「ERIKO YAMAGUCHI」途上国の街並みから生まれたコレクション 山口絵理子さんの挑戦とビジョン:後編
2023.9.15
2023.9.15
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――ライフステージの変化は働き方や仕事へのモチベーションにどのような影響を与えましたか?
子どもを産む前は、自分はどうなっちゃうんだろう、チームを引っ張っていくモチベーションとか色んなものが保てるだろうかって、めっちゃ悩んでました。
産んだ後も思うように動けなかったり、身体のどこかが痛かったりしても、なかなか長くは休めなくて。2~3ヶ月して少しずつ会議に出たり、株主総会を開いたりってやってた時には、けっこう追い詰められちゃって。
「両立なんて絶対に無理」と思った時期もあったんですが、半年、1年と経つうちに少しずつ、娘がカッコいいって思えるお母さんってどんな姿だろうとか、娘に伝えられるお仕事ってなんだろうとか考えていました。
ミルクをあげながらも、バングラデシュからはビデオchatがたくさん来るし、ベンガル語を話す私を娘が見ているのが日常だったり。今では、娘が工場のみんなに手を振ったりしていて、世界とつながる感覚っていうのをちっちゃいながらも少しずつ持っていて。娘とお絵かきしながらTシャツの柄を考えたりもするし。
なんかその延長線上で、どう表現していいかわからないのですが、きれいに境界を分けられないんですよ。だからこの際分けられなくていいやって。ファッションショーを見た娘も、彼女なりに何かを感じて「良い」って感想を言ってくれて。今はシームレスであることを許したり、楽しんでいます。
――山口さんの今後のビジョンを聞かせてください。
つくりたいものはたくさんあるので、モノづくりを続けながら、工場を強くしていきたいです。
インドで服、バングラデシュでバッグというふうに各国でやっているけれども、どこかで融合して、複数の国でひとつのものをつくるとか、アジアの職人連合みたいな形で連携して、現代に欠けている手仕事のおもしろさを表すネットワークが、MOTHERHOUSEの流れの中でできたらいいなと考えています。
そういった形で企業が音頭を取っているのってあまり無いと思うし。アジアといえば大量生産になっちゃっているので、そこに対してクラフトマンシップをきちんと主張できるようなブランドでありたいと思います。
photo: Tomoko Hagimoto, interview & text: Saaya Hirade, edit: Tomoko Komiyama
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山口絵理子(やまぐち・えりこ)
1981年生まれ。慶應義塾大学を卒業後、バングラデシュBRAC大学院開発学部修士課程修了。「途上国から世界に通用するブランドをつくる」を理念に株式会社マザーハウスを起業し、代表取締役兼チーフデザイナーを務める。リンクを
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