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仕事をとるか、私をとるか? ワーク・ライフ・ホルモンバランス®を知ろう

ワークライフホルモンバランス

ヘルスリテラシーを上げるには
「自分ごと」から「みんなごと」へ

一部の企業では婦人科のオンライン相談の導入や低容量ピルの支給など、女性が会社で活躍できる取り組みが始まっているが、山田さんによると社会全体ではアクションまでは至っていないという。

「気づいて、学んで、最後にアクションを起こせることが大事なんですが、今はようやく気づいて学んでいる段階です。フェムテックの商品やサービスも使うところまではあと1、2歩というところでしょうか。当事者じゃない人も”自分ごと化”して、さらに”みんなごと化”することが必要です。そうして社会に定着していくと思っています」

会社のマネジメント部門に女性がいないと「女性の声が通らない、つらくても我慢している」といった理解されづらい状態は続く。解決のためには、個人のリテラシーをあげることが最初のステップ、次に自分がおかれている環境である家庭やパートナー、そして企業、同僚の理解が必要不可欠。そうしてようやく、女性が生きやすい社会になっていくという。

「ワーク・ライフ・ホルモンバランス®」とは

「女性の一生は荒波のようで、ホルモンに守られ、影響もされているんです」と山田さんに見せてもらったのは、初潮から閉経までのホルモンバランスの変化を表した図だった。波(エストロゲン)のピークは20代後半から30代前半。30代後半から徐々に低下をはじめ、その後は減少を続けるのみ。1ヵ月の間でも波があり、人によっては妊娠・出産もある。

エストロゲンレベル
イメージ図

「女性のコンディションがいい時期は生理後の10日くらいだけなんです。低容量ピルで対処したり、具合の悪いときはしっかり休んで元気になったりしてからパフォーマンスをあげるなどしないと、私のように倒れかねません」

体調を崩して仕事や人生にストップがかかってしまう女性が増えているのは、現代特有の理由がある。

「かつて日本女性は、初潮が遅く閉経が早かったので生涯で約50回の生理がありましたが、現在はその10倍ほどあるんです。生理があればそれだけ生理痛やPMS、子宮内膜症などの病気になる可能性が高まります。だからしっかり理解して対処したうえで、ワークライフバランスを考える必要があるのです。それを伝えたくて、私たちは『ワーク・ライフ・ホルモンバランス』と呼び、推進しています」

妊活中や出産後も働く女性は増えたが、心や体に負担があり簡単なことではない。必死にがんばったけれど、更年期で離職する人も多いという。これが女性管理職が少ない=女性の声が通りづらい環境要因のひとつになるようだ。

Profile

山田奈央子

一般社団法人日本フェムテック協会代表理事。大手下着メーカーで下着の企画・開発を行った後、世界初の下着コンシェルジュとして独立。株式会社シルキースタイルを設立し、女性特有のお悩みに寄り添ったインナー、コスメ、健康雑貨などの商品企画開発を17年間行う。2021年に、医師、経済人、医療ジャーナリスト、キャリアコンサルタントらと共に(一社)日本フェムテック協会を設立。代表理事として女性特有のゆらぎに寄り添うためのウィメンズヘルスリテラシーの重要さを雑誌・TV・企業・行政などで周知する活動をしている。2男の母。日本フェムテック協会はこちら

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