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ジュリエット・ビノシュとジョニー・デップによる不朽の名作『ショコラ』【バレンタインデーのオススメ映像作品】

(C) 2021 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

バレンタインデーにちなんで、チョコレートが物語のカギとなっている作品を紹介しています。3作目はフランスを代表する女優ジュリエット・ビノシュと、人気絶頂期のジョニー・デップが共演し、数々の映画賞にも輝いたあの名作です

人々の人生を変えていく一人の女性とカカオの力

チョコレートには、さまざまな効能があるといわれている。カカオの原産国である南米ではマヤ文明下で不老長寿の薬とされていたほか、脳を興奮させる作用があることから媚薬として用いられた記録もあり、そういう意味でバレンタインデーに贈る品としてはぴったりといえるかもしれない。

そんな力を持つチョコレートを“武器”にして、教条主義の宗教によって抑圧された人々を解放するべく闘う女性が主人公の映画が『ショコラ』である。

チョコレート・ショップを営むヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)。彼女が作るチョコには、ちょっと不思議な力があった
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難しいテーマを描き、けっして派手な作品ではないものの、フランスを代表する女優ジュリエット・ビノシュと、人気絶頂期のジョニー・デップが共演するとあって大きな話題となり、ヨーロッパ映画賞主演女優賞や、全米映画俳優組合賞助演女優賞を獲得したほか、アカデミー賞5部門、ゴールデングローブ賞4部門にもノミネートされた。

1959年の冬、キリスト教の教義を厳格に守る人々が暮らすフランスの小さな村に、母(ジュリエット・ビノシュ)と娘が流れ着く。母娘は古びた店舗兼住居を借り、チョコレート・ショップを開店するべく準備を始める。母親のヴィアンヌは未婚、村長が直々に日曜日のミサに誘っても拒否、そしてよりによって聖なる断食期に食べ物の店を開くとあって、村長はじめ村の人々は眉を顰めながら遠巻きに眺めていた。

敬虔すぎるクリスチャンの村長・レノ伯爵(アルフレッド・モリーナ、写真左)は、封建的な教義で村人を統率しようと躍起となる(C) 2021 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

そんなありさまなので、開店当初は閑古鳥が鳴く状態。しかし、ヴィアンヌの店は単なるお菓子屋さんではなかった。彼女は鋭い洞察力で出会った村人たちの“悩み”を看破し、 “処方薬”さながらに適したチョコレートを勧め始める。そのチョコレート効果で、抑圧から解放され、人生を楽しむ喜びを知る村人が続出し、状況は少しずつ変わっていった。

そうなると、面白くないのは敬虔なクリスチャンを自認する村長である。異端者を排除するのが自分に課せられた聖戦であると信じて疑わない彼は、ヴィアンヌを追い出すべく悪口を触れ回って営業妨害を企む。

しかし、そんなセコいネガキャンも、村人を幸せに導くカカオの力には抗えず、ヴィアンヌの店は繁盛する一方。焦る村長は、形勢逆転するべく新たな事件を起こすことを決意する。

ヴィアンヌと、流浪の民のリーダー・ルー(ジョニー・デップ)の行方も気になるところ
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同じ頃、村に隣接する川に一隻の船が流れ着く。船長と見られる男・ルー(ジョニー・デップ)は、自らを「川ネズミ」と呼び、忌み嫌われる存在だとサラリと言う。そんな彼らが村にさらなる波乱を起こし、そしてヴィアンヌの人生にも一石を投じるのだった。

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ひと昔前の寒村が舞台の物語だが、夫のDVに苦しむ妻や、娘から拒絶される老母、母親の過剰な支配に抑えつけられる子ども、想いを寄せる女性がいるものの古い道徳感に縛られて告白すらできない老人など、登場人物はまさに現代の人々そのもの。彼らは、ヴィアンヌのチョコレートをきっかけにして四面楚歌だった人生を拓いていく。

ヴィアンヌの店の家主アルマンドを演じたのはイギリスの名女優ジュディ・デンチ(写真右)。彼女は本作で全米映画俳優組合賞助演女優賞を受賞した (C) 2021 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

この時期、チョコレートは告白のツールとしてクローズアップされがちだけど、心を開放して自分を肯定するサプリとして口にしてみようかな、と思わせる作品だ。

『ショコラ』 Prime Videoでレンタル・購入配信中
Blu-ray: 2,075 円 (税込) / DVD: 1,572 円 (税込)
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント
(2022年 2 月の情報です)

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香月友里

かづき ゆり。フリーライター。出版社の編集者を経てライターに。同居する5匹の犬猫たちにお仕えしながら、映画とドラマと演劇とJ-POPにどっぷり浸る日々を送る

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