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【メイキング動画公開】信念を持って突き進む柴咲コウという生き方

©︎marie claire/photo: Yasutomo Ebisu / hair: ASASHI〈ota office〉 / make-up: fusako〈ota office〉 / direction: Naoko Kikuchi / styling assistant: Haruka Kato / dress¥539,000 ear cuff ¥71,500[以下すべて参考価格]ring¥44,000 ¥35,200 ¥44,000(Alexander McQueen)

女優、歌手として第一線を走り続けている柴咲コウ。現在は、2016年に立ち上げた「レトロワグラース」の代表としての顔も持つ。「サステナブルで優しい服」をテーマにプロデュースしているアパレルブランド「MES VACANCES(ミ ヴァコンス)」に続き、新たに手がけるのは、スキンケアブランド「HAFURI-ME(ハフリメ)」。地球の循環や生態系に負担をかけないものづくりを掲げる彼女が目指す未来、そして溢れ出るクリエイティビティの源に迫る。

調和のないところに美しさはない

ご自身の会社を立ち上げたのは、どういった思いからですか?
「きれいな地球に住みたい」と思いつつ、人が消費行動を続けることによって、大好きな自然がどんどん失われていくのを幼い頃から目の当たりにしてきました。そういったジリジリとした思いを抱えるなか、まず始めたのは、環境問題に対する自分の知見を深めること。そのうえで、それを広めるためには会社が必要だと感じたので、「レトロワグラース」を立ち上げました。ただ、実際に始めてみて、商品の生産背景や原価などについて知れば知るほど、矛盾だらけ。どこで折り合いをつけたらいいか悩むことも多いですが、人間が築き上げてきた便利さとつねに板挟みの状態で育ってきたので、裏にある事実を知れただけでも“財産”だと思っています。

自らが手がけるブランド「MES VACANCES(ミ ヴァコンス)」のドレスをまとって。回収されたペットボトルを原料にしたサステナブルな素材で仕立てられ、ロマンティックな襟や袖が女性らしい魅力を引き立てるデザイン。ドレス¥52,800(ミ ヴァコンス) イヤリング(片耳ずつ)各¥96,800 リング〈左手〉¥187,000 〈右手〉¥92,400(すべてアーカー/アーカー ギンザシックス店)

アパレルブランド「ミ ヴァコンス」でこだわっているのは、どのあたりでしょうか。
私にとってファッションのいいところは、自分のなかの多様性を表現できること。そのためにも、デザインや機能性は優れたものにしたいとつねに思っています。1枚着ただけでも華やかになれて、気分が上がるようなものを作りたいと考える一方で、意識しているのは、生産背景や素材について。環境負荷を抑えながら、着る人が美しくなれる服を目指して作っています。

video: Masanori Kobayashi

今回、スキンケアブランド「ハフリメ」を新たに発表されましたが、きっかけやコンセプトについて教えてください。
アパレル事業と同じく、自分を美しく見せたいという願いを叶えつつ、環境に対する懸念を払拭できるような天然由来の成分で商品を作りたいという思いから始まりました。「HAFURI-ME(ハフリメ)」という名前は、神事に歌って舞い踊る女性を意味する「祝女(ハフリメ)」からきており、未来の美しさに対する祈りを込めています。スキンケアというのは、自分の肌を自分の手で触れながら「今日より明日、もっと自分がよくなれますように」という願いと慈愛を込めて行うもの。それを実現するためにも、原料・調合・容器に至るまで、さまざまな配慮を欠かさないように「クリーンビューティー」を意識しています。これからは商品を買う際に、「クリーンビューティー」として人や環境に優しいかどうかというのが基準の一つになればいいなと。「レトロワグラース」では「Beauty is Harmony」をビジョンとして掲げているように、調和のないところに美しさはないと思っているので、そのハーモニーをきちんと提供していきたいです。

11月に誕生したスキンケアブランド「HAFURI-ME(ハフリメ)」の第一弾となる“INORI”ライン。酒粕やウメなど日本古来の素材に着目し、乾燥から肌を守り、土台を整えることを追求したアイテムが揃う。〈左から〉「INORI リッチ スキン アミュレット」4.5g ¥6,380 「INORI モイスト メディテーション ミスト」30mL ¥7,700 「INORI バランシング イノセンス オイル」30mL ¥8,250(すべてハフリメ)

現在は、北海道を第2の拠点としていることも注目されています。自然のなかで暮らすよさとは?
東京にいると「がんばって生きている」という感じなのですが、自然に囲まれたところに行くと肩の力が抜けて、「ただ生きる」という行為自体を楽しめるようになるんです。特に、森のなかにいると、自然が奏でる音によって五感が研ぎ澄まされていくので、クリエイティビティが刺激されてどんどん創作意欲が湧いてくる。休みにきているはずなのに、とても仕事がはかどってしまうんですよね(笑)。でも、「しなきゃいけない」ではなくてピュアな創作意欲が広がっていく感覚なので、すごくいいループですし、本当に豊かなことだなと日々感じています。

美しく年齢を重ねていくために必要なのは、どんなことだと考えていますか?
農作物や植物を育てるなかで、種から始まり、芽が出て、花が咲き、実がなり、土に還るというサイクルを見ていると、人間もそのフェーズごとに役割があることに改めて気付かされます。もちろん、外見や体力的な部分で課題はたくさん出てくるかもしれませんが、歳を取ることを否定したくはないなと。20代の頃に比べると、色んな出会いを経て得た知識と豊かさを持てているので、今のほうが楽しさが増しています。過去のこと、そして未来のことを考える余裕が出てきたことは、自分としてもうれしいです。

ご自身が目指している理想像やこれから挑戦したいことについても、お聞かせください。
洋服にしても、化粧品にしても、こんなに大変な工程を経てようやく世の中に届けることができるのかと驚きましたが、「何事もやってみないとわからない」というのが私の性格。体が動く前に気持ちが先行してしまうので、「魂が前に飛び出ちゃってるよね」と言われることも(笑)。でも、一生なんてあっという間だと思っているので、やりたいことをしないともったいないですよね。はがゆいこともありますが、解決していく過程も含めて楽しいですし、生きている実感を味わえています。女優や歌手だけでなく、作り手としての意欲も高まっているので、今後も幅広い視点を持ち、それぞれを深く掘り下げていけたらいいなと。社会課題や環境問題についての発信も続けながら、よりよいものづくりを実現できるように取り組んでいきたいです。

お問い合わせ先

アーカー ギンザシックス店 tel: 03-6274-6098
ミ ヴァコンス mail: lestroisgraces.cs@gmail.com
ハフリメ https://lestroisgraces.com/pages/hafuri-me

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