新章を迎えた4メゾン。2026−27年秋冬オートクチュールをプレイバック

Fashion

2026.08.06

新章を迎えた4メゾン。2026−27年秋冬オートクチュールをプレイバック

内側から構築する、新時代のクチュール|BALENCIAGA

クリエイティブ・ディレクターのピエールパオロ・ピッチョーリが初めて手がけた「バレンシアガ」のクチュール。メゾンとしては55回目のオートクチュールコレクションとなる今季は、創業者クリストバル・バレンシアガの服を表層的に再現するのではなく、その根底にある原則や思想を現代に問い直した。テーマの核に据えたのは、メゾンの意味そのものを形づくる“クチュールの本質”。

Courtesy of Balenciaga

身体の3Dスキャンから得た姿勢をもとに、内側にレザーの殻を成形し、カシミアのコートやドレスに建築的な構造と驚くほどの軽さを与えた。かつてクリストバルが生み出したガザールを再考した「ネオ・ガザール」や、クモの糸に似た特性を持つバイオエンジニアリング素材「AMSilk」も登場。鮮やかなルックを黒一色の“影”として反復することで目をリセットし、シルエットの輪郭を際立たせた。

Courtesy of Balenciaga

厳格なテーラリングと柔らかなフルー、抑制と色彩、軽さと強さという、相反する要素が響き合う。フィリップ・トレーシーと協業した羽根の造形は、帽子と服の境界さえ曖昧に。アトリエで働く“人”への敬意とともに、クチュールをメゾンの中心へ据え直す力強い新章を示した。

Courtesy of Balenciaga

私室に宿る、静かな官能性|GIORGIO ARMANI PRIVÉ

ジョルジオ・アルマーニのレガシーを継承するシルヴァーナ・アルマーニが、「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ」で手がける2作目。テーマの「ブドワール」とは、女性の寝室や化粧室に隣接する私室のこと。外の世界から一歩離れ、何をまとうかを選びながら、自身の感性と静かに向き合う空間だ。

Courtesy of Giorgio Armani

シルヴァーナはその親密な時間を、見せることと隠すことの間に生まれる静かな誘惑として表現。マスキュリンなジャケットから彫刻的なイブニングガウンへと移ろう構成には、端正さとしなやかさ、自然さと実験性が同居する。トラウザーを軸に繊細なレースやシアー素材を重ね、クチュールをよりパーソナルな装いへと引き寄せた。

Courtesy of Giorgio Armani

ベルベットのマットな質感とストーンや刺しゅうのきらめきが溶け合い、デイとイブニングの境界も曖昧に。一見ブラックに映る色には、深いグリーン、ブラウン、アマランスレッド、ブルーが重なり、光の角度で複雑な表情を見せた。アニマリエモチーフも抑制されたトーンで浮かび上がる。創業者の美学を忠実に受け継ぎながら、女性の視点で官能性を静かに押し広げたコレクションだ。

Courtesy of Giorgio Armani

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