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「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展へ──日本初上陸から70年の節目に思う

「ニュールック」がファッション界に革新をもたらす

クリスチャン・ディオールは、日本に一番早く進出した海外のファッションデザイナーであり、ファッションブランドです。

第2次世界大戦終了からまだ間もない1947年、クリスチャン・ディオールは初めてのコレクションを発表しました。長い戦争の間、モードは忘れ去られ、実用的な衣服がほとんどであった世界に、その革新的で創造性あふれるコレクションは「ニュールック」とよばれ、圧倒的な支持をもって迎えられ、彼のファッション界での地位を決定づけました。またその時に発表されたバージャケットは、現代でも形を変えて作り続けられるアイコンアイテムとして有名です。

1947年に発表された「ニュールック」の象徴、バージャケット
©marie claire Japon

1953年には日本に初上陸し、パリから伴ってきたモデルによる本格的なファッションショーを各地で開き、ファッションの黎明期であった当時の日本に強烈な印象を残しました。

ショーを見に行かれた方々の中には、ファッションに興味を持たれていた高松宮妃殿下や、当時駆け出しのデザイナーだった森英恵さん、後に36年間にわたり美智子様のデザイナーを務められた植田いつ子さんもいました。森英恵さんは後年「あの時、目が覚めた」と語っています。また植田さんは「デザイナーの道をしっかり歩もうと心に決めた瞬間だった」と。

クリスチャン・ディオールは、その翌年には日本をテーマにした作品を発表。使用された生地は京都の老舗織物「龍村」のものでした。こうした日本に対する深い理解やそのクリエイションは、世界中から喝さいを浴びたのです。日本との関係はさらに続きます。

1959年、現在の上皇陛下が皇太子の時代、ご成婚の際に美智子様のため、クリスチャン・ディオールにローブデコルテを3点依頼されたのが有名なエピソードとして伝えられています。ディオール本店を訪れた高松宮妃殿下が、ディオールに依頼されたそうです。

日本との関係を示す記事やデザイン画も展示
©marie claire Japon

残念ながら52歳で急逝したディオールにかわり、後継者となったまだ若きイヴ・サンローランが、クリスチャン・ディオールのデザイン画をもとに完成させました。そのローブデコルテは、着物からインスピレーションを受けたものでした(余談ですがティアラ、イヤリング、ネックレスの製作はミキモト、デザインは私の父によるものでした)。

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