Joe Sohm/Visions of America / Getty Images
トランプ政権によるICE(移民関税執行局)の不法移民取り締まりと関税の引き上げによって、ロサンゼルスを拠点とする女性ファッションブランドの創業者たちや、その工場で働く女性たちは危機に直面しているという。マリ・クレール インターナショナルのアメリカ版デジタル記事よりお届け。
ロサンゼルスの低賃金労働者が移民強制送還政策の標的とされるなか、「メイド・イン・USA」という言葉はまったく新しい意味を持つようになった。
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ミシンの最初の縫い目から裾の仕上げまで、女性たちは長年、ロサンゼルスの独立系ファッションシーンを支えてきた。そして今夏、彼女たちのビジネスは存続の危機に瀕(ひん)している。何十人もの女性創業者が「メイド・イン・USA」の理念を掲げ、労力や時間を費やし、地域コミュニティとのつながりを築いて、地元での生産を維持してきた。しかし、トランプ政権による低賃金産業を標的としたICEの摘発が急増。約4万人の労働者が働く衣料品地区は空っぽになり、まさにこれらのブランドを危機に陥れている。
ロサンゼルスにある「The Garment Worker Center」のディレクター、Marissa Nuncio(マリッサ・ヌンシオ)は、ここ数週間、縫製師や裁断師からひっきりなしにかかってくる電話の対応に追われている。「労働者たちは、仕事に行くのが怖い、食料品店に行くのが怖い、クリニックに行かなければならない……でも家を出るのが怖すぎると言っています」と彼女は述べ、女性主導のチーム全体のネットワークが、不安と不確実さによって麻痺(まひ)状態に陥っている状況を説明した。基本的な用事や日常のニーズが“戦場”のようになる状況では、生産は間違いなく不可能だ。
スイムウェアデザイナーのNatasha Tonic(ナターシャ・トニック)は、その影響を身をもって体験した。主に職人によって運営されている彼女の染色工場では、従業員の半数が一夜にして辞めてしまった。「私のビジネスはロサンゼルスのダウンタウン、まさにファッション業界の中心地に位置し、そこは抗議活動が盛んに行われている場所です。ヘリコプターや警察が出動し、誰もがおびえていました。その後、素材を染める場所に行ってみると、半数の人がいなくなっていました」と彼女は振り返った。生産スケジュールがずれ込んでいるため、小売業のパートナーたちはすでに数か月に及ぶ可能性のある遅延に備えている。
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デニムブランドNeemsの創設者Daniela Rodriguez(ダニエラ・ロドリゲス)は、アメリカの工場とそれらを運営する女性たちが、品質と倫理の新たな基準を確立できると信じて、自身のブランドを立ち上げた。「約2週間前、工場長から恐怖に震えた声で連絡がありました。彼は通りの向かいにあるホームデポ(ホームセンター)でICEが人々を拘束していると知らせてくれたのです。以来、工場の従業員の大多数は自宅に留まり、家を出れば最後になるかもしれないと恐れています」とロドリゲス氏は説明した。勤務時間が制限され、工場はリスクを最小限に抑えるため短時間シフトで稼働するなか、ロドリゲス氏の海外での生産オプションの検討は急ピッチで進められている。
ファッション業界が、ブランドを国内生産に戻すよう促すための関税導入に備えていた矢先、この取り締まりの強化は彼らの計画を一変させた。中国などからの輸入品への関税は、国内縫製を促進し、理論上は地元の工場の稼働率が向上することでコスト削減をもたらすはずだった。しかし、空っぽの工場と最小限の従業員は、あらゆる営業利益を消し去り、さらにリスクを高めることとなった。
「これは移民コミュニティだけでなく、アメリカ製造業全体にとって、存在そのものを脅かす問題です」。ミッション主導のブランドと提携してリサイクル素材の商品を生産するEverywhere ApparelのCOO、Irys Kornbluth(アイリス・コーンブルス)はこう警告する。かつて女性の雇用創出や創造的なキャリアの育成で称賛されたブランドは今や、アメリカの関税率のメリットと閉鎖された生産ラインという代償の板挟み状態に直面している。
かつては誇りのシンボルだった、すべての縫い目に女性たちが関わった「ロサンゼルスでの手作り」というスローガンは、今や疑問符が付くようになった。コーンブルス氏は、品質の象徴が急激な不確実性の象徴へと変貌(へんぼう)するなか、これらの摘発と関税が「数多くのアメリカ製のアパレル企業を倒産に追い込む可能性がある」と警告した。
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ヌンシオ氏が指摘するように、低賃金の仕事、そしてさらに重要なのは人間そのものが直接的な脅威にさらされており、その影響は工場の現場を超えて広がっているということだ。衣料品地区が衰退すれば、ブランドは海外移転か、廃業を余儀なくされるだろう。コーンブルス氏は「『メイド・イン・USA』のラベルは、今では労働者が仕事に出勤すれば摘発に巻き込まれ、家族を引き離すリスクを伴うものとなった」と指摘する。
関税は国内産業を活性化するものとして売り込まれているが、政権が繊維産業の巻き添え被害に無関心であることは明白だ。ロサンゼルスのインディーズブランドを率いる女性たちにとって、強靭(きょうじん)なアメリカ製衣料品ビジネスを築くという夢は、今や危うい状況にある。
translation & adaptation: Akiko Eguchi
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This article was originally published by Alyssa Hardy on Marie Claire USA
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