とはいえ、白木さん自身が日本やイギリスで「女性であること」のジェンダーギャップを感じたことはそれまでなかった。ところがイギリスから帰国後、金融の会社で働きはじめた時に、目には見えない壁のようなものを感じたという。
「不動産投資ファンドの会社だったというのもあるとは思うのですが、女性の比率が圧倒的に低かったんです。100人社員がいたら、女性は5人以下という世界。仕事の話が喫煙ルームで進んでいたりとか、飲み会に出るとよく評価されたりとか、いわゆるオールド・ボーイズ・ネットワークで体力勝負なところがありました」
そして、男女のキャリア形成において大きな差が生じてしまうのが、やはり女性の「妊娠・出産」であることも実感したそう。
「妊娠・出産のタイミングで、キャリアを諦める女性をたくさん見てきました。男性は階段を上っていく一方、産後に復帰したとしても女性のキャリアはいったん階段の踊り場に出てしまう。踊り場どころか、少し階が下がるのが当然という風潮が感じられたんです」

その後リーマン・ショックのあおりもあって、白木さんは27歳で起業の道を選ぶ。子どもの頃からジュエリーを作ることが好きだったこと、そして学生時代に衝撃を受けた鉱山労働者の生活──今までの経験すべてが2009年に設立するエシカルジュエリーブランド『HASUNA』へとつながっていった。

「鉱山から直接フェアトレードで仕入れてジュエリーとして販売する。そうすればジュエリー業界も流れも変わっていき、世の中がよりサステナビリティーに配慮したモノづくりをしていくようになるんじゃないかと考えました」
ブランドを立ち上げた当初、ペルーやコロンビア、パキスタン、ルワンダなど、できる限り採掘の現場に足を運んだ。さまざまな国と文化、そしてそこで出会う女性たちに大きく影響を受けたと話す。


「たくさんの国を訪れる中で、女性がとても活躍している国とそうではない国、両方を見てきました。日本もジェンダーギャップ指数※で言えばそのうちのひとつかもしれないんですけど、ジェンダーギャップが下の方の国、例えばパキスタンやインドなど、女性には結婚の自由がないとか、結婚したらこう家の中で過ごさなきゃいけないとか。本当に自由が奪われているような国とかもいっぱいあって。
一方、創業して間もない時に金の買い付けをしに南米コロンビアに行ったんです。コロンビアはフリーランスの人がとても多くて、働き方がとても自由なんですよ。そのとき一緒に国内を回ってくれたコロンビア人の女性がPR会社を起業していたんですが、自立した女性という感じでとてもかっこよくて。日本との違いを大きく感じました」
※日本は146か国中116位(世界経済フォーラムが発表した「ジェンダー・ギャップ指数2022」より)
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