2022年10月 平成中村座『唐茄子屋』(左から)傾城桜坂=中村七之助、若旦那徳三郎=中村勘九郎
傾城・桜坂に会いたい徳三郎が、やっと潜れるほどの門を通ると、そこは不思議の国の第二吉原だった。ここからの場面は実際に観てのお楽しみ。勘太郎&長三郎兄弟が元気いっぱいかつ達者に演じていて、理屈抜きで楽しい場面となっている。
.jpg?d=0x0)
=中村勘太郎、吉原田んぼの蛙ゲゲコ=片岡亀蔵(ⓒ松竹).jpg?d=0x0)
奇想天外な演出に加え、勘九郎や七之助をはじめとする俳優たちが競うように生き生きと役を勤めていて、冒頭からおしまいまで見どころ満載だ。終演後、観客の拍手喝采はしばし鳴りやまず、劇場は熱気にあふれていた。


十八世中村勘三郎は子どものようなところがあり、息子たちがいい舞台をやっていると、師として喜ぶ一方で、「俺があの役をやりたかった」とヤキモチをやいていたという。あちらの世界から『唐茄子屋』を見て、またヤキモチをやいているんじゃないだろうか。
70年代に紅テントの芝居にインスパイアされて勘三郎が思い描いた夢を息子たちが受け継ぎ、またひとつ鮮やかな実を結んだ。『唐茄子屋』は、胸を熱くさせる作品である。
text: 香月友里
【関連記事】市川染五郎と市川團子『弥次喜多流離譚』で歌舞伎の次代を背負って立つふたりが熱演
【関連記事】大河『鎌倉殿の13人』美しすぎる市川染五郎が三谷作品に登場した深~い意味
【関連記事】七月の歌舞伎座は青田買い必至の御曹司たちが勢ぞろい