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唯一無二の存在感で世界を魅了する仏女優、レア・セドゥ

©︎marie claire/photo: AP/Aflo

クエンティン・タランティーノやウディ・アレン、グザヴィエ・ドラン、サム・メンデスといった世界の名だたる映画監督たちから愛されている女優レア・セドゥ。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』でのボンドガールも記憶に新しいが、『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』では、ウェス・アンダーソン監督のもとでさらなる輝きを放つ。観る者を虜にする彼女とともに、最新作の魅力に迫る。

大胆かつ繊細に演じた『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』

2006年に女優デビューを果たしたのち、本国フランスのみならずハリウッドでも目覚ましい活躍を遂げているレア・セドゥ。独特なオーラをまとった魅力は、ファッションアイコンとしても注目を集め、「ルイ・ヴィトン」や「プラダ」など、数々のトップブランドで広告塔を務める。いまや映画界、ファッション界における“ミューズ”とも言えるだろう。そんな彼女が出演する最新作は、ウェス・アンダーソン監督の記念すべき10作目『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』。20世紀フランスを舞台に、架空の街にある米国新聞社の支局を描いた本作で、レアはある天才画家を監視する看守シモーヌを演じている。

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photo: AP/Aflo

「オファーが来たときは、すぐに『イエス、ウェス!』って答えたわ(笑)。それから『もちろん、あなたのためなら何でもやるわ』とも伝えたわね。私は彼の映画と強いつながりを感じるし、ウェスと一緒にいるといつもすごく楽しいの。なぜなら、彼には軽快さがあって、遊び心があるから。でも、楽しいだけではなくて、その根底には奥深さもあるから、彼と仕事をするのはとても興味深いことなのよ」

本作出演への喜びを爆発させているレアに、ウェス・アンダーソン監督の演出スタイルの面白さについても聞いてみた。

「彼が私に演出したり、指示を出したりすることはあまりなかったわね。ただ、ある一定の枠というのがあるので、その範囲内で自分なりに自由を見出していかなければならないの。その作業は、とてもきめ細かく、精密。と同時により深く掘り下げていく必要があるから、彼と一緒に探求している感覚だったわ。彼は俳優が演じる様子を観察するのが好きなんだけど、だからテイク数が多くなることも。そこには容赦がないわね(笑)」

2014年の『グランド・ブダペスト・ホテル』でも、ウェス・アンダーソン監督の現場を経験しているレアだからこそ感じている魅力もあると話す。

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©2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

「彼の作品は、とても豊か。でも、それは視覚的に豊かであるというだけでなくて、彼独特の演出手法が生み出す独自の“芸術的言語”のようなものがあると考えているの。彼はとても詩的なので、役者としてはつねに理解しなければならない彼特有のペースやリズムがある。でも、だからこそ彼は本当に唯一無二の存在なのよ。感傷的になり過ぎていないのに、感傷的であるところも好きだし、すべてのキャラクターの内面にリアルな感情があるのも彼の作品の特徴だと思うわ」

そんな独特のスタイルを持つ監督のもと、ミステリアスでありながらかわいらしい一面も見せるシモーヌを持ち前の大胆さと繊細さで見事に演じたレア。役に対して、どのようなアプローチで挑んだのだろうか。

「何かを意識したということは、特になかったと思うわ。彼女はキュートだけど、ただキュートなだけでなく、権力を振りかざしてとても偉そうな人物よね(笑)。そのなかでも私が気に入っていたのは、ベニチオ・デル・トロ演じる服役中の画家、モーゼスのキャラクターがテディベアのようにとても心優しくてロマンティックなところ。シモーヌが主導権を握っているけれど、彼は彼女に対する恋愛感情からインスピレーションを得ていて、それが芸術を通して自己表現することを可能にしているの。だから、モーゼスの才能を意識しているのは、ある意味シモーヌだけなのよ」

ウェス・アンダーソン監督による話題の最新作『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』で、レア・セドゥは第1のストーリーで刑務所の看守、シモーヌを演じる

劇中では、絵のヌードモデルも務めているが、レアの溢れ出す色気と知性が感じられるシーンに仕上がっている。

「美しいけど、とても笑える場面になっているでしょ? 振付師のレクチャーを受けながら重きを置いていたのは、エレガントなポジションを見つけ出すこと。やったのはそれだけだったけど、ああいったポーズを取るのは難しくて大変だったわね。でも、シモーヌは私が演じたなかでも最高の役だったと言えるんじゃないかな。この作品は、ウェス・アンダーソン監督のフランスへのラブレターだけれど、フランス文化は日本のみなさんからも愛されていると知っているから、きっと本作を気に入ってもらえると思っているわ」

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『アデル、ブルーは熱い色』(2013年)ではカンヌ国際映画祭の最高賞であるパルム・ドールを監督だけでなく出演俳優も受賞するという史上初の快挙を成し遂げ、60年間続く『007』シリーズにおいては2作品連続で登場した初のボンドガールとなったレア。これからも、類まれな才能と圧倒的な存在感で、国境やルールに縛られることなく映画史を塗り替えていってくれるに違いない。

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』
監督・脚本: ウェス・アンダーソン
配給: ウォルト・ディズニー・ジャパン
2022年1月28日(金)公開

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