女優・小雪に学ぶ、自分らしく、そして、しなやかな生き方
2022.12.8
2022.12.8
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そんな生活を通して知った「現状」を捉え、小雪さんは今年1月、夫・松山ケンイチさんとともに獣皮の利活用を目的としたブランド「momiji(モミジ)」を始動したばかりだ。
「鹿や猪、熊など、害獣駆除で廃棄されてしまう獣皮を、環境に配慮しながらアップサイクルするライフブランドなんです。日々起こっている、自然破壊や環境汚染など、身近な問題を考えるきっかけにしてほしいし、携わってくださる人たちの仕事の安定供給など、未来に向けて広がりを持ったプロジェクトにしたいと思いますね。シンプルなデザインで、一生使い続けたいと思ってもらえるようなもの創りを心がけています」
一方、上映中の映画『桜色の風が咲く』では、小雪さんが主演を務めている。9歳で失明、18歳で聴力を失いながらも、世界で初めて盲ろう者の大学教授となった東京大学・福島智教授の生い立ちを描いた実話で、小雪さんが演じるのは、凜として強く、大らかな母。母としての覚悟や勇気、深い愛の残像が折り重なる先に、小雪さんの今が透けて見えるようで、その存在感には各界から注目が集まっている。
「映画ではたった2時間足らずで描かれているけれど、母親にとっては、子供と過ごした長い長い暗黒の時間だったと思うんですよね。そこからの、お母様の発想の転換、そして『指点字』という新しいコミュニケーション手段の考案は、本当に素晴らしい、と。そして、福島先生を見ていると、偉大な方は崇高なミッションを与えられているんだな、と強く感じました」
印象に残っているシーンは? と問うと、「家族で過ごす他愛もない時間」と、小雪さん。
「こたつに入って会話をしている時間とか海辺を散歩している時間とか。過酷な人生を送っている人たちにとってそんな当たり前の家族の時間が脳裏に焼きついているんじゃないかと。完全に母親としての目線でしたね」
小雪さんは言う。「家族に囲まれていると、ひとりの時間が取れないから、仕事がリラックスです」「子供が生まれて、あるときから夫からの誕生日プレゼントは『時間』になりました。『好きなところで好きなことをしておいで』と」
「人生を変えるようなできごと? やっぱり家族ができたことかな? 子供を育てることって、とてもクリエイティブな作業だと思うし、同時に自分の人間性が磨かれている気がして」……。
家族を軸に、さまざまな役割をしなやかに、丁寧に。この生き方こそが、小雪さんの美しさの秘密に違いない。
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©︎marie claire/photo: Akinori Ito〈aosora〉 / hair & make-up: Hiro Odagiri / styling: Hiromi Oshida / interview & text: Chitose Matsumoto / cooperation: Emi Sugiyama
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