作りに定評はあるのに世界的ブランドが育たない

先月13日、六本木の鳥居坂にある国際文化会館の講堂でシンポジウム『日本からラグジュアリーブランドを送り出す』が開催されました。

折からの冬の冷たい雨が降りしきる中での開催でしたが、講堂は満員の盛況。ファッションビジネスに携わっている方、デザイナー、研究者、学生、ジャーナリストや評論家など、いかにこのテーマに関心のある人が多いかがよくわかりました。

主催者は「ファッションスタディーズ」という、主にファッションを体系的に学ぶ講座の企画運営を行う団体、協力は「ファッションビジネス学会」です。

このシンポジウムを企画した目的は「ラグジュアリーブランドは、ものづくり、文化、芸術、歴史の総合力で成り立っています。フランスは国の政策としてラグジュアリービジネスを行っています。日本は今こそ、力をあわせて、『日本からラグジュアリーブランドを送り出す』の道筋をつけるときです。その一助となればと思い企画しました」とのこと。

シンポジウムのスピーカーは環境副大臣である山田美樹衆議院議員、大阪大学大学院経済学研究科教授のピエール=イヴ・ドンゼさん。

その後の聴衆を交えたフリーディスカッションには、ファッションビジネスに長く携わり、現在はアソシア研究所主宰の野田謙志さん、それに元三越伊勢丹ホールディングス社長で、現在は羽田未来総合研究所の大西洋社長が加わりました。

まず基調講演は山田美樹氏が行いました。ものづくりに関しては世界でも評価の高い日本ですが、残念ながら「エルメス」や「シャネル」のような世界的なブランドを生み出すことができていません。その理由は何なのか、また単品では日本のブランドとして有名なものもありますが、ライフスタイル全般にわたって展開しているものはほとんどないという現実。

では進まなかった原因はどこにあるのでしょうか?

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