テニスやゴルフ、ヨットレース、サッカーまで。いまやスポーツは、ラグジュアリーブランドにとって欠かせない表現の舞台となっている。その背景には、上流文化に始まり、競技支援、そしてカルチャーへと広がってきた長い歴史がある。ブランドとスポーツが育んできた絆の変遷を紐解く。
上流文化とともに育まれたスポーツとラグジュアリー
ラグジュアリーブランドとスポーツの結びつきは近年に始まったものではない。その原点は、スポーツが上流階級の教養や社交、豊かなライフスタイルを象徴していた19世紀から20世紀半ばにある。「ルイ・ヴィトン」は旅行用トランクを通じて旅やレジャー文化を彩り、「グッチ」は馬具由来のホースビットをブランドの象徴へと昇華。「エルメス」も高級馬具工房として創業し、乗馬文化とともに歴史を築いてきた。一方「ロレックス」は1958年にニューヨーク・ヨットクラブとの提携を開始して以来、ヨット、ゴルフ、馬術など、幅広い競技を支援してきた。
多彩なスポーツ文化への支援
20世紀後半になると、その関係は競技支援だけでなく、ブランドの価値観を発信する取り組みへと発展。「ロレックス」は1978年にテニスのウインブルドン選手権のオフィシャルタイムキーパーに就任し、現在では四大グランドスラムなど世界最高峰の大会を支援する。「タグ・ホイヤー」も1992~2003年にF1の公式タイムキーパーを務め、2025年シーズンから再び復帰。ブランドが誇る精度や技術力を世界最高峰のモータースポーツで体現している。
感動を生み出すスポーツとの共鳴
こうした背景を礎に、今やラグジュアリーブランドはSNSや限定プロダクト、体験型イベントを介して、スポーツとファンを結ぶ重要な接点へと発展している。その象徴がLVMHだ。2024年のパリオリンピックではプレミアムパートナーを務め、2025年からはF1とのグローバルパートナーシップを開始。「ルイ・ヴィトン」はモナコグランプリのトロフィートランクを手がけるほか、チャリティ写真集『REBONDS』の新版を発表し、売上の全額をユニセフへ寄付するなどスポーツを通じた社会貢献にも取り組んでいる。
2025年からフォーミュラ1®のグローバルパートナーを務めるLVMHは、「ルイ・ヴィトン」、「モエ・ヘネシー」、「タグ・ホイヤー」などのメゾンとともに10年間にわたるパートナーシップを締結
©Louis Vuitton

「ルイ・ヴィトン」は、今年のサッカー・ワールドカップの開催にあわせ、1998年のワールドカップ開催後に初めて誕生した書籍『REBONDS』の新版を刊行。本書は、ユニセフとのパートナーシップ10周年を記念し、チャリティの一環として制作された写真集
©Louis Vuitton
「グッチ」は2027年からアルピーヌF1チームのタイトルパートナーとなり、「グッチ レーシング」を始動。ラグジュアリーとモータースポーツが交差する新たな体験を創出する。
「グッチ」はアルピーヌF1チームとタイトルパートナーシップを締結し、2027年から「Gucci Racing Alpine Formula One Team」としてFIA F1世界選手権に参戦
©Jean-François Robert / Modds
また、マリンスポーツでは「プラダ」が1997年に創設したチーム(現:ルナ・ロッサ プラダ ピレリ)で国際ヨットレース「アメリカズカップ」に挑み、2027年大会にも参戦予定だ。一方「ロロ・ピアーナ」は地中海を代表するセーリングイベント「ジラリア・レガッタ」のタイトルスポンサーとしてヨット文化を支えている。
「ルナ・ロッサ プラダ ピレリ」は、2027年にナポリで開催される第38回アメリカズカップに挑む
COURTESY OF PRADA

「ロロ・ピアーナ」が今年、タイトルスポンサーを務めた世界有数の権威あるヨットレース、ジラリア・レガッタ
©Loro Piana
またサッカー界では「ロエベ」がスペインサッカー代表のトラベルワードローブを手がけるなど、競技を通じてクラフツマンシップを発信。ブランドとスポーツが育んできた絆は、競技の枠を超えて文化や人をつなぎ、これからも新たな物語を紡いでいくだろう。
「ロエベ」はスペイン代表サッカーチームとの4年間のパートナーシップを締結し、2026年北中米大会から2030年大会まで、選手たちが世界各地を転戦するためのトラベルワードローブを提供
COURTESY OF LOEWE
関連情報【雑誌『marie claire』のPDFマガジンダウンロードページ】©︎marie claire/realization: Megumi Otake