「タグ・ホイヤー」CEOが語るブランドの今。 アニバーサリーモデルをはじめ話題作が続々

「タグ･ホイヤー」は1860年に創業したスイスの名門ラグジュアリーウォッチメゾン。由緒ある老舗ながらも、28歳のフレデリック･アルノー氏がCEOに就任してからというもの、メゾンがいっそう若々しく、よりアヴァンギャルドに華やいできている。インタビュー当日、彼が腕に着けていたのは、今年1月に発表されたばかりの、タグ･ホイヤー カレラの周年を祝うにふさわしいトップバッター、限定モデル“タグ･ホイヤーカレラクロノグラフ 60周年アニバーサリーエディション”。シルバーとブラックのカラーコントラストが際立つ、スタイリッシュな印象のウォッチだ。

「この文字盤、パンダみたいでしょう？1963年に発表された“カレラ”のファーストモデルもパンダというニックネームで呼ばれていたのです。今回の60周年アニバーサリーエディションはそれをモダンに生まれ変わらせたもので、メゾンにとってマイルストーンとなる重要なモデルでもあります。洗練されたデザインですから、どなたが着けても素敵ですよ」とアルノー氏。

「今、時計界のワールドトレンドは、ジェンダーレスです。メンズ専用、レディス専用のデザインが減っていく傾向にあり、男女両方にアピールするユニセックスなウォッチにますます注目が集まっています。例えば、俳優のジェイコブ･エロルディはタグ･ホイヤーのアンバサダーなのですが、彼はピンクの文字盤にダイヤモンドをあしらった“アクアレーサー”をひと目で気に入り、着用してくれたこともありました」　

もう先入観なんて持たずに、本当に好きなものを好きなように選んで着けるのが、最新のトレンド。これをこう着けなきゃいけない、というような決まりごとはないのだ。

「アニバーサリーエディションの“カレラ”も、手首にフィットするように配慮されています。こういうちょっとした設計の気づかいは、これから欠かせません。今後はもう少し小ぶりでカラフルなモデルも増やそうかと考えているんですよ」　

カラフルといえば、「タグ･ホイヤー」のコネクテッドウォッチにはアクセントカラーを利かせたさまざまな文字盤が揃う。ストラップも自分で簡単に交換できるので、小粋なファッションアイテムとして注目度が上昇中だ。

「コネクテッドウォッチは、女性のユーザーも増えつつあります。文字盤のカラーバリエーションが多いし、目標を設定して毎日の健康状態をチェックできるヘルス＆ウェルネス機能も搭載しているのが魅力なのでしょう。それにスポーツに適していますし」

そう、スポーツは「タグ･ホイヤー」のDNA。ゴルフやスプリント、サーフィン、スケートボードなど、世界各国のトップアスリートたちがメゾンのアンバサダーとなっている。そのうちの一人は、テニスの大坂なおみ選手。

「彼女については素敵なエピソードがあります。大坂選手のパートナーはヒップホップミュージシャンのコーデーですが、彼がダイヤモンドウォッチを大坂選手に贈りたいと私たちに相談してきたのです。当時はそれにふさわしいモデルがなかったので、彼のオーダーに応えて新たに時計を作りました。昨年発表したダイヤモンド入りのラグジュアリーな“カレラ”は、このことがきっかけとなって生まれたのです」

アンバサダーはアスリートだけにとどまらない。俳優のライアン･ゴズリングも「タグ･ホイヤー」と手を携えた一人で、映画『グレイマン』で“カレラ”コレクションを着けている。ただ現在のところ、煌びやかなアンバサダーのリストに女優が見当たらないような……。

「もう間もなく、新たな女優の名前を発表できると思います。彼女はすばらしいですよ。でもまだ秘密！」　CEOのもとで飛躍を続ける「タグ･ホイヤー」。どんな世界を私たちに見せてくれるのか、今後の動向から目が離せない。